4月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。
令和4年5月5日
【概要】
(内政)
●7日、国会に罷免されたコンドリ保健大臣に代わり、ホルヘ・ロペス新保健大臣が任命された。
●8日、米州人権裁判所は、フジモリ元大統領への恩赦回復判決の執行を控えるべきとする決議を発出した。
●25日、カスティージョ大統領は、制憲議会招集の是非を問うための国民投票実施法案を国会に提出した。
(外交)
●29日、カスティージョ大統領はエクアドルを公式訪問した。
【本文】
1 内政
(1)燃料及び肥料価格等の高騰に伴う抗議デモの拡大
3月28日からフニン州の運輸業者が中心となり、政府に対し燃料価格高騰等への対策を求め開始された抗議デモは、その後肥料価格や一般商品価格の高騰対策を求める農業従事者や商業関係者等が抗議に加わったことで全国規模に拡大した。そして、死傷者や逮捕者が出る等抗議デモがエスカレートする中、4月5日、政府は終日の外出禁止令を発したが、市民や社会セクターが同令に強く反発したことから、同日午後には外出禁止令が解除された。しかしながら、その後もカスティージョ大統領の辞任を求める大規模デモが行われる等、複数日にわたり社会・政治情勢が緊迫化した。
(2)保健大臣の交代
3月31日、国会においてコンドリ保健大臣が罷免され、7日、後任としてホルヘ・ロペス新保健大臣が任命された。コンドリ保健大臣については就任当初から急進左派との関係やパンデミック禍における保健大臣としての資質に疑義が呈されていた。なお、ロペス新大臣は、外科医・放射線学者であり、3月11日から保健次官を務めていた。
(3)米州人権裁判所によるフジモリ元大統領恩赦回復判決執行差し止め要請
ア 8日、米州人権裁判所(CIDH)は、3月17日にペルー憲法裁判所がフジモリ元大統領に対して下した恩赦回復判決は、同元大統領に対する有罪判決の履行状況に関する2018年5月30日付決議で定められた条件を満たしていないとして、ペルーは同判決の執行を控えるべきであるとする決議を発出した。これを受け、一時差し止め措置として凍結されていた同元大統領の釈放が実質的に撤回されることとなった。
イ 17日未明、フジモリ元大統領が持病の心臓不整脈の悪化等により収監先の刑務所から市内の病院に緊急搬送された。同日、ケイコ・フジモリ人民勢力党党首は、フジモリ元大統領を巡る最近の法的状況が同元大統領の健康状態に影響を与えたと思われると述べた。
(4)制憲議会招集の是非を問う国民投票実施に係る法案提出
25日、カスティージョ大統領は、本年10月2日に予定される統一地方選挙の機会に新憲法制定のための制憲議会招集の是非を問う国民投票実施を目的とした法案を国会に提出した。なお、現行憲法には制憲議会を通じた新憲法制定に関する規定が存在しないことから、同法案には憲法第207条に「新憲法の起草及び承認は国民に選出された制憲議会が担う。」との条項を付け加える内容が含まれた。
(5)ムニョス・リマ市長の罷免
26日、全国選挙裁判所(JNE)は、ホルヘ・ムニョス・リマ市長に対する罷免の訴えを認める決定を下した。同市長については、地方公共団体法等で他の公職との兼務が認められていないにも関わらず、市長就任後の2019年に数か月間リマ上下水道公社(SEDAPAL)の役員を務めその間の報酬を得ていたことが明らかになっていた。これに対し、昨年11月にリマ市議会で同市長に対する罷免決議が提出されたものの否決された。しかし、その後、リマ市議会の決定がJNEに上訴され、同裁判所において審議が行われた結果、罷免を認める決定に至った。
(6)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム社:2日~4日、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:19%(25%)、不支持:76%(67%)
イ イプソス社:7日、全国(1,205名、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:19%(26%)、不支持:76%(66%)
ウ IEP社:18日~21日実施、全国(1,206名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:25%(24%)、不支持:67%(68%)
2 外交
(1)コスタリカ大統領選挙決選投票の結果に対する祝意表明
4日、ペルー政府は、外務省コミュニケを通じて、新コスタリカ大統領として当選したロドリゴ・チャベス氏に対する祝意を表すと共に、ペルー及びコスタリカ両国の歴史的な友好関係を強化するために引き続き共に取り組んでいく旨表明した。
(2)カスティージョ大統領のエクアドル訪問
ア 29日、カスティージョ大統領は、ペルー・エクアドル間の首脳会談及び合同閣議出席のためエクアドルを訪問した。カスティージョ大統領及びラッソ・エクアドル大統領は同首脳会談において、国境地域における国民統合や両国の社会経済関係の促進について協議し、今後それらの取り組みを強化していくことで一致した。
イ 同日に開催された第14回ペルー・エクアドル合同閣議において、カスティージョ大統領及びラッソ大統領は、ペルー及びエクアドルの両国国民の福祉向上、経済関係強化、国境を越えた犯罪に対する協力強化、ベネズエラ移民対策促進、国境地域流域の水質汚染対策、違法な鉱山採掘活動対策及び両国を繋ぐ道路の整備促進等、計44項目から成る共同宣言に署名を行った。
