6月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和4年8月9日
【概要】
(内政)
●5日、アルセ農業開発灌漑大臣が辞任し、翌6日、アレンカストレ新農業開発灌漑大臣が就任した。
●8日、与党ペルー・リブレから5名が離党し、新たに「ペルー・ビセンテナリオ」を結成した。
●14日、国会の憲法小委員会は、ボルアルテ副大統領が職務と並行して私的団体の理事を兼任していたことに関して、国務大臣の兼職を禁ずる憲法126条に違反したとして、訴追手続きを進めるのは適切と判断した。
●20日、退任したサンチェス氏に代わり、ベナビデス氏が検事総長に就任した。
●30日、国会はセンマチェ内務大臣に対する問責決議を可決し、同大臣が罷免された。
●30日、カスティージョ大統領はペルー・リブレから正式に離党することを発表した。
(外交)
●8日、カスティージョ大統領は第4回米州サミットに出席した。また同サミット中、コロンビアのドゥケ大統領(当時)と会談した。
●10日、ペルー政府は経済協力開発機構(OECD)への加盟プロセスを開始することを発表した。
【本文】
1 内政
(1)農業開発灌漑大臣の交代
ア 6月5日、ハビエル・アルセ農業開発灌漑大臣は就任からわずか約2週間にして辞任することとなった。同氏は農業分野の経験がなく資質の欠如について批判があったことに加え、過去の自身の司法事案を適切に公表しなかったこと等により、辞任を求める声が強まっていた。
イ 翌6日、国立ラ・モリーナ農業大学教授のアンドレス・アランカストレ氏が後任として選出された。
(2)ペルー・リブレから離党した5名が新党結成
6月8日、与党ペルー・リブレから5名の国会議員が離党し、憲法改正、経済の再活性化、富裕層に対する徴税等を目標に掲げる新党「ペルー・ビセンテナリオ」を結成することが明らかになった。これにより、同新党はペルー民主主義会派(PD)、教員団体国家連合(BMCN)に次いで、三番目にペルー・リブレから分離して結成された政党・会派となる。また、カスティージョ政権当時は37人いたペルー・リブレ所属の国会議員は、16名に減少した。
(3)国会の憲法小委員会がボルアルテ副大統領の訴追を適当と判断
6月14日、国会の憲法小委員会は、ボルアルテ副大統領兼社会包摂大臣が同役職と並行して私的団体の代表を兼任していたことに関して、国務大臣の兼職を禁ずる憲法126条に違反したとして、訴追手続きを進めるのは適当と判断した。小委員の判断を受け、今後常設委員会、そして国会本会議にかけられ必要な票数が集まった場合には、ボルアルテ副大統領は罷免ないし公職追放されることとなる。一方、ボルアルテ大統領側は、国務大臣としての公務と、一団体の代表の役職については何らの連関性もないとして応戦する構えを見せている。
(4)新検事総長の就任
6月20日、国家検察庁の臨時会合において、パブロ・サンチェス氏の後任としてパトリシア・ベナビデス氏が新検事総長として就任することが決定された。ベナビデス新検事総長は、サンチェス氏がカスティージョ大統領に対して開始していた同大統領の汚職疑惑に関する予備捜査について、引き続き継続して行う旨声明を発表した。
(5)内務大臣の罷免
6月30日、国会はセンマチェ内務大臣に対する問責決議を実施し、賛成多数で可決され、同大臣は罷免されることとなった。同大臣は、公共事業関連の汚職への関与が疑われ裁判所より出国禁止命令が出ていたシルバ元運輸通信大臣が行方不明になっている件に対し、国家警察の責任者として適切な予防措置を講じなかった点等により、辞任を求める声が強まっていた。
(6)大統領のペルー・リブレからの離党
6月30日、カスティージョ大統領はウラジーミル・セロン氏を党首とする与党ペルー・リブレから離党を促されたことを受け、同党を正式に離党することを明らかにした。大統領はツイッターを通して離党を明らかにし、同ツイートにおいて、「かかる決断は、3,300万人のペルー国民の大統領としての責任に従ったものであり、自分はペルー・リブレと同党が(昨年の)大統領選挙選挙期間中に築いた基盤をリスペクトしている」と発信した。同党のスポークスマンであるバルデマル・セロン氏は、カスティージョ大統領の離任を促した主な理由として、関与が疑われている汚職問題について国民に説明責任を果たしていないこと、カスティージョ大統領が、同党の掲げる政策やイデオロギーを十分に推進してこなかったこと等を挙げている。
