11月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和4年12月7日
【概要】
1 内政
●4日、カスティージョ大統領が、タイで開催されたAPEC首脳会議の出席の取り止めを発表した。
●6日、国家検察庁は、組織犯罪への関与の疑いで、サンチェス通商観光大臣に対する予備捜査を開始した。
●14日、国家検察庁は、地位の不正利用の疑いで、チャベス文化大臣に対する予備捜査を開始した。
●15日、最高裁判所は、ケンジ・フジモリ元国会議員に対し、懲役4年6か月の有罪判決を下した。
●17日、国会は、カスティージョ大統領のメキシコ外遊及びチリ外遊の承認要請について審議・採決し、前者については否決、後者については可決した。
●20日~23日、米州機構(OAS)代表団がペルーを訪問し、行政府・立法府・司法府をはじめ様々な組織・グループと会合を実施した。
●24日、トーレス首相が辞意を表明した。右を受け、25日、カスティージョ大統領は、チャベス文化大臣を新首相とする新内閣を組閣した。
●25日、司法当局は、国家検察庁によるセロン・ペルー・リブレ党(PL)総書記に対する36か月の公判前拘留の要求を棄却した。
2 外交
●3日、ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●8日、カスティージョ大統領がルラ次期ブラジル大統領と電話会談を実施した。
●8日、ランダ外相が、中米統合機構(SICA)及びアンデス共同体(CAN)の外相会合に出席した。
●17日~19日、タイで開催されたAPEC首脳会議に、ボルアルテ副大統領、ランダ外相らが出席した。ランダ外相は、林外務大臣をはじめとして、ブリンケン米国務長官、王毅・中国国務委員兼外交部長、ドーン・タイ外相とそれぞれ会談した。
●23日、ペルー外務省が、ランダ外相の太平洋同盟閣僚会合への出席を発表した。
●28日~29日、カスティージョ大統領が、ペルー・チリ首脳会談及び第4回合同閣議に出席した。
【本文】
1 内政
(1)カスティージョ大統領のAPEC首脳会議出席の中止
11月4日、カスティージョ大統領は、タイで開催されたAPEC首脳会議に出席すべく、同2日に国会に提示していた同国への外遊承認要請を取り下げ、外遊を中止すると発表した。同要請に対し、国会では、OAS代表団のペルー来訪と外遊日程が重複していることから、大統領は国内に留まるべきとの意見が出ていた。
(2)国家検察庁がサンチェス通商観光大臣を予備捜査対象に追加
11月6日、国家検察庁は、カスティージョ大統領の関与が疑われ予備捜査が進められている組織犯罪に、サンチェス通商観光大臣も関与しているとして、同捜査の対象に加えることを発表した。
(3)国家検察庁がチャベス文化大臣に対する予備捜査を開始
11月14日、国家検察庁は、チャベス文化大臣に対し、知人に不正に公職ポストを与えたとして、地位の不正利用で予備捜査を開始したと発表した。
(4)ケンジ・フジモリ元国会議員に対する有罪判決
11月15日、最高裁判所は、ケンジ・フジモリ元国会議員に対し、地位の不正利用及び買収の罪で懲役4年6か月の有罪判決を言い渡すとともに、第二審において刑が確定するまで、同禁固刑の執行を停止する旨の判決を出した。
(5)国会によるカスティージョ大統領のメキシコ外遊拒否及びチリ外遊承認
11月17日、国会は、カスティージョ大統領がメキシコにて開催予定であった第17回太平洋同盟首脳会合に出席するため、国会に提出した同国への外遊承認要請について審議・採決し、賛成51、反対55、棄権2で否決した。一方、同大統領の第4回ペルー・チリ合同閣議に出席するための外遊承認要請については、賛成77、反対35、棄権2で可決した。
(6)OAS代表団がペルーを訪問し、三権の長等と会合を実施
11月20日、OAS代表団がペルーに到着し、同21日から同23日にかけて、行政府・立法府・司法府の代表とそれぞれ会合したほか、憲法裁判所、各政党、国家検察庁、国家オンブズマン、弁護士やジャーナリストのグループ、市民団体等と会合を実施した。同22日、同代表団は、改めて各セクターに対話を呼び掛けるとともに、今後の予定として、ペルーの内政状況を分析した報告書を作成し、OAS常任理事会に提出する旨発表した。
(7)チャベス新内閣が発足
