リマ日本人学校卒業式(令和4年度第54回)祝辞
令和5年3月9日
おはようございます。本日卒業生の門出に当たり、日本大使館を代表しお祝いを申し上げることをとても嬉しく存じます。
2年半前にペルーに着任後、3回目のリマ日本人学校卒業式を迎えましたが、対面形式は初めてです。卒業生の皆さんは、新型コロナウイルス蔓延の中で、オンライン授業を経験されるなど厳しい制約の中で頑張って来られました。
職業柄、これまで世界各地の日本人学校や日本語補習授業校と関わってきました。例えば、マレーシア、ベルギー、米国、中国等です。それぞれに特徴がありました。例えば、上海日本人学校は児童・生徒数が2千数百人もいるマンモス校でした。デトロイト地域は週末の補修授業校しかありませんでしたが、児童・生徒は800名いました。戦前のリマ日校には1千600名程の児童がいたそうです。この日本人学校も約130名の児童・生徒がいた時期がありました。現在は約20名で、本日の卒業生は小中併せて3名ととても小じんまりした規模ですが、その分、卒業生1人1人への関係者の気持ちが何倍も強く込められています。
卒業生の皆さん、御卒業本当におめでとうございます。また、保護者の皆様にはお子様の成長を心よりお祝い申し上げます。
児童・生徒を今日まで温かく見守り指導頂いた校長先生をはじめ教職員の方々、運営委員会、PTA等の関係者の皆様に対し、学校教育や運営のために多くの時間と労力、そして情熱を注いで頂いたことを心より感謝申し上げます。また、地元関係者の暖かい支援に対しこの場を借りて心より御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、リマでの学校生活はいかがでしたか?海外日本人学校の場合、家族の転勤のため、往々にして途中で転入し、また、途中で転出して行く児童・生徒も少なくないですが、それだけに、ここでこうして人生のある時期を共に過ごせたことはとても貴重な経験だと思います。新型コロナによる困難に打ち克ち、友達や先生と学校で直接再会できた喜びも、忘れがたいものがあったのではないかと思います。そして、皆さんが卒業式を迎えた本年2023年は、日本とペルーが国と国の正式な関係を結んでちょうど150周年という記念すべき節目の年です。
皆さんは、卒業後引き続きリマ日本人学校中学部に進む方、インターナショナルスクールやカレッジに通われる方と、それぞれの道を歩まれると伺いました。離れ離れになるのは寂しいかもしれませんが、皆さん方の今後の成長をとても楽しみにしています。皆さんがこれから、中学生、高校生、大学生、そして社会人として羽ばたいていく過程で、日本とペルーをはじめ世界各国との関係は更に深く密になっているでしょう。もっと多くの日本人が海外に向かい、もっと多くの外国人が日本に住むような時代になると思います。
ここペルーで多様な文化に触れながら日本の教育を受けたことを、将来、感謝の気持ちを持って懐かしく振り返る時がきっと来ると思います。ペルーで日々学んだことは皆さんの一生の財産となるでしょう。
皆さんが今後の人生に臨むに当たり、贈る言葉を述べたいと思います。今から50年以上前、私が小学校高学年だったある日、母校の大先輩で文化勲章受章者の彫刻家平櫛田中という人が講演にやって来ました。当時、90歳を越える高齢でした。彼の話で、ひとつだけ、頭に残った言葉があります。それは、「今やらねばいつできる、わしがやらねば誰がやる」という言葉です。何か思いたったらとにかくやってみよう、そして、他人をあてにせず自分が率先してやろう、ということです。
皆さん方の将来の夢を伺いました。どれも素晴らしい夢だと思います。是非、失敗を恐れず、夢の実現に向かって挑戦し、花を咲かせて下さい。そして、新しい時代を自分たちの力で切り開いて、日本をもう一度世界が注目する国にして下さい。世の中の偉大な成功は、最初には周囲の人から「そんなことできる訳がない」と鼻で笑われるところから始まって、独創的な知恵と発想、不断の努力、家族や友人の支え、そして前向きな生き方が引き寄せた幸運によって実現されました。
皆さんの晴れの門出に当たり、今後の更なる成長を期待して私のお祝いの挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。