2月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和5年3月3日
【概要】
1 内政
●3日、国会憲法委員会は、1日に政府が提出した総選挙を2023年10月に前倒しする憲法改正案の棚上げを決定した。
●8日、司法当局は、セロン・ペルー・リブレ(PL)党総書記に対し、共謀罪による懲役4年の有罪判決を下した。
●12日、ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首は、次期総選挙が前倒しで実施される場合、大統領選に出馬しない旨表明した。
●17日、国会にて、総選挙前倒しの憲法改正案について、国会憲法委員会で議論を再開する旨の決議案が可決された。
●17日、国会本会議にて、組織犯罪、地位の不正利用、収賄の疑いによるカスティージョ前大統領に対する弾劾に関する審議が行われ、採決の結果、右弾劾が成立した。
●21日、カスティージョ前大統領は、自身の釈放及び大統領への復職を求め、米州人権委員会(CIDH)に申し立てを行った。
2 外交
●1月30日から2月2日まで、ヘルバシ外相は米国を訪問し、政府関係者や国会議員等との会談を通して、二国間関係の強化やペルーの民主主義制度に対する米国の支持を確認した。
●18日、ペルー外務省は、太平洋同盟の議長国の引き継ぎ拒否を表明したロペス・オブラドール墨大統領に対し、非難する旨の声明を発表した。
●20日、ペルー外務省が、北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●21日、ペルー検察庁は、米国務省がトレド元大統領の身柄引渡を決定した旨明らかにした。
●23日、ペルーは、国連緊急特別会合で採択されたウクライナの平和に関する決議に対し、賛成票を投じた。
●23日、辞任を表明していたフォルサイト米州機構(OAS)担当大使の後任として、アドリアンセン元法務人権大臣が任命された。
●24日、ボルアルテ大統領は、ロペス・オブラドール墨大統領のペルー内政干渉発言を非難した上で、駐メキシコ大使の任期終了を発表した。
●27日、ヘルバシ外相は、ジュネーブで開催された第52回国連人権理事会に出席し、人権の尊重及び促進に対するペルー政府のコミットメントを再確認した。
【本文】
1 内政
(1)総選挙前倒しにかかる憲法改正案をめぐる動き
ア 1日、政府は、総選挙を2023年10月に前倒しする憲法改正案を国会に提出した。
イ 3日、国会憲法委員会は、1(1)アの法案について、同一会期中に否決された法案と同様の内容の法案は、議員定数の過半数の同意がある場合を除き、次年度の第一会期(7月開始)まで審議されない旨規定した国会規則第78条に該当すると判断し、同案の棚上げを決定した。しかし、右決定に対し、議員定数の過半数の同意がある場合は審議が可能であるとの同条文の規定に基づき、国会内で同意を集める動きがあり、16日に過半数に達した。
ウ 17日、国会本会議にて、総選挙前倒しにかかる憲法改正案についての議論を、国会憲法委員会にて再開する決議案について採決され、賛成69、反対35、棄権7で可決された。この結果、次会期(3月開始)に憲法委員会で議論が再開され、総選挙前倒しにかかる憲法改正案が新たにまとめられる見通しとなった。
(2)セロンPL党総書記に対する有罪判決
8日、司法当局は、セロンPL党総書記に対し、共謀罪で懲役4年の有罪判決を言い渡すとともに、第二審において刑が確定するまで、刑の執行を停止する旨の判決を出した。
(3)ケイコ・フジモリFP党首が次期大統領選への立候補を否定
12日、ケイコ・フジモリFP党首は、次期総選挙の前倒し実施に賛成の立場をとる一方、前倒しで実施される場合、大統領選には出馬しない旨表明した。
(4)カスティージョ前大統領に対する弾劾の成立
17日、国会本会議にて、組織犯罪、地位の不正利用、収賄の疑いがあるとして、国家検察庁が客年10月11日に国会に対して起こしたカスティージョ前大統領の弾劾について審議が行われ、採決の結果、賛成59、反対22、棄権3で右弾劾が成立した。
