天皇誕生日に際しての挨拶
片山 和之
2022年2月23日
皆様、こんにちは。
2月23日は、今上天皇陛下62歳の誕生日です。日本国憲法第1条は、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴と規定しています。皆様とともに、天皇誕生日を心よりお祝いしたいと存じます。ちなみに、私も天皇陛下と同じ年1960年に生を受けましたので、感慨も特別です。
私にとり、ペルーで迎える2回目の天皇誕生日となります。昨年同様、本年も祝賀レセプションを実施することができず、皆様方と場を共にしてお祝いできないことを誠に残念に思います。
初めての地ペルーに赴任して1年5ヶ月余りが経過しました。外交活動も徐々に活発化し、ペルーの方々の暖かいおもてなしと熱心な支援により、当地の仕事と生活も軌道に乗ってきました。
スペイン語圏、そして南米勤務は40年近い外交官生活の中で初めてです。スペイン語能力は遅遅として向上しませんが、私の密かな誇りは、赴任前に外務省研修所で習った先生が、長年天皇陛下のスペイン語家庭教師をされていたということです。
ペルーは世界的な歴史・文化遺産に恵まれた国です。この1年5ヶ月の間にリマ市内に留まらずアレキパ、カラル、マチュピチュ、クスコ、ワラル、パチャカマック、ピスコ、ナスカ、イキトス、タクナ、モケグア、プーノ、チクラヨ、トルヒージョ、カハマルカ等を訪問する機会に恵まれ、改めてペルー社会や文化の多様性と豊かさに感銘を受けました。また、美食の国でもあり、世界的に有名なレストランで食事をする機会にも恵まれました。
ペルーは、世界で3番目に多い日系移住者を擁する国です。私の郷里広島からも多くの移住者が渡って来ました。日本人の血を引くペルー人として彼らが当地社会で活躍し、同時に両国の架け橋として重要な役割を果たしていることを誇りに思います。
昨年は、日・ペルー租税条約が発効し、更に、ペルーがCPTPPの南米最初、そして世界で8番目の締約国となるという朗報がありました。
また、昨年はリマに日本公使館が設置されてちょうど100周年に当たりましたが、その記念すべき年にヘスス・マリア区に立派な大使館新事務所が竣工するという嬉しい出来事もありました。
新型コロナウイルス対策に関し、日本政府からペルー政府に対してこれまで約1200万ドルの支援表明を行っています。是非今年こそは新型コロナウイルスを克服する年にしたいものです。更に、地震や津波等防災分野の協力をはじめ、経済、社会、文化等各方面で両国は協力関係を推進しています。
昨年ペルーは独立200周年を祝いましたが、同時に大統領選挙・国会議員選挙が実施され、新政権が発足しました。我が国でも昨年岸田政権が発足しました。新しい指導者の下で、両国の戦略的パートナーシップ関係が更に発展することを祈念します。
明年2023年は、日本が中南米最初の国としてペルーと外交関係を樹立して150周年を迎えます。皆様の御協力を得て、一連の有意義な記念行事を準備していきたいと考えていますので宜しくお願いします。更に、2024年にはペルーでの3度目のAPEC開催が決定しています。また、2025年には日本で大阪・関西万博が開かれます。
日・ペルー関係の重要なこの時期に、日本大使としてペルーで勤務できることは、私の外交官生活の中でもとても幸運だと思うと同時に、責任も重大だと身を引き締めています。
最後に、天皇陛下の末永き御健康と、日ペルー関係の更なる発展、そして皆様の御健勝を祈念しまして、私の挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。