ペルーの経済情勢(2022年第3四半期)

令和4年11月10日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率1.68%(8月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率8.53%(9月までの一年間)、対米ドル為替相場3.899ソル(9月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.7%(7月~9月)、財政収支約9億ソルの黒字(9月)、貿易収支約3億米ドルの黒字(8月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、8月は主に宿泊・飲食業及び運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、漁業等がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は1.68%(前年同月比)となった。
 


 

 
イ インフレ率
 9月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.52%となり、最近12か月(202110月~20229月)の上昇率は、8.53%となった。
 

 
 
ウ 為替相場
 9月の対米ドル為替相場の平均は3.899ソルであった。

 
 
 
エ 失業率
 7月~9月のリマ首都圏の完全失業率は7.7%であった。
 

 
 
オ 財政収支
 9月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で13.6%増となり、歳出は同比で9.2%減となった。全体では、プライマリーバランスは約9億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約4億ソルの黒字となった。
 

 

カ 貿易収支
 8月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比6.4%減、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が17.8%増となり、全体では約56億米ドル(対前年同月比0.2%減)となった。主要輸出品目は銅、金、魚粉であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が20.3%増、中間財は41.4%増、資本財が1.5%増となり、全体で約52億米ドル(対前年同月比25.7%増)となった。この結果、貿易収支は約3億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、自動車であった。

 
 
 

 
 
 キ 外貨準備高
9月末の外貨準備高は約742億米ドルとなった。

 

 
 
ク 対外累積債務
 2022年6月末の対外債務累積総額は約1,016億米ドルとなった。

 
 
 
 
 
 (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
 
(2) 最近の主な出来事

・通商観光省発表:2022年上半期の輸出額は前年同期比18.4%増加
 8月5日、通商観光省は、2022年上半期(1~6月)の輸出額が322億1,100万米ドルとなり、前年同期比18.4%の増加を記録した旨発表した。国際的なエネルギー、鉱物資源及び農産物の価格上昇が主な要因であり、輸出額の増加率の高い品目は、天然ガス(前年同期比388%増)、コーヒー(同328%増)、ブルーベリー(同118%増)、エチルアルコール(同106%増)等であった。主な仕向国・地域は中国を筆頭に、次いで米国、EU、日本、韓国であった。
 
・中銀(BCR)政策金利引上げ、6.50%から6.75%に上昇
 9月8日、中銀(BCR)理事会は政策金利を0.25ポイント引き上げ、6.50%から6.75%とすることを決定した。これで14か月連続の引上げであり史上最高水準となった。この政策金利引上げは、直近12か月間累計のインフレ率が7月の8.74%から8月には8.40%と低下したが、国際的な食料や燃料価格の高騰により依然として政府目標値(1~3%)を上回っていること、食料とエネルギーコストを除く12か月間累計のコア・インフレ率も7月の5.44%から8月には5.39%に低下したが、同様に目標値を上回っていること等に対応するインフレ抑制策の一環とされている。中銀(BCR)は、インフレ率が目標値内に収まるのは2023年下半期(7月以降)になると予測。
 
・エネルギー鉱山省発表:ケジャベコ鉱山プロジェクトの商業運営の認可
 9月25日、エネルギー鉱山省はケジャベコ鉱山(モケグア州)プロジェクトの商業運営を認可した旨発表した。同プロジェクトは、アングロ・アメリカン社が三菱商事と共同で開発した世界5大銅鉱床の一つであり、総投資額は55億米ドル。鉱山寿命は30年であり、銅精鉱の他、副産物としてモリブデンや銀を生産する。初年の年間銅生産量は33万トンを予定し、これによりペルー国内の銅生産量は約15%増加する見込み。また、銅の輸出総額は月20億米ドルとなり、輸出額全体の33%を占めるものと見込まれる。
 
(了)