ペルー安全対策情報(2023年1~3月分:邦人被害例等)

令和5年4月13日

1 社会・治安情勢

(1)2022年12月7日の国会による前大統領の罷免、新大統領の就任以降、国内各地において、大統領の辞任及び選挙の早期実施等を求める抗議活動が継続していたため、ペルー政府は、昨年12月15日よりペルー全土を対象とした30日間の非常事態宣言を発出しました。

 1月以降、ペルー政府による非常事態宣言は対象地域を縮小しながら南部を中心に継続されています。3月には、デモや抗議活動は落ち着いてきているものの、社会・治安情勢は流動的です。特に、プーノ州では、依然として道路封鎖が州内の各幹線道路で行われているほか、フリアカ市の国際空港の閉鎖が継続しており、陸路及び空路での移動に困難が伴います。

 また、観光客が多く訪れるマチュピチュも、デモ隊による線路封鎖や大雨被害による土砂崩れ等により鉄道の運行が休止することがあり、その場合には、他に移動手段が徒歩だけとなるため注意が必要です。

(2)原油及び食料品の高騰を原因とした生活不安による犯罪件数の増加も顕著です。また、テロ組織は一部山間部地域に潜伏し、麻薬密輸を資金源に現在も活動を続け、軍や国家警察に対する武力攻撃を続けています。

 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)全般

ア 2021年中の刑法犯罪認知件数は、全国で377,353件(前年比+77,830件増・同26%増)と前年から大きく増加しました。これまでコロナ禍による外出制限や各種規制により犯罪は減少傾向が続いていましたが、各種制限の撤廃に伴い現在では都市部を中心に急激に犯罪が増加しています。

 今年に入っても、その傾向は変わらず、2022年度第1四半期(同年4月から6月末まで)の統計では、殺人や傷害等の生命及び身体に対する犯罪134,158件(2021年度第4四半期比+8,138件増)、強盗や窃盗等の財産に対する犯罪80,048件(2021年度第4四半期比+4,228件増)となっており、上記罪種の犯罪の約6割が、首都リマ市・カヤオ憲法特別市において集中的に発生しています。これら件数はあくまで警察に被害申告がなされたことにより把握された犯罪件数の統計であり、実際には未申告の更に多くの犯罪が発生しているものと考えられます。

イ 本年に入り、外国人観光客が被害者となる長距離バス車内での犯罪の発生が報告されています。具体的には夜間、停留所や休憩所に停車した際に車外から強盗犯人が乗り込み乗客の金品を奪い立ち去る手口の他、車内の隣席の人間から薬物が混入した菓子や飲み物等を勧められ口にしたところ昏睡し、所持品を奪われる等の手口です。長距離バス利用時は夜行バスの利用は避ける、目的地まで直通のバスを選ぶ、乗車時に身分確認が行われる大手のバス会社のバス(CRUZ DEL SUR等)を選ぶなどの対策が必要です。

ウ 比較的安全とされているミラフローレス区やサン・イシドロ区等においても、日中からオートバイを使用した犯人らによる、ひったくりや強盗が多発しています。また高級腕時計や貴金属を持つ者の後をつけ、人気の無い場所で襲うといった手口は従来から継続して発生しており装飾・携行品には特に注意してください。

エ 特に携帯電話を使用中の歩行者を狙った、ひったくりの発生が急増しており被害時に抵抗したため犯人から銃撃される事例が多く発生しています。国内で1日あたり4,000件を超える携帯電話の盗難が発生しているとの統計もあり、外出時は自分の持っている携帯電話は犯人にとって「高級品」であることを自覚し、十分注意すると共に、被害時には絶対に抵抗しないことが重要です。また、携帯電話の盗難件数の増加に伴い、被害品の携帯電話に保存された個人情報を悪用したインターネット犯罪も増加しています。歩きながらの携帯電話の使用は控え、やむを得ず、携帯電話を屋外で使用する場合は、周囲をよく警戒することが大切です。

オ 強盗の手口として、一般人を装った共犯者(連絡役)が市内各所(店舗の出入口、銀行・ATM前、飲食店内、空港の出入口付近等)に配置されており、共犯者が、被害者を物色・選定し、実行犯に連絡するという手法が取られていることから、これまで以上に所持品・携行品は他人から見えない様に携行し、華美な服装は避ける等といった、ターゲットにならないための注意を払う必要があります。特に被害者が金融機関を利用した直後に襲われる事件が多発しています。

(2)犯罪被害例等

ア(盗難)リマ市サン・マルティン・デ・ポレス区の銀行で現金を引き出した被害者が、犯人グループに自宅まで尾行されて、高額の現金を奪われました。

イ(盗難)リマ市ミラフローレス区で、昏睡強盗の被害者が意識の無い状態で保護されましたが、所持品は全て奪われていました。

ウ(盗難)リマ市チョリリョス区でバイクに乗った2人組が、走行中のバスに向かって銃撃し、乗客に対する強盗を行いました。

エ(盗難)リマ市ラ・ビクトリア区において邦人旅行者が人通りの少ない路地に入ったところ、6人組に取り囲まれ、背負っていた鞄を含めた全ての荷物を奪われました。

オ(盗難)リマ市サン・イシドロ区の路上において高級時計強盗が発生し、抵抗した男性が拳銃で撃たれて負傷しました。

 

3 テロ・爆弾事件発生状況

 アプリマック・エネ・マンタロ川渓谷(VRAEM)地域の一部地域では、引き続き武装組織と治安部隊との衝突が度々発生しており、非常事態宣言が延長されています。同地域における非常事態宣言は今後も継続される見通しです。

 

4 誘拐・脅迫事件発生状況

 ペルーではリマ市を含む各地で、年少者被害の誘拐や、ATMから現金を引き下ろさせる目的の誘拐強盗(短時間誘拐)が発生しています。

 また、富裕層を対象とした脅迫、恐喝、殺人事件が発生しています。被害の対象とならないためには、普段からパターン化した行動を避け、犯人に行動を予知されないようにすることが大切です。

 これらの犯罪グループ同士による銃撃戦も発生しています。外出する際は、周囲への警戒を怠らないことが肝要です。

 

5 日本企業の安全に係わる状況

 現在、特段の情報はありません。