(内政)
●7日、国会に罷免されたコンドリ保健大臣に代わり、ホルヘ・ロペス新保健大臣が任命された。
●8日、米州人権裁判所は、フジモリ元大統領への恩赦回復判決の執行を控えるべきとする決議を発出した。
●25日、カスティージョ大統領は、制憲議会招集の是非を問うための国民投票実施法案を国会に提出した。
(外交)
●29日、カスティージョ大統領はエクアドルを公式訪問した。
【本文】
1 内政
(1)燃料及び肥料価格等の高騰に伴う抗議デモの拡大
3月28日からフニン州の運輸業者が中心となり、政府に対し燃料価格高騰等への対策を求め開始された抗議デモは、その後肥料価格や一般商品価格の高騰対策を求める農業従事者や商業関係者等が抗議に加わったことで全国規模に拡大した。そして、死傷者や逮捕者が出る等抗議デモがエスカレートする中、4月5日、政府は終日の外出禁止令を発したが、市民や社会セクターが同令に強く反発したことから、同日午後には外出禁止令が解除された。しかしながら、その後もカスティージョ大統領の辞任を求める大規模デモが行われる等、複数日にわたり社会・政治情勢が緊迫化した。
(2)保健大臣の交代
3月31日、国会においてコンドリ保健大臣が罷免され、7日、後任としてホルヘ・ロペス新保健大臣が任命された。コンドリ保健大臣については就任当初から急進左派との関係やパンデミック禍における保健大臣としての資質に疑義が呈されていた。なお、ロペス新大臣は、外科医・放射線学者であり、3月11日から保健次官を務めていた。
(3)米州人権裁判所によるフジモリ元大統領恩赦回復判決執行差し止め要請
ア 8日、米州人権裁判所(CIDH)は、3月17日にペルー憲法裁判所がフジモリ元大統領に対して下した恩赦回復判決は、同元大統領に対する有罪判決の履行状況に関する2018年5月30日付決議で定められた条件を満たしていないとして、ペルーは同判決の執行を控えるべきであるとする決議を発出した。これを受け、一時差し止め措置として凍結されていた同元大統領の釈放が実質的に撤回されることとなった。
イ 17日未明、フジモリ元大統領が持病の心臓不整脈の悪化等により収監先の刑務所から市内の病院に緊急搬送された。同日、ケイコ・フジモリ人民勢力党党首は、フジモリ元大統領を巡る最近の法的状況が同元大統領の健康状態に影響を与えたと思われると述べた。
(4)制憲議会招集の是非を問う国民投票実施に係る法案提出
25日、カスティージョ大統領は、本年10月2日に予定される統一地方選挙の機会に新憲法制定のための制憲議会招集の是非を問う国民投票実施を目的とした法案を国会に提出した。なお、現行憲法には制憲議会を通じた新憲法制定に関する規定が存在しないことから、同法案には憲法第207条に「新憲法の起草及び承認は国民に選出された制憲議会が担う。」との条項を付け加える内容が含まれた。
(5)ムニョス・リマ市長の罷免
26日、全国選挙裁判所(JNE)は、ホルヘ・ムニョス・リマ市長に対する罷免の訴えを認める決定を下した。同市長については、地方公共団体法等で他の公職との兼務が認められていないにも関わらず、市長就任後の2019年に数か月間リマ上下水道公社(SEDAPAL)の役員を務めその間の報酬を得ていたことが明らかになっていた。これに対し、昨年11月にリマ市議会で同市長に対する罷免決議が提出されたものの否決された。しかし、その後、リマ市議会の決定がJNEに上訴され、同裁判所において審議が行われた結果、罷免を認める決定に至った。
(6)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム社:2日~4日、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:19%(25%)、不支持:76%(67%)
イ イプソス社:7日、全国(1,205名、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:19%(26%)、不支持:76%(66%)
ウ IEP社:18日~21日実施、全国(1,206名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:25%(24%)、不支持:67%(68%)
2 外交
(1)コスタリカ大統領選挙決選投票の結果に対する祝意表明
4日、ペルー政府は、外務省コミュニケを通じて、新コスタリカ大統領として当選したロドリゴ・チャベス氏に対する祝意を表すと共に、ペルー及びコスタリカ両国の歴史的な友好関係を強化するために引き続き共に取り組んでいく旨表明した。
(2)カスティージョ大統領のエクアドル訪問
ア 29日、カスティージョ大統領は、ペルー・エクアドル間の首脳会談及び合同閣議出席のためエクアドルを訪問した。カスティージョ大統領及びラッソ・エクアドル大統領は同首脳会談において、国境地域における国民統合や両国の社会経済関係の促進について協議し、今後それらの取り組みを強化していくことで一致した。
イ 同日に開催された第14回ペルー・エクアドル合同閣議において、カスティージョ大統領及びラッソ大統領は、ペルー及びエクアドルの両国国民の福祉向上、経済関係強化、国境を越えた犯罪に対する協力強化、ベネズエラ移民対策促進、国境地域流域の水質汚染対策、違法な鉱山採掘活動対策及び両国を繋ぐ道路の整備促進等、計44項目から成る共同宣言に署名を行った。