7月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

令和3年10月29日
【概要】
●19日、全国選挙裁判所(JNE)は大統領選挙決選投票の結果を発表した。
●26日、新国会が開会した。
●28日、カスティージョ新政権が発足した。
 
【本文】
1 内政
(1)2021年大統領選挙決選投票の結果を巡る状況
ア 4日、サガスティ大統領はケイコ・フジモリ候補(人民勢力党(FP)、中道右派)による今次決選投票に係る国際監査の実施要請に対して、中立性に鑑み、選挙プロセスにおいてどちらか一方の候補の求めに応じることはできないと述べ、要請を拒否した。
イ 12日、全国選挙裁判所(JNE)は、集計票の無効化や不服申し立てに係る全ての審査を終了した旨明らかにした。
ウ 19日、JNEによる結果発表に先立ち、カスティージョ候補が勝利宣言を行う一方、ケイコ候補は記者会見を行い、選挙結果を受け入れる旨述べた。
エ 19日、JNEは、6月6日に行われた決選投票の結果を発表し、2021年から2026年の共和国大統領としてペルー・リブレ(PL、急進左派)のペドロ・カスティージョ候補が、第一副大統領としてディナ・ボルアルテ候補が選出された旨発表し、20日、同結果が官報に掲載された。
 
(2)検察によるケイコ候補に対する新たな捜査の開始
 5日、ペルー検察は2021年大統領選挙キャンペーンにおける資金洗浄の疑惑により、ケイコ候補の正式起訴に向けた事前捜査を開始した旨明らかにした。
 
(3)カスティージョ新政権の発足
ア 28日、国会においてペドロ・カスティージョ新大統領が就任演説を行い、保健、経済活性化、社会政策等の4分野における個別政策について述べるとともに、制憲議会の招集等についても言及した。なお、同大統領就任式にはスペイン国王他、コロンビア、チリ、エクアドル、ボリビア及びアルゼンチンから大統領が出席した他、米州地域の複数の副大統領及び外相が出席した。
イ 29日、カスティージョ新政権の閣僚18名中16名が就任した。
ウ 30日、任命待ちとなっていた経済財政大臣及び法務人権大臣が就任した。
 
(4)新国会の開会
26日、新国会が発足し、国会執行部選挙(任期は2021年7月~2022年7月)が行われ、野党人民行動党(AP、中道)のマリア・デル・カルメン・アルバ議員が新国会議長に選出された。
 
(5)サガスティ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア IEP:18~21日実施、全国(対象1,206名)、誤差±2.8%、信頼度95%
  支持:52%(51%) 不支持:38%(41%)
イ イプソス社:22日~23日実施、全国(1,216名、誤差±2.8%、信頼度95%
  支持:58%(52%)、不支持:30%(36%)
 
2 外交
(1)モイーズ・ハイチ大統領殺害に係る弔意表明
 7日、サガスティ大統領は、Twitterを通じて、モイーズ・ハイチ大統領の殺害を断固として非難し、ハイチ国民との団結を表明した。
 
(2)米国による新型コロナウイルスのワクチンの無償供与
 7日、米国政府により無償供与されたファイザー社のワクチンの2回目分が到着し、6月29日に到着した初回分と併せて計2,001,000回分のワクチンが供与された。
 
(3)キューバにおける反政府デモに対する当国政府他の反応
ア 13日、ペルー外務省はTwitterを通じて、ペルー政府はキューバ国民の自由かつ平和裏にデモを行い、民主主義の精神をもって当局に要求する権利を支持する旨表明した。
イ 13日、カスティージョ次期大統領候補はTwitterを通じて、キューバ国民が置かれた状況に対する連帯の意を示した上で、本件問題はキューバ国内において解決されるべきとの見解を示す一方で、米国の経済的迫害についてうやむやにすべきではないと述べた。
 
(4)カスティージョ次期大統領候補と当地中国大使の会合
 15日、カスティージョ次期大統領候補は、当地中国大使館においてLIANG Yu(梁宇、リャン・ユー)駐ペルー中国大使と会合を行った。本会合後、カスティージョ候補はTwitterを通じ、「兄弟の絆と両国の協力を優先するために梁宇大使と会合を行った。」と述べた。
 
(5)カスティージョ新政権と対ベネズエラとの関係
ア 28日、マドゥーロ・ベネズエラ大統領はカスティージョ新大統領と電話会談を行い、その後のインタビューにおいて同新大統領の人柄を讃えた上で新政権の成功を願った一方、リマ・グループに対する強い批判を展開した。
イ 28日、アレアサ・ベネズエラ外相がペルー政府からの公式招待を受けてペルーに到着して大統領就任式関連行事に参加し、30日にはベハル新外務大臣と個別に会談を行い、包括的な二国間関係の回復について協議した。