(7)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:3日~7日、全国(1,206名、誤差±2.9%、信頼度95%)
支持:23%(20%)、不支持:71%(75%)
イ イプソス 社:9日~10日、全国(1,243名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:23%(22%)、不支持:70%(72%)
ウ IEP 社:20日~23日、全国(1,205名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:19%(21%)、不支持:71%(70%)
2 外交
(1)カスティージョ大統領の第4回米州サミット出席
6月8日、カスティージョ大統領は第4回米州サミットに出席し、演説を行った。演説のなかで、大統領は経済成長と国民の幸福のために民間投資を促進すると述べ、ペルーの豊富な資源や付加価値の高い農産物をアピールするとともに、同国への投資を広く呼びかけた。また、2024年開催のアジア太平洋経済協力(APEC)議長国に決定したことにも触れ、アジア太平洋地域における地位を強固にすることを目指すと述べた。
(2)カスティージョ大統領がコロンビアのドゥケ大統領と会談
6月8日、米州サミットへの出席にあわせて、カスティージョ大統領はコロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領と会談した。会談では、昨年1月に開催された両国による第6回合同閣議の進展を評価するとともに、貿易、麻薬密売組織との戦い、国境警備、レティシア協定、二国間関係について話し合われた。
(3)ペルーの経済協力開発機構(OECD)への加盟プロセス開始
6月10日、OECD閣僚理事会にペルー政府代表団(チャベス外務副大臣を団長とし、コントレラス経済財政副大臣、ジェルバシ通商観光副大臣で構成)が出席し、同理事会終了時に採択したロードマップをもってOECDへの加盟プロセスを開始すると発表した。
(内政)
●5日、アルセ農業開発灌漑大臣が辞任し、翌6日、アレンカストレ新農業開発灌漑大臣が就任した。
●8日、与党ペルー・リブレから5名が離党し、新たに「ペルー・ビセンテナリオ」を結成した。
●14日、国会の憲法小委員会は、ボルアルテ副大統領が職務と並行して私的団体の理事を兼任していたことに関して、国務大臣の兼職を禁ずる憲法126条に違反したとして、訴追手続きを進めるのは適切と判断した。
●20日、退任したサンチェス氏に代わり、ベナビデス氏が検事総長に就任した。
●30日、国会はセンマチェ内務大臣に対する問責決議を可決し、同大臣が罷免された。
●30日、カスティージョ大統領はペルー・リブレから正式に離党することを発表した。
(外交)
●8日、カスティージョ大統領は第4回米州サミットに出席した。また同サミット中、コロンビアのドゥケ大統領(当時)と会談した。
●10日、ペルー政府は経済協力開発機構(OECD)への加盟プロセスを開始することを発表した。
【本文】
1 内政
(1)農業開発灌漑大臣の交代
ア 6月5日、ハビエル・アルセ農業開発灌漑大臣は就任からわずか約2週間にして辞任することとなった。同氏は農業分野の経験がなく資質の欠如について批判があったことに加え、過去の自身の司法事案を適切に公表しなかったこと等により、辞任を求める声が強まっていた。
イ 翌6日、国立ラ・モリーナ農業大学教授のアンドレス・アランカストレ氏が後任として選出された。
(2)ペルー・リブレから離党した5名が新党結成
6月8日、与党ペルー・リブレから5名の国会議員が離党し、憲法改正、経済の再活性化、富裕層に対する徴税等を目標に掲げる新党「ペルー・ビセンテナリオ」を結成することが明らかになった。これにより、同新党はペルー民主主義会派(PD)、教員団体国家連合(BMCN)に次いで、三番目にペルー・リブレから分離して結成された政党・会派となる。また、カスティージョ政権当時は37人いたペルー・リブレ所属の国会議員は、16名に減少した。
(3)国会の憲法小委員会がボルアルテ副大統領の訴追を適当と判断
