ペルーの経済情勢(2022年第1四半期)
令和4年5月17日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率4.92%(2月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率6.82%(3月までの一年間)、対米ドル為替相場3.739ソル(3月平均値)、リマ首都圏の完全失業率9.4%(1月~3月)、財政収支約50億ソルの黒字(3月)、貿易収支約17億米ドルの黒字(2月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、2月は主に宿泊・飲食業及び運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、漁業等がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は4.92%(前年同月比)となった。




ウ 為替相場
3月の対米ドル為替相場の平均は3.739ソルであった。

エ 失業率
1月~3月のリマ首都圏の完全失業率は9.4%であった。

オ 財政収支
3月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で38.6%増となり、歳出は同比で0.2%増となった。全体では、プライマリーバランスは約50億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約45億ソルの黒字となった。

カ 貿易収支
2月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比25.7%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が28.2%増となり、全体では約57億米ドル(対前年同月比26.4%増)となった。主要輸出品目は銅、金、天然ガスであった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が2.6%減、中間財は36.6%増、資本財が7.9%減となり、全体で約40億米ドル(対前年同月比14.1%増)となった。この結果、貿易収支は約17億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は軽油、自動車、原油であった。


キ 外貨準備高
3月末の外貨準備高は約753億米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2021年12月末の対外債務累積総額は約1,020億米ドルとなった。


最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率4.92%(2月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率6.82%(3月までの一年間)、対米ドル為替相場3.739ソル(3月平均値)、リマ首都圏の完全失業率9.4%(1月~3月)、財政収支約50億ソルの黒字(3月)、貿易収支約17億米ドルの黒字(2月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、2月は主に宿泊・飲食業及び運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、漁業等がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は4.92%(前年同月比)となった。




イ インフレ率
3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、1.48%となり、最近12か月(2021年4月~2022年3月)の上昇率は、6.82%となった。
3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、1.48%となり、最近12か月(2021年4月~2022年3月)の上昇率は、6.82%となった。


ウ 為替相場
3月の対米ドル為替相場の平均は3.739ソルであった。



エ 失業率
1月~3月のリマ首都圏の完全失業率は9.4%であった。


オ 財政収支
3月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で38.6%増となり、歳出は同比で0.2%増となった。全体では、プライマリーバランスは約50億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約45億ソルの黒字となった。


カ 貿易収支
2月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比25.7%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が28.2%増となり、全体では約57億米ドル(対前年同月比26.4%増)となった。主要輸出品目は銅、金、天然ガスであった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が2.6%減、中間財は36.6%増、資本財が7.9%減となり、全体で約40億米ドル(対前年同月比14.1%増)となった。この結果、貿易収支は約17億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は軽油、自動車、原油であった。



キ 外貨準備高
3月末の外貨準備高は約753億米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2021年12月末の対外債務累積総額は約1,020億米ドルとなった。



