9月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり

令和4年10月19日
【概要】
1 内政
●5日、国会においてカモネス国会議長に対し提出された罷免決議が審議・採決の結果可決され、同議長が罷免された。
●12日、新国会議長にホセ・ウィリアムス国会議員が選出された。
●13日、新外務大臣及び新農業開発灌漑大臣が就任した。
●15日、アルバラド運輸通信大臣の罷免決議が可決され、同大臣の罷免が決定した。
●23日、新国防大臣及び新運輸通信大臣が就任した。
●28日、国家検察庁がケンジ・フジモリ元国会議員に対し、地位の不正利用及び買収の罪で懲役12年の求刑を行うことを決定した。
 
2 外交
●6日、リマにて第1回ラテンアメリカ・カリブ海地域国際連合平和活動会議の開会式が開催され、カスティージョ大統領やロドリゲス外務大臣等が出席した。
●14日、辞任を表明していたロドリゲス・クアドロス国連大使(常駐代表)及びフォルサイト米州機構(OAS)担当大使の続投が判明した。
●15日、ペルー外務省が「サハラ・アラブ民主共和国」との外交関係の再開を発表した。
●20日、カスティージョ大統領が第77回国連総会にて一般討論演説を行った。
 
【本文】
1 内政
(1)カモネス国会議長の罷免
 9月5日、国会においてレディ・カモネス国会議長に対する罷免決議に関する審議・採決が実施され、賛成多数で可決された。カモネス議長罷免の背景として、同3日、同議長も所属する進歩のための同盟(APP)の党内会議における会話の録音データが流出し、セサル・アクニャ党首が同議長に対して、自身のラ・リベルタ州知事への当選に有利となる法案を優先して審議し承認するよう依頼していたことが発覚していた。
 
(2)新国会議長にホセ・ウィリアムス国会議員が選出
 9月12日、同5日にカモネス国会議長が罷免されたことを受け、新国会議長選挙が行われ、投票の結果、野党・国家前進党(AvP、中道右派)のホセ・ウィリアムス国会議員が選出された。同新国会議長は、1997年に終結した日本大使公邸占拠事件における人質救出作戦「チャビン・デ・ワンタル作戦」の司令官を務めていた。
 
(3)新外務大臣及び新農業開発灌漑大臣の就任
 9月13日、カスティージョ大統領は、同9日に辞任を発表していたロドリゲス外務大臣の後任として、本年2月から8月まで同職を務めていたセサル・ランダ元外務大臣を再任した。また、農業開発灌漑大臣の交代も発表し、アレンカストレ同大臣の後任として、ジェニー・オカンポ生産省零細漁業局長を新大臣に任命した。
 
(4)アルバラド運輸通信大臣の罷免
 9月15日、ヘイネル・アルバラド運輸通信大臣の罷免決議が国会にて審議・採決された結果、賛成94票、反対14票、棄権8票で可決され、同氏の罷免が決定した。同氏は住宅建設上下水道大臣在任時にカスティージョ大統領周辺の組織犯罪に関与した疑いで検察の捜査対象になっていたことから、罷免決議が提出されていた。
 
(5)新運輸通信大臣及び新国防大臣の就任
 9月23日、カスティージョ大統領は、新運輸通信大臣として、同15日に罷免されたアルバラド運輸通信大臣の後任に、リチャルド・ティネオ国防大臣を任命した。また、ティネオ同大臣の後任として、元ペルー空軍退役軍人のダニエル・バラガン元開発社会的包摂省社会プログラム・マクロ地域コーディネーターを新国防大臣に任命した。
 
(6)国家検察庁がケンジ・フジモリ元国会議員に懲役12年の求刑を行うことを決定
 9月28日、国家検察庁はケンジ・フジモリ(ケイコ・フジモリ氏の弟)元国会議員に対し、地位の不正利用及び買収の罪で懲役12年の求刑を行うことを決定した。ケンジ元議員は国会議員時代に、クチンスキー大統領(当時)に対する弾劾回避のために複数の議員を買収している様子を隠し撮りした映像及び音声が暴露されたことで、地位の不正利用及び買収の罪で告発されていた。
 
(7)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:17日~21日、全国(1,204名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:23%(19%)、不支持:71%(76%)
イ イプソス 社:8日~9日、全国(1,246名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:23%(25%)、不支持:67%(69%)
ウ IEP 社:20日~25日、全国(1,206名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:25%(29%)、不支持:65%(63%)
 
2 外交
(1)第1回ラテンアメリカ・カリブ海地域国際連合平和活動会議が開幕
9月6日、リマにて第1回ラテンアメリカ・カリブ海地域国際連合平和活動会議の開会式が開催され、カスティージョ大統領をはじめロドリゲス外務大臣、ティネオ国防大臣、国連代表団等が出席した。カスティージョ大統領は同式典において、政府による平和活動への寄与の拡大や、戦争ではなく対話、協議、団結による問題の解決等について言及した。
 
(2)ロドリゲス・クアドロス国連大使(常駐代表)及びフォルサイト米州機構(OAS)担当大使の続投
 9月14日、8月に辞任を表明していたロドリゲス・クアドロス国連大使(常駐代表)及びフォルサイト米州機構(OAS)担当大使が、それぞれ同職を続投することが判明した。
 
(3)外務省が「サハラ・アラブ民主共和国」との外交関係の再開を発表
 9月15日、ペルー外務省は、ランダ新外務大臣のもとで「サハラ・アラブ民主共和国」(SADR)との外交関係の再開について発表した。SADRとの外交関係については、8月18日に当時のロドリゲス外務大臣が「国交」断絶を発表したが、カスティージョ大統領がそれを否定する等、政府内で立場が分かれていた。
 
(4)カスティージョ大統領が第77回国連総会に出席
 9月19日から21日にかけて、カスティージョ大統領は第77回国連総会出席のためにニューヨークに滞在し、同20日には一般討論演説を行った。演説では、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ問題、経済状況や気候変動、内政危機等について言及した。また、滞在中にグテーレス国連事務総長及びアルマグロ米州機構(OAS)事務総長、「サハラ・アラブ民主共和国」(SADR)のウルドサーレク外務大臣と会談を行った。