ペルー安全対策情報(2022年7~9月分:邦人被害例等)

令和4年10月3日
在ペルー日本国大使館
1 社会・治安情勢
テロ組織は一部山間部地域に潜伏し、麻薬密輸を資金源に現在も活動を続け、軍や国家警察に対する武力攻撃を続けています。また、不安定な政治・社会情勢に対する過激なデモや抗議活動が各地で突発的に行われ、多数の死傷者や逮捕者が出ています。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞に加えて、原油及び食料品の高騰を原因とした生活不安による犯罪件数の増加も懸念されています。
 
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)全般
ア 2021年中の刑法犯罪認知件数は、全国で377,353件(前年比+77,830件・同126%)と前年から大きく増加しました。これまでコロナ禍による外出制限や各種規制により犯罪は減少傾向が続いていましたが、各種制限の撤廃に伴い現在では都市部を中心に急激に犯罪が増加しています。
今年に入っても、その傾向は変わらず、2022年第一四半期(同年1月から3月末まで)の統計では、殺人や傷害等の生命及び身体に対する犯罪126,020件(前年同時期比2,154件増)、強盗や窃盗等の財産に対する犯罪75,820件(前年同時期比24,736件増)となっており、上記罪種の犯罪の約6割が、首都リマ市・カヤオ憲法特別市において集中的に発生しています。これら件数はあくまで警察に被害申告がなされたことにより把握された犯罪件数の統計であり、実際には未申告の更に多くの犯罪が発生しているものと考えられます。
イ 本年に入り、外国人観光客が被害者となる長距離バス車内での犯罪の発生が報告されています。具体的には夜間、停留所や休憩所に停車した際に車外から強盗犯人が乗り込み乗客の金品を奪い立ち去る手口の他、車内の隣席の人間から薬物が混入した菓子や飲み物等を勧められ口にしたところ昏睡し、所持品を奪われる等の手口です。長距離バス利用時は夜行バスの利用は避ける、目的地まで直通のバスを選ぶ、乗車時に身分確認が行われる大手のバス会社のバス(CRUZ DEL SUR等)を選ぶなどの対策が必要です。
ウ ミラフローレス区やサン・イシドロ区等においても、日中からオートバイを使用した犯人らによる、ひったくりや強盗が多発しています。また高級腕時計や貴金属を持つ者の後をつけ、人気の無い場所で襲うといった手口は従来から継続して発生しており装飾・携行品には特に注意してください。
エ 携帯電話を狙った、ひったくりの発生が急増しており被害時に抵抗したため犯人から銃撃される事例が多く発生しています。国内で1日あたり4,000件を超える携帯電話の盗難が発生しているとの統計もあり、外出時は自分の持っている携帯電話は犯人にとって「高級品」であることを自覚し、十分注意すると共に、被害時には絶対に抵抗しないことが重要です。また、携帯電話の盗難件数の増加に伴い、被害品の携帯電話に保存された個人情報を悪用したインターネット犯罪も増加しています。歩きながらの携帯電話の使用は控え、やむを得ず、携帯電話を屋外で使用する場合は、周囲をよく警戒することが大切です。
オ サン・イシドロ区、ミラフローレス区等にて、路上強盗が頻発しており、被害者が無抵抗であっても発砲する等、犯行が獰猛(どうもう)化している傾向があります。また、一般人を装った共犯者(連絡役)が市内各所(店舗の出入口、銀行・ATM前、飲食店内、空港の出入口付近等)に配置されており、共犯者が、被害者を物色・選定し、実行犯に連絡するという手法が取られていることから、これまで以上に所持品・携行品は他人から見えない様に携行し、華美な服装は避ける等といった、ターゲットにならないための注意を払う必要があります。
(2)犯罪被害例等
ア (盗難)イカ州ナスカ郡のアルマス広場近辺のレストランにおいて邦人旅行者の荷物の置き引きが発生し、パスポート、現金、クレジットカード等の金品が奪われました。
イ (強盗)リマ市サン・ミゲル区のショッピングセンター内において、強盗事件が発生し、警察との銃撃戦の上、犯人は逃走しました。
ウ (強盗)リマ市ミラフローレス区の宝石店に強盗が侵入し、駆けつけた警察により犯人は逮捕されました。
エ (強盗)リマ市バランコ区のクリーニング店で強盗が発生しました。
オ (強盗)リマ市ミラフローレス区の路上において、散歩中の少年がバイクに乗った強盗2人組拳銃で脅され、金品を奪われました。
カ (強盗)リマ市バランコ区の民家侵入した2人組強盗が警察に逮捕されました。
 
3 テロ・爆弾事件発生状況
アプリマック・エネ・マンタロ川渓谷(VRAEM)地域の一部地域では、引き続き武装組織と治安部隊との衝突が度々発生しており、非常事態宣言が延長されています。同地域における非常事態宣言は今後も継続される見通しです。
また、過去にはリマ市内で、手榴弾を路上に置き去る事案が発生していることから、不審物を発見した際は決して近づいたり触ったりすることなく、速やかに警察に通報し処理を委ねることが重要です。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
ペルーではリマ市を含む各地で、年少者被害の誘拐や、ATMから現金を引き下ろさせる目的の誘拐強盗(短時間誘拐)が発生しています。
また、建設関連業者等に対してみかじめ料等を求める脅迫、恐喝、殺人事件が発生しています。普段からパターン化した行動を避け、犯人に行動を予知されないようにすることが大切です。
 
5 日本企業の安全に係わる状況
現在、特段の情報はありません。