11月25日、同24日に辞意を表明したトーレス首相に代わり、チャベス文化大臣を新首相とする新内閣が発足した。トーレス首相は、自身が国会に提出した内閣信任決議案を、ウィリアムス国会議長が「審議不可」として拒否したことを受け、右が「否決」されたと解釈し、憲法の規定に従い辞任すると表明した。カスティージョ大統領は新内閣の組閣を発表し、首相にチャベス文化大臣を任命するとともに、農業開発灌漑大臣、生産大臣、エネルギー鉱山大臣、女性社会的弱者大臣、文化大臣及び開発社会包摂大臣を新たに任命した。
(8)司法当局が、検察のセロンPL総書記に対する公判前拘留要求を棄却
11月25日、司法当局は、同11日に国家検察庁が提示した、違法融資の疑いのあるセロンPL総書記に対する36か月の公判前拘留の要求について、棄却すると発表した。
(9)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:10月27日~11月1日、全国(1,223名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:26%(―%)、不支持:69%(―%)
イ イプソス 社:10日、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:27%(26%)、不支持:66%(66%)
ウ IEP 社:19日~24日、全国(1,217名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:31%(28%)、不支持:61%(62%)
2 外交
(1)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
11月3日、ペルー外務省は、ツイッターにて、北朝鮮によるミサイル発射について、地域の緊張を高め、平和と安全を脅かす行為として強く非難する旨投稿した。
(2)カスティージョ大統領とルラ次期ブラジル大統領の電話会談
11月8日、カスティージョ大統領は、自身のツイッターにて、ルラ次期ブラジル大統領と電話会談を行い、二国間関係の強化等を確認するとともに、同次期大統領の就任式に招待された旨明らかにした。
(3)ランダ外相がSICA及びCANの外相会合に出席
11月8日、ペルー外務省は、ランダ外相が、ドミニカ共和国で開催されたSICA及びCANの外相会合に出席した旨プレスリリースにて発表した。ランダ外相は、同会合について、SICAとCANの各加盟国の共同空間の制度化に向けた第一歩となる歴史的な会合になったと評価した。
(4)ボルアルテ副大統領、ランダ外相らがAPEC首脳会議に出席
ア 11月17日から19日にかけて、ボルアルテ副大統領、ランダ外相らは、タイで開催されたAPEC首脳会議に出席した。
イ 同17日、ペルー外務省は、ツイッターにて、ランダ外相が林外務大臣と会談し、2023年の両国外交関係樹立150周年に向けた、歴史的な二国間関係の強化を表明した旨投稿した。
ウ 同17日、同ツイッターは、ランダ外相がブリンケン米国務長官と会談し、米国が2023年に、ペルーが2024年にそれぞれAPEC議長国を務めることを踏まえ、両国で緊密に連携することで合意した旨投稿した。
エ 同18日、同ツイッターは、ランダ外相が王毅・中国国務委員兼外交部長と会談し、二国間関係の強化や相互訪問の意志について確認した旨投稿した。
オ 同16日、同ツイッターは、ランダ外相がドーン・タイ外相と会談し、2024年のAPEC首脳会議のペルー開催に向けて協力することで一致した旨投稿した。
(5)ペルー外務省がランダ外相の太平洋同盟閣僚会合への出席を発表
11月23日、ペルー外務省は、ランダ外相が、太平洋同盟閣僚会合に出席するためメキシコを訪問する旨プレスリリースにて発表した。また、同プレスリリースにて、ロペス・オブラドール・メキシコ大統領が、同25日に開催予定であった太平洋同盟首脳会合について、カスティージョ大統領が国会の外遊許可を得られず欠席となったことを理由に、メキシコでの開催を中止し、後日ペルーでの開催が検討されている旨明らかにした(その後、12月14日にリマにて同首脳会合が開催される旨発表があった)。
(6)カスティージョ大統領がペルー・チリ首脳会談及び第4回合同閣議に出席
11月28日及び29日、カスティージョ大統領がチリを訪問し、首脳会談及び第4回合同閣議に出席した。同大統領は、ボリッチ・チリ大統領との共同声明にて、両国は、保健や教育といった分野で、両国民に資する支援を提供するための強固な基盤を構築したと強調した。また、カスティージョ大統領に同行したランダ外相及びバラガン国防大臣は、第7回政策協議常設委員会(2+2)に出席し、ラテンアメリカの政治問題、地域統合、外交・防衛分野におけるジェンダー問題等について協議した。
