10月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和4年11月7日
【概要】
1 内政
●2日、全国で統一地方選挙が実施され、リマ市長選では人民刷新党(RP)党首のロペス・アリアガ候補が当選した。
●6日、国会がカスティージョ大統領のヨーロッパ外遊の承認要請を否決した。
●11日、国家検察庁が組織犯罪への関与の疑いで人民行動党(AP)の議員6名の家宅捜索を実施した。
●11日、国家検察庁がカスティージョ大統領を憲法訴追すると発表した。
●19日、カスティージョ大統領が自身になされた憲法訴追に対する国民向けメッセージを発出するとともに、米州機構(OAS)に支援要請したことを発表した。
●26日、大統領の義理の妹が公判前拘留から釈放された。
●27日、新保健大臣が就任した。
2 外交
●4日、ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●4日、第52回OAS総会に先立ち、ビジネスフォーラム「ペルーと地域経済のシナリオ」が開催された。
●5~7日、リマにて第52回OAS総会が開催された。
●6日、カスティージョ大統領がブリンケン米国務長官と会談を実施した。
●21日、OASは、カスティージョ大統領の支援要請を受け、ペルーの内政状況を分析する代表団を同国に派遣することを決定した。
●28日、ペルー外務省は、2024年の国際捕鯨委員会(IWC)の開催地がペルーに決定したことをプレスリリースにて発表した。
【本文】
1 内政
(1)2022年統一地方選挙の実施
10月2日、全国で統一地方選挙が実施された。リマ市長選では、人民刷新党(RP)党首のロペス・アリアガ候補が当選した。州知事選では、16の州で当選確実、9の州でいずれの候補も有効票の30%超を獲得しなかったことから、得票率上位2名による決選投票が行われることとなった。
(2)国会がカスティージョ大統領のヨーロッパ外遊の承認要請を否決
10月6日、国会は、カスティージョ大統領が10月12日から18日までのヨーロッパ外遊を承認する決議案について審議し、採決の結果、賛成54、反対56、棄権6で否決した。国会がカスティージョ大統領の外遊を拒否するのは、8月のペトロ・コロンビア大統領の就任式出席のための外遊承認要請の否決に次ぐ2回目となった。
(3)国家検察庁が組織犯罪への関与の疑いで人民行動党(AP)の議員6名の家宅捜索を実施
10月11日、国家検察庁は、組織犯罪への関与の疑いで同庁の捜査を受けている人民行動党(AP)の6名の議員の事務所と住居を家宅捜索した。同6議員は「ロス・ニーニョス(子供たち)」(教員出身であるカスティージョ大統領に従順な子供たちの意)と呼ばれており、野党会派にもかかわらず同大統領の罷免決議に反対票を投じる等同大統領に協力する代わりに、各自が拠点を置く地域における公共事業の優遇やその他個人的利益を享受している疑いが指摘されている。
(4)国家検察庁がカスティージョ大統領に対する憲法訴追を発表
10月11日、国家検察庁は国会に対して、組織犯罪、地位の不正利用及び収賄の疑いがあるとして、カスティージョ大統領を憲法訴追すると発表した。国家検察庁が現職の大統領に対して憲法訴追をするのは、憲政史上初めてとなる。同日、国会は憲法訴追にかかる文書を受領したことを明らかにし、まずは憲法訴追小委員会にて審議を進めることを発表した。
(5)カスティージョ大統領が国民向けメッセージを発出
10月19日、カスティージョ大統領は国民向けメッセージを発出し、同11日に国家検察庁が同大統領に対する憲法訴追をした件について、違憲かつ違法な行為であり、根拠がなく、政権に対する陰謀であると批判した。また、国内のすべての政治勢力、国家権力、社会勢力との対話を再開するために、OASに対して支援を要請したことを明らかにした。
(6)カスティージョ大統領の義理の妹が公判前拘留から釈放
10月26日、カスティージョ大統領の義理の妹であり、組織犯罪に関与したとして9月1日より30ヶ月間の公判前拘留措置を受けていたジェニファー・パレデス氏が釈放された。この司法当局の決定に対し、国家検察庁は改めて同氏の拘留を要求すると表明した。
(7)新保健大臣の就任
10月27日、カスティージョ大統領は、新保健大臣として、外科医で与党ペルー・リブレ(PL)に所属するポルタラティーノ国会議員を任命した。ロペス元保健大臣は、同23日、身内の住宅購入資金を集めるため、用意した銀行口座に送金するよう同省内にて6人の部下に要求していたことが発覚したことを受け、解任を発表されていた。
(8)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:― (※10月統計なし)
支持:―%(23%)、不支持:―%(71%)
イ イプソス 社:20日~21日、全国(1,202名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:26%(23%)、不支持:66%(67%)
