6月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

令和3年9月2日
【概要】
●6日、大統領選挙決選投票が実施された。
●22日、全国選挙裁判所(JNE)は、決選投票に参加した両候補から計1,088の集計票の無効化申し立てを受けた旨明らかにした。
●28日、ケイコ候補は今次決選投票に係る国際監査の実施を要請する書簡を大統領府に対し提出した。
 
【本文】
1 内政
(1)2021年総選挙(大統領・国会議員・アンデス議会議員選挙)
ア 大統領選挙決選投票
(ア)6日、大統領選挙決選投票が実施された。
(イ)10日、全国選挙裁判所(JNE)は、ケイコ・フジモリ候補(人民勢力党(FP)、中道右派)陣営による820の集計票(約20万票)の無効化の申し立てについて審査を開始した。
(ウ)10日、ペドロ・カスティージョ候補(ペルー・リブレ(PL)、急進左派)陣営もJNEに対し209の集計票(約5万票)の無効化の申し立てを行った。
(エ)10日、アルセ・ボリビア大統領やオルテガ・ニカラグア大統領等がカスティージョ候補に対し大統領当選の祝意を発した。それに対し、ペルー外務省は未だ決選投票の最終結果は出ていないとして両国に対し抗議の意を示すと共に、国際社会に対し最終結果が出る前に本件選挙に関するコメントを控えるように呼び掛けた。
(オ)18日、ケイコ候補陣営は、裁判所に対し決選投票プロセスを無効化する保護請求(accion de amparo :憲法上保障された権利が侵害された場合に申請できる。)を提出した。
(カ)22日、JNEは、同選挙裁判所の直轄下部機関である特別選挙裁判所(JEE)がケイコ候補及びカスティージョ候補の両陣営から計1,088の集計票の無効化申し立てを受け、そのうち281の申し立てが法で定められた期限内(6月9日20:00)に提出されたものであると公表した。
(キ)23日、JNEの判事一名が、集計票の無効化に係る審査プロセスにおいて透明性が欠けていることや、アレナスJNE長官に選挙の公正さを追求する意思が欠如している旨主張した書簡をもって同判事職から外れる(declinar)意思を表明した。
(ク)これを受けJNEは、同判事の職務停止を決定するとともに、同判事がJNEに提出した書簡を非難した。
(ケ)26日、辞職した判事に代わり代理判事が任命されたことから、一時中断されていた集計票の無効化に係る審査が再開された。
(コ)26日、ペルー裁判所はケイコ候補陣営から提出された今次決選投票のプロセスを無効化する保護請求を棄却した。
(サ)28日、ケイコ候補は、今次決選投票における不規則の多さを理由に、大統領府に対し880万人の署名を付して今次決選投票に係る国際監査の実施を要請する書簡を提出した。
(シ)30日、ケイコ候補陣営は、米ワシントンの米州機構(OAS)本部において今次決選投票における不正の疑いについての報告書を提出した。
 
イ 国会議員選挙
(ア)9日、JNEは、ONPEによる2021年国会議員選挙開票結果に基づき、新国会議員に対し当選証書の授与を行った。
(イ)12日、JNEは決議をもって新国会の各政党の獲得議席数(全130議席)を公表したところ、以下のとおり。
ⅰ ペルー・リブレ(PL、急進左派)  37議席
ⅱ 人民勢力党(FP、中道右派)    24議席
ⅲ 人民行動党(AP、中道)      16議席
ⅳ 進歩のための同盟(APP、中道右派) 15議席
ⅴ 人民刷新党(右派)        13議席
ⅵ 国家前進党(中道右派)       7議席
ⅶ Podemos Peru(中道右派)       5議席
ⅷ Juntos por el Peru(左派)     5議席
ⅸ Somos Peru(中道)         5議席
ⅹ 紫の党(PM、中道)         3議席
 
ウ アンデス議会議員選挙
 16日、JNEは、アンデス議会議員選挙に当選した5名に対し当選証書を授与した。
 
(2)ペルー検察によるケイコ・フジモリ候補に対する再勾留請求
ア 10日、ペルー検察は、ケイコ候補(FP党首)が昨年5月の勾留釈放後も司法事案に関連した証人等との接触を続けていることを理由に司法措置が遵守されていないとして、ペルー裁判所に対しケイコ候補の再勾留を要請した。
イ 22日、ペルー裁判所は検察のケイコ候補の再勾留要請を棄却した。
 
(3)サガスティ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア IEP:17~20日実施、全国(対象1,210名)、誤差±2.8%、信頼度95%
  支持:51%(36%) 不支持:41%(52%)
イ イプソス社:25日~26日実施、全国(1,200名、誤差±2.5%、信頼度95%
  支持:52%(30%)、不支持:36%(24%)
 
2 外交(グテーレス国連事務総長の2期目続投決定に対する祝意表明)
 18日、ペルー外務省は、Twitterを通じて、来年1月から2期目を務めることが決定したグテーレス国連事務総長に対し祝意を表した。