1 内政
●4日、カスティージョ大統領が、タイで開催されたAPEC首脳会議の出席の取り止めを発表した。
●6日、国家検察庁は、組織犯罪への関与の疑いで、サンチェス通商観光大臣に対する予備捜査を開始した。
●14日、国家検察庁は、地位の不正利用の疑いで、チャベス文化大臣に対する予備捜査を開始した。
●15日、最高裁判所は、ケンジ・フジモリ元国会議員に対し、懲役4年6か月の有罪判決を下した。
●17日、国会は、カスティージョ大統領のメキシコ外遊及びチリ外遊の承認要請について審議・採決し、前者については否決、後者については可決した。
●20日~23日、米州機構(OAS)代表団がペルーを訪問し、行政府・立法府・司法府をはじめ様々な組織・グループと会合を実施した。
●24日、トーレス首相が辞意を表明した。右を受け、25日、カスティージョ大統領は、チャベス文化大臣を新首相とする新内閣を組閣した。
●25日、司法当局は、国家検察庁によるセロン・ペルー・リブレ党(PL)総書記に対する36か月の公判前拘留の要求を棄却した。
2 外交
●3日、ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●8日、カスティージョ大統領がルラ次期ブラジル大統領と電話会談を実施した。
●8日、ランダ外相が、中米統合機構(SICA)及びアンデス共同体(CAN)の外相会合に出席した。
●17日~19日、タイで開催されたAPEC首脳会議に、ボルアルテ副大統領、ランダ外相らが出席した。ランダ外相は、林外務大臣をはじめとして、ブリンケン米国務長官、王毅・中国国務委員兼外交部長、ドーン・タイ外相とそれぞれ会談した。
●23日、ペルー外務省が、ランダ外相の太平洋同盟閣僚会合への出席を発表した。
●28日~29日、カスティージョ大統領が、ペルー・チリ首脳会談及び第4回合同閣議に出席した。
【本文】
1 内政
(1)カスティージョ大統領のAPEC首脳会議出席の中止
11月4日、カスティージョ大統領は、タイで開催されたAPEC首脳会議に出席すべく、同2日に国会に提示していた同国への外遊承認要請を取り下げ、外遊を中止すると発表した。同要請に対し、国会では、OAS代表団のペルー来訪と外遊日程が重複していることから、大統領は国内に留まるべきとの意見が出ていた。
(2)国家検察庁がサンチェス通商観光大臣を予備捜査対象に追加
11月6日、国家検察庁は、カスティージョ大統領の関与が疑われ予備捜査が進められている組織犯罪に、サンチェス通商観光大臣も関与しているとして、同捜査の対象に加えることを発表した。
(3)国家検察庁がチャベス文化大臣に対する予備捜査を開始
11月14日、国家検察庁は、チャベス文化大臣に対し、知人に不正に公職ポストを与えたとして、地位の不正利用で予備捜査を開始したと発表した。
(4)ケンジ・フジモリ元国会議員に対する有罪判決
11月15日、最高裁判所は、ケンジ・フジモリ元国会議員に対し、地位の不正利用及び買収の罪で懲役4年6か月の有罪判決を言い渡すとともに、第二審において刑が確定するまで、同禁固刑の執行を停止する旨の判決を出した。
(5)国会によるカスティージョ大統領のメキシコ外遊拒否及びチリ外遊承認
11月17日、国会は、カスティージョ大統領がメキシコにて開催予定であった第17回太平洋同盟首脳会合に出席するため、国会に提出した同国への外遊承認要請について審議・採決し、賛成51、反対55、棄権2で否決した。一方、同大統領の第4回ペルー・チリ合同閣議に出席するための外遊承認要請については、賛成77、反対35、棄権2で可決した。
(6)OAS代表団がペルーを訪問し、三権の長等と会合を実施
11月20日、OAS代表団がペルーに到着し、同21日から同23日にかけて、行政府・立法府・司法府の代表とそれぞれ会合したほか、憲法裁判所、各政党、国家検察庁、国家オンブズマン、弁護士やジャーナリストのグループ、市民団体等と会合を実施した。同22日、同代表団は、改めて各セクターに対話を呼び掛けるとともに、今後の予定として、ペルーの内政状況を分析した報告書を作成し、OAS常任理事会に提出する旨発表した。
(7)チャベス新内閣が発足
11月25日、同24日に辞意を表明したトーレス首相に代わり、チャベス文化大臣を新首相とする新内閣が発足した。トーレス首相は、自身が国会に提出した内閣信任決議案を、ウィリアムス国会議長が「審議不可」として拒否したことを受け、右が「否決」されたと解釈し、憲法の規定に従い辞任すると表明した。カスティージョ大統領は新内閣の組閣を発表し、首相にチャベス文化大臣を任命するとともに、農業開発灌漑大臣、生産大臣、エネルギー鉱山大臣、女性社会的弱者大臣、文化大臣及び開発社会包摂大臣を新たに任命した。