ウ IEP 社:22日~27日、全国(1,208名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:28%(25%)、不支持:62%(65%)
2 外交
(1)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
10月4日、ペルー外務省は北朝鮮による新型弾道ミサイルの発射について、国際社会の平和と安全に対する脅威であり、国際法および国連安保理決議に対する違反であると非難するとともに、日本政府との連帯を表明する声明を発表した。
(2)ビジネスフォーラム「ペルーと地域経済のシナリオ」の開催
10月4日、リマにて5日から7日にかけて行われる第52回OAS総会の一環として、ビジネスフォーラム「ペルーと地域経済のシナリオ」が開催された。同フォーラムにはランダ外相やアルマグロOAS事務総長、サンチェス通商観光大臣、エレラ・エネルギー鉱山大臣、ヘルバシ外務副大臣、フォルサイトOAS担当大使が出席したほか、国内外から多くの企業や団体、外交団が参加し、ペルーや米州地域全体における投資や貿易、観光等の現況や課題、見通しについて議論された。
(3)第52回OAS総会の開催
10月5日から7日にかけ、リマにて第52回OAS総会が開催され、加盟国及び常任オブザーバー国から多数の代表団が出席し、「不平等及び差別にともに立ち向かう」というコンセプトのもと、ニカラグアやハイチの情勢、女性のリーダーシップ、民主主義等、様々なテーマについて議論が交わされた。
(4)カスティージョ大統領がブリンケン米国務長官と会談を実施
10月6日、カスティージョ大統領は、第52回OAS総会の機会にペルーを訪問していたブリンケン米国務長官と会談し、二国間関係や麻薬取引との戦い、移民や食糧安全保障、民主的統治や人権保護等、様々なテーマについて議論した。
(5)OASがペルーに内政状況を分析するための代表団の派遣を決定
10月20日、OAS常任理事会は、同19日にカスティージョ大統領が国内のすべての政治勢力、国家権力、社会勢力との対話を再開するために同機構に支援を要請したことを受け、臨時会合を開催した。審議の結果、加盟国の大多数が同要請への支持を表明し、ペルーの内政状況を分析するために加盟国の代表で構成される「ハイレベル・グループ」を派遣することが決定した。
(6)ペルーが2024年の国際捕鯨委員会(IWC)の開催地に決定
10月28日、ペルー外務省は、2024年の国際捕鯨委員会(IWC)の開催地がペルーに決定したことをプレスリリースにて発表した。また同プレスリリースにて、同委員会のペルーでの開催は、鯨類の保全・保護に対するペルーの揺るぎないコミットメントの明確な意思表示であると主張した。
1 内政
●2日、全国で統一地方選挙が実施され、リマ市長選では人民刷新党(RP)党首のロペス・アリアガ候補が当選した。
●6日、国会がカスティージョ大統領のヨーロッパ外遊の承認要請を否決した。
●11日、国家検察庁が組織犯罪への関与の疑いで人民行動党(AP)の議員6名の家宅捜索を実施した。
●11日、国家検察庁がカスティージョ大統領を憲法訴追すると発表した。
●19日、カスティージョ大統領が自身になされた憲法訴追に対する国民向けメッセージを発出するとともに、米州機構(OAS)に支援要請したことを発表した。
●26日、大統領の義理の妹が公判前拘留から釈放された。
●27日、新保健大臣が就任した。
2 外交
●4日、ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●4日、第52回OAS総会に先立ち、ビジネスフォーラム「ペルーと地域経済のシナリオ」が開催された。
●5~7日、リマにて第52回OAS総会が開催された。
●6日、カスティージョ大統領がブリンケン米国務長官と会談を実施した。
●21日、OASは、カスティージョ大統領の支援要請を受け、ペルーの内政状況を分析する代表団を同国に派遣することを決定した。
●28日、ペルー外務省は、2024年の国際捕鯨委員会(IWC)の開催地がペルーに決定したことをプレスリリースにて発表した。
【本文】
1 内政
(1)2022年統一地方選挙の実施
10月2日、全国で統一地方選挙が実施された。リマ市長選では、人民刷新党(RP)党首のロペス・アリアガ候補が当選した。州知事選では、16の州で当選確実、9の州でいずれの候補も有効票の30%超を獲得しなかったことから、得票率上位2名による決選投票が行われることとなった。
(2)国会がカスティージョ大統領のヨーロッパ外遊の承認要請を否決
10月6日、国会は、カスティージョ大統領が10月12日から18日までのヨーロッパ外遊を承認する決議案について審議し、採決の結果、賛成54、反対56、棄権6で否決した。国会がカスティージョ大統領の外遊を拒否するのは、8月のペトロ・コロンビア大統領の就任式出席のための外遊承認要請の否決に次ぐ2回目となった。
(3)国家検察庁が組織犯罪への関与の疑いで人民行動党(AP)の議員6名の家宅捜索を実施
