1月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

令和4年3月10日
【概要】
(内政)
●28日、ギジェン内務大臣が辞任を表明した。
●31日、バスケス首相が辞任を表明し、カスティージョ大統領が内閣改造を発表した。
(外交)
●13日、カスティージョ大統領がコロンビアとの首脳会談他のため同国を訪問した。
●26日、カスティージョ大統領が第16回太平洋同盟首脳会合出席のためコロンビアを訪問した。
 
【本文】
1 内政
  • カスティージョ大統領を巡る汚職疑惑に係る捜査の開始
 4日、アバロス検事総長は、客年12月に報じられた国内橋梁建設計画の公共事業入札絡みの汚職疑惑他でカスティージョ大統領に対する捜査手続きを開始すると発表した一方で、実際の捜査行為については大統領職を終えるまで先送りにする旨明らかにした。
 
  • 統一地方選挙の公示
 4日、カスティージョ大統領は官報を通じて、2022年10月2日の統一地方選挙の施行について公示した。
 
  • トンガ沖大規模噴火の影響によるレプソル社製油所からの原油流出
ア 15日、トンガ沖大規模噴火の影響により生じた強い波が原因で、カヤオ憲法特別市ベンタニージャ地区にあるレプソル社製油所から原油が流出した。他方、ペルー海軍は要件を満たしていないとして津波警報を発していなかった。
イ 20日、環境省管轄機関である環境評価監査局(OEFA)及び国立自然保護区
管理事務所(SERNANP)は、同日までにベンタニージャ地区、サンタ・ロサ地区、アンコン地区及びチャンカイ地区の21の海岸や2つの自然保護区が影響を受けていると発表した。
ウ ペルー外務省は、今回のレプソル社による原油流出事故について近年ペルーで発生した事故の中でも最悪の環境破壊であるとした上で、同社に対し被害を受けた漁業世帯に対する損害賠償の支払いを求めるとともに、各国及び国際機関に対し支援・協力を要請した。
 
(4)ギジェン内務大臣の辞任
ア 28日、ギジェン内務大臣が辞任を表明した。同大臣は辞任の理由として、ガジャルド・ペルー国家警察(PNP)長官が犯罪及び汚職対策を妨げようとしていたと批判した上で、同長官の交代をカスティージョ大統領に進言したものの支持を得られなかった旨説明した。
イ 30日、カスティージョ大統領は、ギジェン内務大臣の辞任を受理すると同時に、ガジャルドPNP長官も併せ解任する旨Twitterを通じて発表した。
 
(5)バスケス首相の辞任
ア 31日、ギジェン前内務大臣の辞任を受けて、バスケス首相も辞任を表明した。同首相は辞任の理由について、内務省等重要セクターのトップや同省の方針について合意形成を得られなかった点を挙げた。
イ 同日、カスティージョ大統領はバスケス首相の辞任表明を受け、Twitterを通じて内閣改造を発表した。
 
(6)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア イプソス社:13日~14日実施、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%
  支持:33%(36%)、不支持:60%(58%)
イ ダトゥム社:28日~31日実施、全国(1,213名)、誤差±2.8%、信頼度95%
  支持:29%(32%)、不支持:64%(59%)
 
2 外交
(1)北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する非難
 7日、ペルー外務省は北朝鮮の新たな弾道ミサイル発射を非難するコミュニケを発出した。
 
(2)カスティージョ大統領とクレバー・キャローンIDB総裁との会談
 10日、カスティージョ大統領は、マウルトゥア外務大臣及びフランケ経済財政大臣同席の下、オンライン形式でクレバー・キャローン米州開発銀行(IDB)総裁と会談を行った。同会談においてカスティージョ大統領は、雇用の創出、中小零細企業支援、パンデミック禍における経済回復、グローバル・バリュー・チェーン、気候変動への適応や緩和等のプロジェクトに関心がある旨強調した。
 
(3)カスティージョ大統領のコロンビア訪問
 13日、カスティージョ大統領は、ドゥケ・コロンビア大統領との首脳会談及び第6回ペルー・コロンビア合同閣議出席のため、コロンビアのボヤカ県ビジャ・デ・レイバ市を訪問した。右首脳会談及び合同閣議においては、両国の主なアジェンダについて協議が行われ、ペルーのOECD加盟に向けたコロンビアの支持を強調する共同宣言(ビジャ・デ・レイバ宣言)が採択された。
 
(4)セミナリオ新在京ペルー大使の信任状の写しの提出
 18日、セミナリオ新在京ペルー大使は、森外務事務次官に対し信任状の写しを提出した。
 
(5)カスティージョ大統領のダボス・アジェンダ2022への出席
19日、カスティージョ大統領は新型コロナ対策などについて議論するダボス・アジェンダ2022(オンライン形式)に出席し、企業家に対して投資を呼び掛けると同時に、ペルー及びラ米における社会福祉向上のため共に取り組むよう呼び掛けた。
 
(6)カスティージョ大統領とディアス=グラナドスCAF総裁との会談
 19日、カスティージョ大統領は大統領府において、ディアス=グラナドス・アンデス開発銀行(CAF)総裁と会談した。同会談において同総裁は、新型コロナウイルス・ワクチン接種計画強化を目的として、ペルーに対する1.2億ドルの貸付を承認した旨報告した。
 
(7)ペルーのOECD加盟プロセスの開始
 25日、ペルー外務省はプレスリリースを発出し、同日、OECD理事会でペルーの同機構加盟プロセス開始が決定された旨発表した。
 
(8)カスティージョ大統領の第16回太平洋同盟首脳会合出席
26日、カスティージョ大統領は第16回太平洋同盟首脳会合出席のためコロンビアを訪問した。なお、同首脳会合において、ドゥケ・コロンビア大統領より、コロンビア大統領府直属の国家災害リスク管理ユニット(UNGRO)等を通じた原油流出関連の支援申し出を受けた。
 
(9)マウルトゥア外務大臣の第3回PROSUR首脳会合出席
 27日、コロンビアにおいて開催された第3回PROSUR首脳会合にマウルトゥア外務大臣が出席した。同首脳会合において、ペルーにおける原油流出による大規模な環境及び生態系破壊に対する連帯が表明された。