(5)カスティージョ前大統領の釈放をめぐる動向
21日、カスティージョ前大統領の弁護士を務めるアヤラ元国防大臣は、同前大統領の即時釈放及び大統領への復職を求め、米州人権委員会(CIDH)に申し立てを行った旨表明した。他方、ペルー司法当局は、27日、同前大統領の予防拘禁措置の取消しを求めた人身保護請求(habeas corpus)について却下した。
(6)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:3日~7日、全国(1,204名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:16%( ― )、不支持:76%( ― )
イ イプソス 社:9日~10日、全国(1,210名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:18%(20%)、不支持:74%(71%)
ウ IEP 社:18日~22日、全国(1,201名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%(17%)、不支持:77%(76%)
2 外交
(1)ヘルバシ外相の米国訪問
1月30日から2月2日まで、ヘルバシ外相は、米国を訪問し(ワーキングデーは1月31日及び2月1日)、米政府関係者や国会議員、人権団体や経済団体等とそれぞれ会談を実施した。シャーマン米国務副長官やゴンサレス国家安全保障会議西半球担当大統領補佐官との会談では、二国間の連携強化を強調するとともに、ペルーの民主主義制度に対する米国の支持を確認した。また、米国の民主・共和両党の国会議員らと会談し、ペルーへの支持及びペルーの政治・社会的状況への関心を確認した。
(2)ペルー外務省が太平洋同盟の議長国引き継ぎに関する声明を発出
18日、ペルー外務省は、太平洋同盟の議長国に関し、引き継ぎ拒否を表明したロペス・オブラドール墨大統領を非難するとともに、同同盟を政治的に利用すべきでないという旨の声明を発出した。
(3)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
20日、ペルー外務省は、ツイッターにて、北朝鮮による弾道ミサイル発射について強く非難するとともに、日本及び韓国の国民と連帯する旨投稿した。
(4)米国務省によるトレド元大統領の身柄引渡の承認
21日、ペルー検察庁は、米国務省が、収賄の疑いで起訴され米国に逃亡しているトレド元大統領(2001~2006年)の身柄をペルー政府に引渡すことを決定した旨明らかにした。右を受け、翌22日、ペルー外務省は、米国務省の決定を歓迎する旨の声明をツイッターに投稿した。
(5)国連緊急特別会合でのウクライナの平和に関する決議への賛成
23日、ペルーは、国連緊急特別会合において採択されたウクライナの包括的、公正かつ永続的な平和に関する決議に対し、賛成票を投じた。
(6)アドリアンセン元法務人権大臣が新OAS担当大使に任命
23日、客年12月に辞任を表明していたフォルサイトOAS担当大使の後任として、アドリアンセン(Gustavo Adrianzen)元法務人権大臣(ウマラ政権下)が任命された。また、同日、オスワルド駐米大使の後任として、メサ=クアドラ(Gustavo Meza-Cuadra)元外務大臣(ビスカラ政権下)が任命された。
(7)駐メキシコ大使の任期終了の決定
24日、ボルアルテ大統領は、ロペス・オブラドール墨大統領による、カスティージョ前大統領への支持の表明やボルアルテ政権を「偽物」とする発言を非難するとともに、客年12月に発表したタラベラ駐メキシコ大使の本国召還を決定的なものとする旨の国民向けメッセージを発出した。また、同日、同大使の任期終了を決定した旨、官報にて発表した。
(8)ヘルバシ外相の第52回国連人権理事会への出席
27日、ヘルバシ外相は、ジュネーブにて開催された第52回国連人権理事会に出席し、演説のなかで、ペルーにおける一連の抗議デモで死者が生じたことに遺憾の意を表明するとともに、ペルー政府の人権の尊重・促進へのコミットメントを再確認した。
