大使の挨拶

令和4年4月18日

リマ日本人学校入学式(令和4年度第54回入学式)祝辞

 2022年4月12日

皆さん、お早うございます。日本国大使として一言お祝いを申し上げます。

2年間のオンライン授業を経て、本日、日本人学校において対面形式の入学式、 そして対面授業が再開したことをとても嬉しく思います。

本日、入学された皆さん、御入学誠におめでとうございます。

小学1年生と中学1年生に同時にお話をするのは、とても難しいですが、特に 小学1年生の皆さんは少し我慢して聞いてください。

小学1年生は、初めての学校生活でわからないこと、心配なことがいろいろとあると思います。始めの内は少し大変かもしれませんが、直ぐに慣れて学校に通うことがとても楽しくなると思います。先生のお話をよく聞き、同級生と仲良くし、優しい上級生のお姉さん、お兄さんたちに面倒をみてもらいながら、しっかりと学び、遊んで下さい。

中学生の皆さんは、魯迅という中国人作家の小説を国語の授業で習うかもしれません。魯迅は、医学の道を志し仙台に留学しました。しかし、ある出来事がきっかけで、当時の遅れた中国にとり最も必要なことは身体の治療(医学)ではなく精神の改革(文学)だと考え、医者ではなく小説家になりました。彼の代表作のひとつに「藤野先生」という作品があります。藤野先生は、魯迅の仙台留学中、日本語が不自由な彼のために、講義ノートを毎回熱心に添削してあげました。 藤野先生のことを、魯迅は、後に自分を最も感激させ、励ましてくれた恩師であったと振り返っています。作家になってからも、藤野先生から餞別にもらった 「惜別」と書かれた写真をいつも机に飾っていたそうです。そして、その後の人生で辛いことがあるとその写真を見ては、自分を奮い立たせていたそうです。

魯迅と藤野先生との関係はわずか1年半でした。しかし、時間の長さに関係なく、皆さん、自分の人生を左右するような忘れがたい出会いや、大切な出来事、 心を揺さぶるような感動がこれからの学校生活にきっと待っていると思います。 是非、アンテナの感度を上げて日々を過ごして下さい。中学 1 年生の皆さんは、 義務教育課程の最終学校に入学されました。いずれ将来は日本やペルー、あるいは第3国の高校、そしてその後には大学受験が待っています。そのためにも、ここでしっかり学んで下さい。

先日、日本人学校の文集 INCA48号を拝見しました。コロナ禍の中でもそれぞれ皆さんが工夫してとても充実した学校生活を送られていることを知り、とても心強く嬉しく思いました。新入生の皆さんの前途にも同様な素晴らしい学校生活が待っています。 保護者の方々に対し、心よりお祝い申し上げます。お子様をここまで育てられたことにはひとしおの感慨があるかと存じます。

学校運営委員会、石川校長先生をはじめとする教職員、PTA皆様におかれては日頃よりの御尽力に改めて敬意を表します。また、地元関係者に対し日本人学 校のために頂いている御支援に感謝致します。

大使館としましても引き続き教育面、財政面、安全面等で、子供達のために少しでも良い教育環境作りに努力していきたいと考えています。遠慮なく大使館に対して御意見を頂ければと思います。

最後に、新入生の皆さんの楽しく充実した学校生活をお祈りして私の挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。