6月14日、国会の憲法小委員会は、ボルアルテ副大統領兼社会包摂大臣が同役職と並行して私的団体の代表を兼任していたことに関して、国務大臣の兼職を禁ずる憲法126条に違反したとして、訴追手続きを進めるのは適当と判断した。小委員の判断を受け、今後常設委員会、そして国会本会議にかけられ必要な票数が集まった場合には、ボルアルテ副大統領は罷免ないし公職追放されることとなる。一方、ボルアルテ大統領側は、国務大臣としての公務と、一団体の代表の役職については何らの連関性もないとして応戦する構えを見せている。
(4)新検事総長の就任
6月20日、国家検察庁の臨時会合において、パブロ・サンチェス氏の後任としてパトリシア・ベナビデス氏が新検事総長として就任することが決定された。ベナビデス新検事総長は、サンチェス氏がカスティージョ大統領に対して開始していた同大統領の汚職疑惑に関する予備捜査について、引き続き継続して行う旨声明を発表した。
(5)内務大臣の罷免
6月30日、国会はセンマチェ内務大臣に対する問責決議を実施し、賛成多数で可決され、同大臣は罷免されることとなった。同大臣は、公共事業関連の汚職への関与が疑われ裁判所より出国禁止命令が出ていたシルバ元運輸通信大臣が行方不明になっている件に対し、国家警察の責任者として適切な予防措置を講じなかった点等により、辞任を求める声が強まっていた。
(6)大統領のペルー・リブレからの離党
6月30日、カスティージョ大統領はウラジーミル・セロン氏を党首とする与党ペルー・リブレから離党を促されたことを受け、同党を正式に離党することを明らかにした。大統領はツイッターを通して離党を明らかにし、同ツイートにおいて、「かかる決断は、3,300万人のペルー国民の大統領としての責任に従ったものであり、自分はペルー・リブレと同党が(昨年の)大統領選挙選挙期間中に築いた基盤をリスペクトしている」と発信した。同党のスポークスマンであるバルデマル・セロン氏は、カスティージョ大統領の離任を促した主な理由として、関与が疑われている汚職問題について国民に説明責任を果たしていないこと、カスティージョ大統領が、同党の掲げる政策やイデオロギーを十分に推進してこなかったこと等を挙げている。
(7)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:3日~7日、全国(1,206名、誤差±2.9%、信頼度95%)
支持:23%(20%)、不支持:71%(75%)
イ イプソス 社:9日~10日、全国(1,243名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:23%(22%)、不支持:70%(72%)
ウ IEP 社:20日~23日、全国(1,205名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:19%(21%)、不支持:71%(70%)
2 外交
(1)カスティージョ大統領の第4回米州サミット出席
6月8日、カスティージョ大統領は第4回米州サミットに出席し、演説を行った。演説のなかで、大統領は経済成長と国民の幸福のために民間投資を促進すると述べ、ペルーの豊富な資源や付加価値の高い農産物をアピールするとともに、同国への投資を広く呼びかけた。また、2024年開催のアジア太平洋経済協力(APEC)議長国に決定したことにも触れ、アジア太平洋地域における地位を強固にすることを目指すと述べた。
(2)カスティージョ大統領がコロンビアのドゥケ大統領と会談
6月8日、米州サミットへの出席にあわせて、カスティージョ大統領はコロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領と会談した。会談では、昨年1月に開催された両国による第6回合同閣議の進展を評価するとともに、貿易、麻薬密売組織との戦い、国境警備、レティシア協定、二国間関係について話し合われた。
(3)ペルーの経済協力開発機構(OECD)への加盟プロセス開始
6月10日、OECD閣僚理事会にペルー政府代表団(チャベス外務副大臣を団長とし、コントレラス経済財政副大臣、ジェルバシ通商観光副大臣で構成)が出席し、同理事会終了時に採択したロードマップをもってOECDへの加盟プロセスを開始すると発表した。