1 内政
●3日、国会憲法委員会は、1日に政府が提出した総選挙を2023年10月に前倒しする憲法改正案の棚上げを決定した。
●8日、司法当局は、セロン・ペルー・リブレ(PL)党総書記に対し、共謀罪による懲役4年の有罪判決を下した。
●12日、ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首は、次期総選挙が前倒しで実施される場合、大統領選に出馬しない旨表明した。
●17日、国会にて、総選挙前倒しの憲法改正案について、国会憲法委員会で議論を再開する旨の決議案が可決された。
●17日、国会本会議にて、組織犯罪、地位の不正利用、収賄の疑いによるカスティージョ前大統領に対する弾劾に関する審議が行われ、採決の結果、右弾劾が成立した。
●21日、カスティージョ前大統領は、自身の釈放及び大統領への復職を求め、米州人権委員会(CIDH)に申し立てを行った。
2 外交
●1月30日から2月2日まで、ヘルバシ外相は米国を訪問し、政府関係者や国会議員等との会談を通して、二国間関係の強化やペルーの民主主義制度に対する米国の支持を確認した。
●18日、ペルー外務省は、太平洋同盟の議長国の引き継ぎ拒否を表明したロペス・オブラドール墨大統領に対し、非難する旨の声明を発表した。
●20日、ペルー外務省が、北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表した。
●21日、ペルー検察庁は、米国務省がトレド元大統領の身柄引渡を決定した旨明らかにした。
●23日、ペルーは、国連緊急特別会合で採択されたウクライナの平和に関する決議に対し、賛成票を投じた。
●23日、辞任を表明していたフォルサイト米州機構(OAS)担当大使の後任として、アドリアンセン元法務人権大臣が任命された。
●24日、ボルアルテ大統領は、ロペス・オブラドール墨大統領のペルー内政干渉発言を非難した上で、駐メキシコ大使の任期終了を発表した。
●27日、ヘルバシ外相は、ジュネーブで開催された第52回国連人権理事会に出席し、人権の尊重及び促進に対するペルー政府のコミットメントを再確認した。
【本文】
1 内政
(1)総選挙前倒しにかかる憲法改正案をめぐる動き
ア 1日、政府は、総選挙を2023年10月に前倒しする憲法改正案を国会に提出した。
イ 3日、国会憲法委員会は、1(1)アの法案について、同一会期中に否決された法案と同様の内容の法案は、議員定数の過半数の同意がある場合を除き、次年度の第一会期(7月開始)まで審議されない旨規定した国会規則第78条に該当すると判断し、同案の棚上げを決定した。しかし、右決定に対し、議員定数の過半数の同意がある場合は審議が可能であるとの同条文の規定に基づき、国会内で同意を集める動きがあり、16日に過半数に達した。
ウ 17日、国会本会議にて、総選挙前倒しにかかる憲法改正案についての議論を、国会憲法委員会にて再開する決議案について採決され、賛成69、反対35、棄権7で可決された。この結果、次会期(3月開始)に憲法委員会で議論が再開され、総選挙前倒しにかかる憲法改正案が新たにまとめられる見通しとなった。
(2)セロンPL党総書記に対する有罪判決
8日、司法当局は、セロンPL党総書記に対し、共謀罪で懲役4年の有罪判決を言い渡すとともに、第二審において刑が確定するまで、刑の執行を停止する旨の判決を出した。
(3)ケイコ・フジモリFP党首が次期大統領選への立候補を否定
12日、ケイコ・フジモリFP党首は、次期総選挙の前倒し実施に賛成の立場をとる一方、前倒しで実施される場合、大統領選には出馬しない旨表明した。
(4)カスティージョ前大統領に対する弾劾の成立
17日、国会本会議にて、組織犯罪、地位の不正利用、収賄の疑いがあるとして、国家検察庁が客年10月11日に国会に対して起こしたカスティージョ前大統領の弾劾について審議が行われ、採決の結果、賛成59、反対22、棄権3で右弾劾が成立した。