(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・ペルーの経済協力開発機構(OECD)加盟プロセスの開始
1月27日、カスティージョ大統領は38か国が加盟するOECDの加盟プロセス開始の招待を受け入れる書簡に署名し、加盟への積極姿勢を示した。ペルーは2012年11月に同機構加盟を申請し、2017年にはアルゼンチン、ブラジル等とともに加盟候補国となっており、今般、加盟プロセス開始対象国となった。加盟には民主主義、人権擁護、開かれた経済、自由競争、法治国家、財政透明性、環境保全、汚職取締り等が条件付けられている。
・通商観光省発表:ペルーが2024年アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会合の議長国に
2月10日、2022年APEC議長国であるタイにより、ペルーが2024年にAPEC議長国となる旨発表された。ペルーが議長国を務めるのは、2008年、2016年に続き3回目となる。サンチェス通商観光大臣は加盟国との通商拡大は中小零細企業による輸出や観光部門に大きな恩恵を与えると強調した。2021年の加盟国との貿易実績は675億米ドルと史上最高を記録し、総貿易額の67.8%を占めている。
・通商観光省発表:2021年ペルーは生鮮ぶどう輸出世界第1位
2021年、ペルーの生鮮ぶどう輸出額は12億6,000万米ドル(前年比22%増)に達し、チリ(輸出額9億2,800万米ドル)を抜いて世界第1位となった(第3位:米国、第4位:中国)。生産・出荷地はイカ州(6億500万米ドル)とピウラ州(4億8,800万米ドル)が全体の87%を占め、また、輸出企業149社のうち38%が中小零細企業であった。仕向け国は、第1位:米国(5億1,400万米ドル)、第2位:欧州連合(2億3,900万米ドル)、第3位:香港(1億2,800万米ドル)、第4位:英国(6,800万米ドル)、第5位:メキシコ(5,400万米ドル)であった。
・中銀(BCR)政策金利引上げ、3.5%から4.0%に上昇
3月10日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.00%に引き上げることを決定し、8か月連続での政策金利引上げとなった。この政策金利引上げは、国際的な食料や原油価格の高騰と為替の下落などにより直近12か月間累計のインフレ率が2月に6.15%となり一時的に目標値(1~3%)を上回ったこと、食料とエネルギーコストを除く2月の12か月間累計のコア・インフレ率も3.26%と目標値を上回っていること等に対応するインフレ抑制策の一環とされている。中銀(BCR)は、年明けから続いている顕著な原油や食料価格の高騰と為替の下落に加えて国際紛争などによる影響も考慮すると、インフレ率が目標値内に収まるのは2023年の上半期になると予測。
・ペルー外務省発表:ペルーがアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に正式加盟
3月21日、ペルー外務省は同国のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)への正式加盟をプレスリリースで報じた。それに先立つ3月17日には、ルイス・ケサダ駐中国ペルー大使が北京で開催されたAIIB本部の「加盟国国旗の間」でのペルー国旗掲揚式に参加し、金立群AIIB総裁から加盟国証明書を受理するとともに、同大使から金総裁にペルーの加盟宣言書の写しを手交した。ペルーがAIIB加盟国になるためには、数年かかった。2016年9月に当時のクチンスキー大統領の訪中時に正式に参加表明を行ったことから始まり、その後、議会での審議を長年保留にされた末に2021年11月に議会承認を受け、同年12月28日公布の大統領令第077-2021-RE号により公式に加盟宣言を行った。中南米地域ではアルゼンチン、ブラジル、チリ、エクアドル、ウルグアイに次ぐ6番目の加盟国となる。
・ペルーの経済協力開発機構(OECD)加盟プロセスの開始
1月27日、カスティージョ大統領は38か国が加盟するOECDの加盟プロセス開始の招待を受け入れる書簡に署名し、加盟への積極姿勢を示した。ペルーは2012年11月に同機構加盟を申請し、2017年にはアルゼンチン、ブラジル等とともに加盟候補国となっており、今般、加盟プロセス開始対象国となった。加盟には民主主義、人権擁護、開かれた経済、自由競争、法治国家、財政透明性、環境保全、汚職取締り等が条件付けられている。
・通商観光省発表:ペルーが2024年アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会合の議長国に
2月10日、2022年APEC議長国であるタイにより、ペルーが2024年にAPEC議長国となる旨発表された。ペルーが議長国を務めるのは、2008年、2016年に続き3回目となる。サンチェス通商観光大臣は加盟国との通商拡大は中小零細企業による輸出や観光部門に大きな恩恵を与えると強調した。2021年の加盟国との貿易実績は675億米ドルと史上最高を記録し、総貿易額の67.8%を占めている。
・通商観光省発表:2021年ペルーは生鮮ぶどう輸出世界第1位
2021年、ペルーの生鮮ぶどう輸出額は12億6,000万米ドル(前年比22%増)に達し、チリ(輸出額9億2,800万米ドル)を抜いて世界第1位となった(第3位:米国、第4位:中国)。生産・出荷地はイカ州(6億500万米ドル)とピウラ州(4億8,800万米ドル)が全体の87%を占め、また、輸出企業149社のうち38%が中小零細企業であった。仕向け国は、第1位:米国(5億1,400万米ドル)、第2位:欧州連合(2億3,900万米ドル)、第3位:香港(1億2,800万米ドル)、第4位:英国(6,800万米ドル)、第5位:メキシコ(5,400万米ドル)であった。
・中銀(BCR)政策金利引上げ、3.5%から4.0%に上昇
3月10日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.00%に引き上げることを決定し、8か月連続での政策金利引上げとなった。この政策金利引上げは、国際的な食料や原油価格の高騰と為替の下落などにより直近12か月間累計のインフレ率が2月に6.15%となり一時的に目標値(1~3%)を上回ったこと、食料とエネルギーコストを除く2月の12か月間累計のコア・インフレ率も3.26%と目標値を上回っていること等に対応するインフレ抑制策の一環とされている。中銀(BCR)は、年明けから続いている顕著な原油や食料価格の高騰と為替の下落に加えて国際紛争などによる影響も考慮すると、インフレ率が目標値内に収まるのは2023年の上半期になると予測。
・ペルー外務省発表:ペルーがアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に正式加盟
3月21日、ペルー外務省は同国のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)への正式加盟をプレスリリースで報じた。それに先立つ3月17日には、ルイス・ケサダ駐中国ペルー大使が北京で開催されたAIIB本部の「加盟国国旗の間」でのペルー国旗掲揚式に参加し、金立群AIIB総裁から加盟国証明書を受理するとともに、同大使から金総裁にペルーの加盟宣言書の写しを手交した。ペルーがAIIB加盟国になるためには、数年かかった。2016年9月に当時のクチンスキー大統領の訪中時に正式に参加表明を行ったことから始まり、その後、議会での審議を長年保留にされた末に2021年11月に議会承認を受け、同年12月28日公布の大統領令第077-2021-RE号により公式に加盟宣言を行った。中南米地域ではアルゼンチン、ブラジル、チリ、エクアドル、ウルグアイに次ぐ6番目の加盟国となる。
(了)