ペルー安全対策情報(2022年10~12月分:邦人被害例等)

令和5年1月2日
在ペルー日本国大使館

1 社会・治安情勢

 不安定な政治・社会情勢に対する過激なデモや抗議活動が各地で突発的に行われ、多数の死傷者や逮捕者が出ています。特に、2022年12月7日の国会による前大統領の罷免、新大統領の就任以降、国内各地において、国会封鎖及び選挙の早期実施等を求める抗議活動が継続しており、ペルー政府は、12月15日よりペルー全土を対象とした30日間の非常事態宣言を発出しました。原油及び食料品の高騰を原因とした生活不安による犯罪件数の増加も顕著です。また、テロ組織は一部山間部地域に潜伏し、麻薬密輸を資金源に現在も活動を続け、軍や国家警察に対する武力攻撃を続けています。

 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)全般

ア 2021年中の刑法犯罪認知件数は、全国で377,353件(前年比+77,830件増・同26%増)と前年から大きく増加しました。これまでコロナ禍による外出制限や各種規制により犯罪は減少傾向が続いていましたが、各種制限の撤廃に伴い現在では都市部を中心に急激に犯罪が増加しています。

 今年に入っても、その傾向は変わらず、2022年度第1四半期(同年4月から6月末まで)の統計では、殺人や傷害等の生命及び身体に対する犯罪134,158件(2021年度第4四半期比+8,138件増)、強盗や窃盗等の財産に対する犯罪80,048件(2021年度第4四半期比+4,228件増)となっており、上記罪種の犯罪の約6割が、首都リマ市・カヤオ憲法特別市において集中的に発生しています。これら件数はあくまで警察に被害申告がなされたことにより把握された犯罪件数の統計であり、実際には未申告の更に多くの犯罪が発生しているものと考えられます。

イ 本年に入り、外国人観光客が被害者となる長距離バス車内での犯罪の発生が報告されています。具体的には夜間、停留所や休憩所に停車した際に車外から強盗犯人が乗り込み乗客の金品を奪い立ち去る手口の他、車内の隣席の人間から薬物が混入した菓子や飲み物等を勧められ口にしたところ昏睡し、所持品を奪われる等の手口です。長距離バス利用時は夜行バスの利用は避ける、目的地まで直通のバスを選ぶ、乗車時に身分確認が行われる大手のバス会社のバス(CRUZ DEL SUR等)を選ぶなどの対策が必要です。

ウ 比較的安全とされているミラフローレス区やサン・イシドロ区等においても、日中からオートバイを使用した犯人らによる、ひったくりや強盗が多発しています。また高級腕時計や貴金属を持つ者の後をつけ、人気の無い場所で襲うといった手口は従来から継続して発生しており装飾・携行品には特に注意してください。

エ 特に携帯電話を使用中の歩行者を狙った、ひったくりの発生が急増しており被害時に抵抗したため犯人から銃撃される事例が多く発生しています。国内で1日あたり4,000件を超える携帯電話の盗難が発生しているとの統計もあり、外出時は自分の持っている携帯電話は犯人にとって「高級品」であることを自覚し、十分注意すると共に、被害時には絶対に抵抗しないことが重要です。また、携帯電話の盗難件数の増加に伴い、被害品の携帯電話に保存された個人情報を悪用したインターネット犯罪も増加しています。歩きながらの携帯電話の使用は控え、やむを得ず、携帯電話を屋外で使用する場合は、周囲をよく警戒することが大切です。

オ 強盗の手口として、一般人を装った共犯者(連絡役)が市内各所(店舗の出入口、銀行・ATM前、飲食店内、空港の出入口付近等)に配置されており、共犯者が、被害者を物色・選定し、実行犯に連絡するという手法が取られていることから、これまで以上に所持品・携行品は他人から見えない様に携行し、華美な服装は避ける等といった、ターゲットにならないための注意を払う必要があります。特に被害者が金融機関を利用した直後に襲われる事件が多発しています。

(2)犯罪被害例等

ア (盗難)イカ州ナスカ郡のアルマス広場近辺のレストランにおいて邦人旅行者の荷物の置き引きが発生し、パスポート、現金、クレジットカード等の金品が奪われました。

イ (盗難)クスコ州クスコ市においてホテル前でツアーバスを待っていた邦人旅行者が首絞め強盗の被害に遭い、携帯電話、現金等を奪われました。早朝人気のない時間帯の防犯カメラの死角となっている場所を狙った犯行でした。

ウ (盗難)リマ市ミラフローレス区のショッピングセンター内において邦人女性が背負っていたカバンに入れていた携帯電話のすり被害に遭いました。

エ (盗難)リマ市ミラフローレス区のショッピングセンター駐車場で発生した自動車強盗犯人が逮捕されました。逮捕時、犯人らは拳銃を所持しており、近隣で発生していた自動車強盗にも関与していたとして、警察が捜査しています。

オ (盗難)リマ市サン・イシドロ区内の高級ホテル前の路上で、乗り合いタクシーを装った犯人らが乗客を監禁し、暴行を加えた後、乗客から多額の現金を奪いました。

カ (盗難)リマ市ミラフローレス区に所在する貴金属店に強盗が侵入し、商品や売上金を奪って逃走しました。

キ (殺人)リマ市ビクトリア区において、敵対するサッカーチームの応援団同士の喧嘩が銃撃戦に発展し、3人の死傷者が出ました。

ク (盗難)リマ市ヘスス・マリア区において、バイクを使って、歩行者から携帯電話をひったくった2人組の犯人が警察の追跡の後、逮捕されました。犯人らは逮捕時、盗品とみられる携帯電話を多数所持していました。

ケ (殺人)リマ市サン・ミゲル区において、殺し屋として雇われた14歳の少年が被害者を射殺しました。少年らは犯罪グループからわずかばかりの報酬で雇われていました。

コ (殺人未遂)リマ市サン・イシドロ区の住宅街において、路上駐車を注意した近隣住民が運転手とトラブルとなり、運転手が住民に向けて拳銃を発砲しました。住民に怪我はありませんでしたが、犯人は警察に連行されました。

サ (殺人未遂)リマ市バランコ区の路上で連続発生していた歩行者に対する強盗事件に関与した犯行グループが警察に逮捕されました。

 

3 テロ・爆弾事件発生状況

 アプリマック・エネ・マンタロ川渓谷(VRAEM)地域の一部地域では、引き続き武装組織と治安部隊との衝突が度々発生しており、非常事態宣言が延長されています。同地域における非常事態宣言は今後も継続される見通しです。

また、過去にはリマ市内で、手榴弾を路上に置き去る事案が発生していることから、不審物を発見した際は決して近づいたり触ったりすることなく、速やかに警察に通報し処理を委ねることが重要です。

 

4 誘拐・脅迫事件発生状況

 ペルーではリマ市を含む各地で、年少者被害の誘拐や、ATMから現金を引き下ろさせる目的の誘拐強盗(短時間誘拐)が発生しています。

また、富裕層を対象とした脅迫、恐喝、殺人事件が発生しています。被害の対象とならないためには、普段からパターン化した行動を避け、犯人に行動を予知されないようにすることが大切です。

これらの犯罪グループ同士による銃撃戦も発生しています。外出する際は、周囲への警戒を怠らないことが肝要です。

 

5 日本企業の安全に係わる状況

現在、特段の情報はありません。