5月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

令和3年9月2日
【概要】
(内政)
●18日、全国選挙裁判所(JNE)はペドロ・カスティージョ候補(ペルー・リブレ(PL)、急進左派)及びケイコ・フジモリ候補(人民勢力党(FP)、中道右派)が大統領選決選投票に進む旨発表した。
(外交)
●7日、バグネル外務大臣はラブロフ露外相と意見交換(オンライン)を行った。
 
【本文】
1 内政
(1)2021年大統領選挙関連
ア 6月の大統領選挙決選投票を前に、17日、カスティージョ候補及びケイコ候補がペルー司教協議会他市民団体の立ち合いの下、民主主義の原則を保障する宣言に署名を行った。
イ 18日、JNEは、4月11日に行われた大統領選挙一回目投票の最終結果を公表し、カスティージョ候補が有効投票数2,724,752票(有効投票率18.92%)、ケイコ候補が1,930,762票(13.40%)を獲得し、決選投票に進むと発表した。
ウ 23日、首都リマにおいてJNE主催による討論会が開催され、両大統領候補の政策チームのメンバーが(1)国家改革、(2)経済回復及び貧困削減、(3)保健及びパンデミック対策、(4)インフラ、地域開発及び地方分権化及び(5)環境保護及び持続的な開発の5つのテーマに基づいた政策提案を行い、議論を交わした。
エ 30日、アレキパ州においてJNE主催による討論会が開催され、両大統領候補が(1)ペルー独立200周年、(2)保健及びパンデミック対策、(3)経済及び雇用促進、(4)教育及び科学技術、(5)汚職対策及び公共の安全及び(6)人権、社会政策及び脆弱な状況にある国民のケアの6つのテーマに基づいた政策提案を行い、議論を交わした。
 
(2)国会における厚生年金(AFP)引出容認法の再可決
 6日、国会本会議において、厚生年金(AFP)加入者の積立金事前引き出しを最大17,600ソル(約1,900ドル)まで認める法を再可決した(賛成109票、反対0票、棄権3票)国会は3月に本法案を可決していたが、4月26日、本法案は社会的安全や民間の年金制度を脅かすものであるとして拒否権を発動した政府により国会に差し戻されていた。
 
(3)ビスカラ元大統領による弾劾取り消しの申し立ての棄却
 12日、ペルー司法は、国会で成立したビスカラ元大統領に対する弾劾(不当なワクチン接種による10年間の公職追放措置)に関する保護請求を棄却した。
 
(4)サガスティ大統領による政権発足6ヶ月の国民向けメッセージ
 21日、政権発足6ヶ月を迎えたサガスティ大統領は、国民向けメッセージを通じて同政権の成果について報告した。同大統領は、2020年11月16日の大統領就任後、(1)新型コロナウイルスのパンデミック対策、(2)経済再活性化、(3)汚職対策、(4)経済回復及び(5)自由で信頼できる選挙の実施の5つを柱とした上で、特にパンデミック対策に関し、6,000万回分のワクチンを確保し、2021年末までに18歳以上の全ての国民に対しワクチン接種が行える旨述べつつその成果を強調した。
 
(5)センデロ・ルミノソによるとみられる国内テロ事件の発生
ア 23日、アプリマック州エネ・マンタロ渓谷(VRAEM)のフニン州サティポ郡において、センデロ・ルミノソと思われる犯行グループにより子ども2名を含む住民16名が無差別に殺害された。事件現場において6月の大統領決選投票を前に国民に不投票を呼びかける内容の声明文が発見された。
イ 24日、サガスティ大統領、ペドロ・カスティージョ大統領候補(ペルー・リブレ(PL)、急進左派)及びケイコ・フジモリ大統領候補(人民勢力党(FP)、中道右派)が一様に本事件を非難し、犠牲者の家族に対する連帯を示した。
ウ 24日、アルマグロ米州機構(OAS)、米国、スペイン、エクアドル等の各機関及び各国が本殺害事件を非難する声明を発表した。
 
(6)サガスティ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム社:12日~13日実施、全国(対象1,201名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:35%(28%) 不支持:57%(63%)
イ IEP:20~21日実施、全国(対象1,208名)、誤差±2.8%、信頼度95%
  支持:36%(21%) 不支持:52%(65%)
 
2 外交
(1)コロンビアにおける反政府デモに対するペルー外務省の反応
 4日、ペルー政府はコロンビアで発生した反政府デモに対しTwitterを通じて、「緊密な友好及び協力関係で結ばれているコロンビアで発生した暴力的かつ犠牲的な行為に深い遺憾の意を示す。」と表明した。
 
(2)ペルー・ロシア関係
ア 7日、バグネル外務大臣はラブロフ露外相と外相会談(オンライン)を行い、両国の関係が良好に推移しているとの認識で一致した。
イ サガスティ大統領は、ペルーにおけるワクチン確保のためにSputnik Vワクチンを扱うロシア側窓口と交渉を継続している旨述べた。
 
(3)ペルー・ニカラグア自由貿易協定締結に向けた交渉の開始
 11日、コルネホ通商観光大臣は、ペルー政府及びニカラグア政府が自由貿易協定の締結に向けた交渉を開始した旨発表した。
 
(4)バグネル外務大臣のアンデス共同体(CAN)外相会合出席(オンライン)
 12日、バグネル外務大臣は、アンデス共同体(CAN)外相会合に出席し、アンデス移民の法の適用やアンデスの違法鉱山の監視の立ち上げについて強調した。
 
(5)ネイラ文化大臣のエクアドル大統領就任式出席
 24日、ネイラ文化大臣はラッソ新エクアドル大統領の就任式に出席した。また、翌25日、同大臣はマチュカ・エクアドル新文化・遺産大臣と会談した。