ペルーの経済情勢(2022年第4四半期)

令和5年1月27日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率1.68%(11月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率8.46%(12月までの一年間)、対米ドル為替相場3.829ソル(12月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.1%(10月~12月)、財政収支約144億ソルの赤字(12月)、貿易収支約3億米ドルの黒字(11月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、11月は主に宿泊・飲食業及び運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、特に漁業が大幅マイナスとなり、全体としてGDP成長率は1.68%(前年同月比)となった。
 


 


イ インフレ率
 12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.79%となり、最近12か月(1月~12月)の上昇率は、8.46%となった。




ウ 為替相場
 12月の対米ドル為替相場の平均は3.829ソルであった。



 

エ 失業率
 10月~12月のリマ首都圏の完全失業率は7.1%であった。




オ 財政収支
 12月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で11.2%減となり、歳出は同比で2.6%減となった。全体では、プライマリーバランスは約144億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約150億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 11月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比29.3%減、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が1.9%増となり、全体では約49億米ドル(対前年同月比21.4%減)となった。主要輸出品目は銅、金、ぶどうであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が14.4%増、中間財は14.9%増、資本財が0.5%減となり、全体で約47億米ドル(対前年同月比10.7%増)となった。この結果、貿易収支は約3億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は軽油、自動車、携帯電話であった。






キ 外貨準備高
 12月末の外貨準備高は約719億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2022年9月末の対外債務累積総額は約1,015億米ドルとなった。



 

 
 (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・経済財政省発表:「競争力のための持続可能なインフラ国家計画(PNISC)2022-2025」
 10月24日、経済財政省は、2019年に発表された「競争力のためのインフラ国家計画(PNIC)」を更新する「競争力のための持続可能なインフラ国家計画(PNISC)2022-2025」を発表し、72件のプロジェクトを優先プロジェクトに挙げた。72件の総投資額は1,466億2,200万ソル(約370億米ドル)、大部分のプロジェクトは保健(22件)、運輸(18件)及び上下水道(12件)分野であり、その他通信、教育、電気等の分野が含まれた。2019年当初の優先プロジェクト52件の同年7月から2022年7月までの期間の総投資進捗は11.74%(約33億米ドル)にとどまり、4件しか事業完了していなかった。
 
・中銀(BCR)政策金利引上げ、7.25%から7.50%に上昇
 12月7日、中銀(BCR)理事会は政策金利を0.25ポイント引き上げ、7.25%から7.50%とすることを決定した。2021年8月以降毎月引き上げられ史上最高水準となった。この政策金利引上げは、直近12か月間累計のインフレ率が10月の8.28%から11月には8.45%となり依然として政府目標値(1~3%)を上回っていること、食料とエネルギーコストを除く12か月間累計のコア・インフレ率は10月の5.72%から11月には5.71%に低下したものの、同様に目標値を上回っていること等に対応するインフレ抑制策の一環とされている。中銀(BCR)は、インフレ率が目標値内に収まるのは2023年第4四半期(10月~12月)になると予測。
 
・国家統計情報庁発表:年間インフレ率、過去26年間で最高率を記録
 2022年のペルーの年間インフレ率は8.56%、リマ首都圏では同8.46%に達し、1996年(11.84%)以降の過去26年間で最も高いインフレ率となった。国際的な食糧品価格の高騰のほか、12月以降の社会争議や道路封鎖による生鮮食品等の価格上昇も押上げの要因となった。
 
・アナログ放送停波期限の延期の決定
 12月23日付官報において、地上デジタルテレビ放送マスタープランを改正し、アナログ放送停波期限を延期する最高令が公布された。当初2022年末に予定されていた第1地域(リマ市及びカヤオ憲法特別市)のアナログ放送停波の最終期限が2024年第4四半期に変更され、第2地域から第5地域の同期限については同最高令の公布から2年経過後に、少なくとも国民の地デジに関する認知度や地デジ化に対応した放送局の数等を考慮しつつ別途定められることとなった。
 
・経済財政省発表:「頑張れペルー(Con Punche Perú)」計画
 12月29日、経済財政省は、世界経済の減速や社会争議等の国内外の要因により打撃を受けたペルー経済の活性化等を目的とした「頑張れペルー(Con Punche Perú)」計画を発表した。同計画は、(1)家計の活性化、(2)地域経済の活性化、及び(3)セクターの活性化の3つを柱とする19の施策(総額約59億ソル(約15.5億米ドル))から構成され、半年以内の実施が予定される短期的措置となる。
 
(了)