5月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

令和4年6月1日
【概要】
(内政)
●22日、内務大臣、エネルギー鉱山大臣、農業開発灌漑大臣及び運輸通信大臣の4閣僚が交代した。
●26日、国会においてチャベス労働雇用促進大臣が罷免された。
(外交)
●24日及び25日、ボルアルテ副大統領は、2022年世界経済フォーラム(WFE)年次総会に出席した。
 
【本文】
1 内政
(1)新リマ市長の就任
ア 4日、全国選挙裁判所(JNE)はプレスリリースを通じて、市長就任後にリマ上下水道公社(SEDAPAL)の役員を務め報酬を得ていたことが明らかとなり罷免されたムニョス・リマ市長の残りの任期を全うするためにミゲル・ロメロ・リマ副市長が市長に就任する旨公表した。
イ 9日、ロメロ副市長が新リマ市長に就任し、同新市長の宣誓式にアルバ国会議長他が出席した。
 
  • カスティージョ大統領を巡る新たなスキャンダルの浮上
ア 6日、カハマルカ州の地方検察庁は、カスティージョ大統領がセサル・バジェホ大学において修士号を得るために提出した修士論文の盗作等の疑いにより同大統領夫妻に対する捜査を開始した旨明らかにした。
イ 11日、昨年12月に報じられたカスティージョ大統領に関する公共事業絡みの汚職疑惑に関し、同疑惑に関与した疑いで24ヵ月の拘留措置を受けている企業家サミル・ビジャベルデ氏が国会(オンライン形式)において証言を行い、カスティージョ大統領が民意を操作して大統領選挙に勝利した旨発言した。これに対し、17日、サラスJNE長官は右発言を拒絶した。また、ジャベルデ氏は17日、カスティージョ大統領がペルー国営石油会社「ペトロペルー」の入札において落札した企業から昨年11月に2百万ソル(約54万ドル)を受け取った旨発言した。
ウ 29日、ペルー検察は公共事業絡みの汚職疑惑に関し、カスティージョ大統領を起訴に向けた予備捜査の対象に含めることを決定した旨明らかにした。これに対し、31日、カスティージョ大統領の弁護団は検察に対し同大統領に対する予備捜査を無効とするよう要請した。
 
  • 制憲議会招集の是非を問う国民投票実施に係る法案の廃案
 6日、国会憲法員会は、政府により提出された本年10月2日の統一地方選挙の機会に新憲法制定のための制憲議会招集の是非を問う国民投票実施を目的とした法案の廃案を決定した。
 
  • 新憲法裁判所判事の選出
 憲法裁判所判事計7名のうち既に任期が切れている6名の判事の選出プロセスに関し、10日、国会本会議において採決が行われた結果、全候補が必要とされる票数(国会議員の3分の2以上(87票))を獲得し6名の新判事が選出された。
 
  • フジモリ元大統領の緊急搬送
 19日、フジモリ元大統領は体調が悪化したことから収監先の刑務所からリマ市内の病院に緊急搬送され、集中治療室での治療を受けて容態が安定した後、秘日移住100周年記念病院に再搬送された。なお、フジモリ元大統領のリマ市内の病院への緊急搬送は今年に入って3回目となる。
 
  • 閣僚の交代
ア 22日、内務大臣、エネルギー鉱山大臣、農業開発灌漑大臣及び運輸通信大臣の4閣僚が交代した。
イ 新内務大臣にはディミトリ・センマチェ氏、新エネルギー鉱山大臣にはアレサンドラ・エレラ氏、新農業開発灌漑大臣にはハビエル・アルセ氏、新運輸通信大臣にはフアン・バランスエラ氏が就任した。
ウ 26日、国会本会議において、チャベス労働雇用促進大臣に対する罷免決議についての審議が行われ、賛成多数(賛成71票、反対28票、棄権12票)で同大臣に対する罷免決議が可決された。また、29日、フアン・ラモン・リラ氏が新労働雇用促進大臣として就任した。
 
(7)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム社:5日~9日、全国(1,200名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:20%(19%)、不支持:75%(76%)
イ イプソス社:12日~13日、全国(1,246名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:22%(19%)、不支持:72%(76%)
ウ IEP社:23日~26日、全国(1,201名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:21%(25%)、不支持:70%(67%)
 
2 外交
(1)当地における第52回米州機構(OAS)総会の開催
 19日、アルマグロOAS事務総長及びフォルサイトOASペルー政府常駐代表は、米ワシントンのOAS本部において、本年10月5日から同7日までリマにおいて第52回OAS総会を開催するための合意書に署名を行った。
 
(2)ボルアルテ副大統領他の2022年世界経済フォーラム(WEF)年次総会出席
ア ボルアルテ副大統領は、24日及び25日に行われた2022年WEF年次総会出席のためスイスを訪問した。ボルアルテ副大統領は、ペルーは企業家が安全かつ明確な規則の下投資を行うことが出来るよう法的安定性を保障する旨発言した。なお、ボルアルテ副大統領にはランダ外務大臣及びグラハム経済財政大臣が同行した。
イ 24日、ランダ外務大臣は、フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外務大臣及びベトナムのレ・バン・タイン副首相等と二国間関係の強化に向けて各々会談を行った。
 
(3)ペルー政府による北朝鮮のミサイル発射に対する非難
 26日、ペルー外務省は5月25日に打ち上げられた北朝鮮の新たなミサイル発射に対し、国際法及び国連安全保障理事会の決議に明らかに違反するものであるとして、これを断固として非難する旨のTwitterを発信した。