(8)司法当局が、検察のセロンPL総書記に対する公判前拘留要求を棄却
11月25日、司法当局は、同11日に国家検察庁が提示した、違法融資の疑いのあるセロンPL総書記に対する36か月の公判前拘留の要求について、棄却すると発表した。
(9)カスティージョ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:10月27日~11月1日、全国(1,223名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:26%(―%)、不支持:69%(―%)
イ イプソス 社:10日、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:27%(26%)、不支持:66%(66%)
ウ IEP 社:19日~24日、全国(1,217名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:31%(28%)、不支持:61%(62%)
2 外交
(1)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
11月3日、ペルー外務省は、ツイッターにて、北朝鮮によるミサイル発射について、地域の緊張を高め、平和と安全を脅かす行為として強く非難する旨投稿した。
(2)カスティージョ大統領とルラ次期ブラジル大統領の電話会談
11月8日、カスティージョ大統領は、自身のツイッターにて、ルラ次期ブラジル大統領と電話会談を行い、二国間関係の強化等を確認するとともに、同次期大統領の就任式に招待された旨明らかにした。
(3)ランダ外相がSICA及びCANの外相会合に出席
11月8日、ペルー外務省は、ランダ外相が、ドミニカ共和国で開催されたSICA及びCANの外相会合に出席した旨プレスリリースにて発表した。ランダ外相は、同会合について、SICAとCANの各加盟国の共同空間の制度化に向けた第一歩となる歴史的な会合になったと評価した。
(4)ボルアルテ副大統領、ランダ外相らがAPEC首脳会議に出席
ア 11月17日から19日にかけて、ボルアルテ副大統領、ランダ外相らは、タイで開催されたAPEC首脳会議に出席した。
イ 同17日、ペルー外務省は、ツイッターにて、ランダ外相が林外務大臣と会談し、2023年の両国外交関係樹立150周年に向けた、歴史的な二国間関係の強化を表明した旨投稿した。
ウ 同17日、同ツイッターは、ランダ外相がブリンケン米国務長官と会談し、米国が2023年に、ペルーが2024年にそれぞれAPEC議長国を務めることを踏まえ、両国で緊密に連携することで合意した旨投稿した。
エ 同18日、同ツイッターは、ランダ外相が王毅・中国国務委員兼外交部長と会談し、二国間関係の強化や相互訪問の意志について確認した旨投稿した。
オ 同16日、同ツイッターは、ランダ外相がドーン・タイ外相と会談し、2024年のAPEC首脳会議のペルー開催に向けて協力することで一致した旨投稿した。
(5)ペルー外務省がランダ外相の太平洋同盟閣僚会合への出席を発表
11月23日、ペルー外務省は、ランダ外相が、太平洋同盟閣僚会合に出席するためメキシコを訪問する旨プレスリリースにて発表した。また、同プレスリリースにて、ロペス・オブラドール・メキシコ大統領が、同25日に開催予定であった太平洋同盟首脳会合について、カスティージョ大統領が国会の外遊許可を得られず欠席となったことを理由に、メキシコでの開催を中止し、後日ペルーでの開催が検討されている旨明らかにした(その後、12月14日にリマにて同首脳会合が開催される旨発表があった)。
(6)カスティージョ大統領がペルー・チリ首脳会談及び第4回合同閣議に出席
11月28日及び29日、カスティージョ大統領がチリを訪問し、首脳会談及び第4回合同閣議に出席した。同大統領は、ボリッチ・チリ大統領との共同声明にて、両国は、保健や教育といった分野で、両国民に資する支援を提供するための強固な基盤を構築したと強調した。また、カスティージョ大統領に同行したランダ外相及びバラガン国防大臣は、第7回政策協議常設委員会(2+2)に出席し、ラテンアメリカの政治問題、地域統合、外交・防衛分野におけるジェンダー問題等について協議した。