1月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり

令和5年2月8日
【概要】
1 内政
●4日、客年12月のカスティージョ前大統領の罷免以降、全国各地で活発化し、年末年始にかけて一時的に休止されていた現政権や国会に対する抗議デモが、プーノ州やクスコ州をはじめとする南部地域を中心に再開された。
●10日、国会にて、オタロラ内閣に対する内閣信任決議が審議され、採決の結果、同内閣が正式に信任された。
●13日、新内務大臣、新労働雇用促進大臣、新女性社会的弱者大臣が就任した。
●25日、国会において、ボルアルテ大統領に対する罷免決議が提出された。
●26日、新生産大臣が就任した。
●27日、国会にて、客年12月に可決された2024年4月に総選挙を前倒しする憲法改正案を修正し、総選挙実施時期を2023年10月とする案について採決され、賛成45、反対65、棄権2で否決された。
●29日、ボルアルテ大統領は、国民向けメッセージを発出し、総選挙前倒しについて国会が合意形成できない場合、政府が新たな決議案を提出する旨表明した。
 
2 外交
●1日、オタロラ首相及びヘルバシ外相が、ルーラ伯大統領の就任式に出席した。
●2日、ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●23日、ペルー外務省は、アルセ・ボリビア大統領及びペトロ・コロンビア大統領の発言を内政干渉として抗議する旨の口上書を各国大使館に発出した。
●24日、ヘルバシ外相が、第7回ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会合に出席した。また、同会合におけるボリッチ・チリ大統領及びカストロ・ホンジュラス大統領の発言を受け、ペルー外務省は、同2国への対抗措置として、当地チリ大使への遺憾の意の伝達、ホンジュラス駐在ペルー大使の本国召還をそれぞれ発表した。
●25日、ボルアルテ大統領が、ヘルバシ外相同席のもと、当地外交団の年頭挨拶を受けた。
 
【本文】
1 内政
(1)抗議デモの再開
 4日、客年12月のカスティージョ前大統領の罷免以降、全国各地で活発化し、年末年始にかけて一時的に休止されていた現政権や国会に対する抗議デモが、プーノ州やクスコ州をはじめとする南部地域を中心に再開された。
 
(2)オタロラ内閣に対する信任決議の可決
 10日、国会にて、オタロラ内閣に対する内閣信任決議が審議され、採決の結果、賛成73、反対43、棄権6で可決された。
 
(3)新内務大臣、新労働雇用促進大臣、新女性社会的弱者大臣の就任
 13日、ロメロ新内務大臣、アドリアンセン新労働雇用促進大臣、トレンティノ新女性社会的弱者大臣が就任した。
 
(4)ボルアルテ大統領に対する罷免決議の提出
 25日、ペルー・リブレ党(PL)をはじめとする左派系議員を中心に、抗議デモで複数の死者が発生している現状を受け、ボルアルテ大統領に対する「恒常的な倫理的不能(permanente incapacidad moral)」を理由とする罷免決議が国会に提出された。
 
(5)新生産大臣の就任
 26日、前日に辞任を表明していたベラウンデ生産大臣に代わり、ペレス・レジェス元生産大臣(ビスカラ政権時)が新生産大臣に就任した。
 
(6)総選挙前倒しにかかる憲法改正案(修正案)をめぐる動き
ア 27日、国会にて、客年12月20日に一度可決された、総選挙を2024年4月に前倒しする憲法改正案を修正し、前倒し時期を2023年10月とする憲法改正案について採決され、賛成45、反対65、棄権2で否決された。
 
(7)ボルアルテ大統領による国民向けメッセージの発出
 29日、ボルアルテ大統領は、国民向けメッセージを発出し、国会に対し、改めて総選挙前倒しにかかる憲法改正案の可決を求めるとともに、仮に合意形成に至らなかった場合、(1)総選挙を2023年10月に前倒しする案、(2)次期総選挙にて選出された国会が、国会憲法委員会に現行1993年憲法の全面改正を委ねることを提案する案の2つの決議案を国会に提出する旨発表した。
 
(8)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:―(※1月統計なし)
  支持:― 、不支持:―
イ イプソス 社:12日~13日、全国(1,199名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:20%(21%)、不支持:71%(68%)
ウ IEP 社:21日~25日、全国(1,214名、誤差±2.8%、信頼度95%)
  支持:17%(19%)、不支持:76%(71%)
 
2 外交
(1) オタロラ首相及びヘルバシ外相のルーラ伯大統領の就任式への出席
 1日、オタロラ首相及びヘルバシ外相は、ルーラ伯大統領の就任式に出席し、同伯大統領に対するボルアルテ大統領からの祝意を伝えた。
 
(2)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
 2日、ペルー外務省は、ツイッターにて、北朝鮮によるミサイル発射について、軍縮及び世界平和に向けた国際社会の努力に悪影響を与える行為として非難する旨投稿した。
 
(3)アルセ・ボリビア大統領及びペトロ・コロンビア大統領の内政干渉発言に対する抗議文書の発出
 23日、ペルー外務省は、アルセ・ボリビア大統領の、ペルー国民が民主主義の回復及び国民を代表する政府を選ぶ権利の回復のために戦っている旨の発言及び、ペトロ・コロンビア大統領の、ペルーでの抗議デモに対する警察の対応に関し、OASの常設理事会を招集して内政状況を調査すべきとの発言について、内政干渉として抗議する旨の口上書を、当地の各国大使館に発出した旨ツイッターにて発表した。
 
(4)ヘルバシ外相の第7回CELAC首脳会合への出席
 24日、ヘルバシ外相が、アルゼンチンにて開催された第7回CELAC首脳会合に出席し、演説のなかでペルー情勢について言及した。また、同会合でのボリッチ・チリ大統領のボルアルテ政権を批判する旨の発言及び、カストロ・ホンジュラス大統領のカスティージョ前大統領を支持する旨の発言を受け、ペルー外務省は、同2国への対抗措置として、当地チリ大使への遺憾の意の伝達、ホンジュラス駐在ペルー大使の本国召還をそれぞれ発表した。
 
(5)ボルアルテ大統領への当地外交団の年頭挨拶
 25日、大統領府において、ボルアルテ大統領に対する当地外交団の年頭挨拶が行われ(ヘルバシ外相同席)、本使が出席した。ボルアルテ大統領は、外交団を前に、ペルーは権利と自由を守り、治安と法の支配を維持することを確約する旨述べた。