(5)カスティージョ前大統領の釈放をめぐる動向
21日、カスティージョ前大統領の弁護士を務めるアヤラ元国防大臣は、同前大統領の即時釈放及び大統領への復職を求め、米州人権委員会(CIDH)に申し立てを行った旨表明した。他方、ペルー司法当局は、27日、同前大統領の予防拘禁措置の取消しを求めた人身保護請求(habeas corpus)について却下した。
(6)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:3日~7日、全国(1,204名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:16%( ― )、不支持:76%( ― )
イ イプソス 社:9日~10日、全国(1,210名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:18%(20%)、不支持:74%(71%)
ウ IEP 社:18日~22日、全国(1,201名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%(17%)、不支持:77%(76%)
2 外交
(1)ヘルバシ外相の米国訪問
1月30日から2月2日まで、ヘルバシ外相は、米国を訪問し(ワーキングデーは1月31日及び2月1日)、米政府関係者や国会議員、人権団体や経済団体等とそれぞれ会談を実施した。シャーマン米国務副長官やゴンサレス国家安全保障会議西半球担当大統領補佐官との会談では、二国間の連携強化を強調するとともに、ペルーの民主主義制度に対する米国の支持を確認した。また、米国の民主・共和両党の国会議員らと会談し、ペルーへの支持及びペルーの政治・社会的状況への関心を確認した。
(2)ペルー外務省が太平洋同盟の議長国引き継ぎに関する声明を発出
18日、ペルー外務省は、太平洋同盟の議長国に関し、引き継ぎ拒否を表明したロペス・オブラドール墨大統領を非難するとともに、同同盟を政治的に利用すべきでないという旨の声明を発出した。
(3)ペルー外務省が北朝鮮のミサイル発射に対する非難声明を発表
20日、ペルー外務省は、ツイッターにて、北朝鮮による弾道ミサイル発射について強く非難するとともに、日本及び韓国の国民と連帯する旨投稿した。
(4)米国務省によるトレド元大統領の身柄引渡の承認
21日、ペルー検察庁は、米国務省が、収賄の疑いで起訴され米国に逃亡しているトレド元大統領(2001~2006年)の身柄をペルー政府に引渡すことを決定した旨明らかにした。右を受け、翌22日、ペルー外務省は、米国務省の決定を歓迎する旨の声明をツイッターに投稿した。
(5)国連緊急特別会合でのウクライナの平和に関する決議への賛成
23日、ペルーは、国連緊急特別会合において採択されたウクライナの包括的、公正かつ永続的な平和に関する決議に対し、賛成票を投じた。
(6)アドリアンセン元法務人権大臣が新OAS担当大使に任命
23日、客年12月に辞任を表明していたフォルサイトOAS担当大使の後任として、アドリアンセン(Gustavo Adrianzen)元法務人権大臣(ウマラ政権下)が任命された。また、同日、オスワルド駐米大使の後任として、メサ=クアドラ(Gustavo Meza-Cuadra)元外務大臣(ビスカラ政権下)が任命された。
(7)駐メキシコ大使の任期終了の決定
24日、ボルアルテ大統領は、ロペス・オブラドール墨大統領による、カスティージョ前大統領への支持の表明やボルアルテ政権を「偽物」とする発言を非難するとともに、客年12月に発表したタラベラ駐メキシコ大使の本国召還を決定的なものとする旨の国民向けメッセージを発出した。また、同日、同大使の任期終了を決定した旨、官報にて発表した。
(8)ヘルバシ外相の第52回国連人権理事会への出席
27日、ヘルバシ外相は、ジュネーブにて開催された第52回国連人権理事会に出席し、演説のなかで、ペルーにおける一連の抗議デモで死者が生じたことに遺憾の意を表明するとともに、ペルー政府の人権の尊重・促進へのコミットメントを再確認した。