10月11日、国家検察庁は、組織犯罪への関与の疑いで同庁の捜査を受けている人民行動党(AP)の6名の議員の事務所と住居を家宅捜索した。同6議員は「ロス・ニーニョス(子供たち)」(教員出身であるカスティージョ大統領に従順な子供たちの意)と呼ばれており、野党会派にもかかわらず同大統領の罷免決議に反対票を投じる等同大統領に協力する代わりに、各自が拠点を置く地域における公共事業の優遇やその他個人的利益を享受している疑いが指摘されている。
(4)国家検察庁がカスティージョ大統領に対する憲法訴追を発表
10月11日、国家検察庁は国会に対して、組織犯罪、地位の不正利用及び収賄の疑いがあるとして、カスティージョ大統領を憲法訴追すると発表した。国家検察庁が現職の大統領に対して憲法訴追をするのは、憲政史上初めてとなる。同日、国会は憲法訴追にかかる文書を受領したことを明らかにし、まずは憲法訴追小委員会にて審議を進めることを発表した。
(5)カスティージョ大統領が国民向けメッセージを発出
10月19日、カスティージョ大統領は国民向けメッセージを発出し、同11日に国家検察庁が同大統領に対する憲法訴追をした件について、違憲かつ違法な行為であり、根拠がなく、政権に対する陰謀であると批判した。また、国内のすべての政治勢力、国家権力、社会勢力との対話を再開するために、OASに対して支援を要請したことを明らかにした。
(6)カスティージョ大統領の義理の妹が公判前拘留から釈放
10月26日、カスティージョ大統領の義理の妹であり、組織犯罪に関与したとして9月1日より30ヶ月間の公判前拘留措置を受けていたジェニファー・パレデス氏が釈放された。この司法当局の決定に対し、国家検察庁は改めて同氏の拘留を要求すると表明した。
(7)新保健大臣の就任
10月27日、カスティージョ大統領は、新保健大臣として、外科医で与党ペルー・リブレ(PL)に所属するポルタラティーノ国会議員を任命した。ロペス元保健大臣は、同23日、身内の住宅購入資金を集めるため、用意した銀行口座に送金するよう同省内にて6人の部下に要求していたことが発覚したことを受け、解任を発表されていた。
(8)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:― (※10月統計なし)
支持:―%(23%)、不支持:―%(71%)
イ イプソス 社:20日~21日、全国(1,202名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:26%(23%)、不支持:66%(67%)
ウ IEP 社:22日~27日、全国(1,208名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:28%(25%)、不支持:62%(65%)
2 外交
(1)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
10月4日、ペルー外務省は北朝鮮による新型弾道ミサイルの発射について、国際社会の平和と安全に対する脅威であり、国際法および国連安保理決議に対する違反であると非難するとともに、日本政府との連帯を表明する声明を発表した。
(2)ビジネスフォーラム「ペルーと地域経済のシナリオ」の開催
10月4日、リマにて5日から7日にかけて行われる第52回OAS総会の一環として、ビジネスフォーラム「ペルーと地域経済のシナリオ」が開催された。同フォーラムにはランダ外相やアルマグロOAS事務総長、サンチェス通商観光大臣、エレラ・エネルギー鉱山大臣、ヘルバシ外務副大臣、フォルサイトOAS担当大使が出席したほか、国内外から多くの企業や団体、外交団が参加し、ペルーや米州地域全体における投資や貿易、観光等の現況や課題、見通しについて議論された。
(3)第52回OAS総会の開催
10月5日から7日にかけ、リマにて第52回OAS総会が開催され、加盟国及び常任オブザーバー国から多数の代表団が出席し、「不平等及び差別にともに立ち向かう」というコンセプトのもと、ニカラグアやハイチの情勢、女性のリーダーシップ、民主主義等、様々なテーマについて議論が交わされた。
(4)カスティージョ大統領がブリンケン米国務長官と会談を実施
10月6日、カスティージョ大統領は、第52回OAS総会の機会にペルーを訪問していたブリンケン米国務長官と会談し、二国間関係や麻薬取引との戦い、移民や食糧安全保障、民主的統治や人権保護等、様々なテーマについて議論した。
(5)OASがペルーに内政状況を分析するための代表団の派遣を決定
10月20日、OAS常任理事会は、同19日にカスティージョ大統領が国内のすべての政治勢力、国家権力、社会勢力との対話を再開するために同機構に支援を要請したことを受け、臨時会合を開催した。審議の結果、加盟国の大多数が同要請への支持を表明し、ペルーの内政状況を分析するために加盟国の代表で構成される「ハイレベル・グループ」を派遣することが決定した。
(6)ペルーが2024年の国際捕鯨委員会(IWC)の開催地に決定
10月28日、ペルー外務省は、2024年の国際捕鯨委員会(IWC)の開催地がペルーに決定したことをプレスリリースにて発表した。また同プレスリリースにて、同委員会のペルーでの開催は、鯨類の保全・保護に対するペルーの揺るぎないコミットメントの明確な意思表示であると主張した。