4月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和5年5月13日
【概要】
1 内政
●4日、国会にて、抗議デモでの死者発生等を理由に、1月に提出されたボルアルテ大統領に対する罷免決議の受諾可否について採決され、賛成37、反対64、棄権10で否決された。
●14日、検察庁は、秘日友好議員連盟会長を務める人民勢力党(FP)のマリア・コルデロ議員について、自身事務所の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求したとして、強要罪の疑いで予備捜査を開始する旨発表した。
●20日、ケイコ・フジモリ氏は、甲状腺に腫瘍が見つかったため、摘出手術を受ける旨明らかにした。
●23日、米国に逃亡していたトレド元大統領のペルーへの身柄引渡が行われた。
●23日、新法務人権大臣、新教育大臣、新労働雇用促進大臣、新通商観光大臣が就任した。
●27日、ペルー政府は、チリとの国境地域に外国人移民が滞留している状況を受け、隣国と国境を接する7州の一部地域に対し、治安対策のため、翌28日から60日間の非常事態宣言を発出した。
2 外交
●12日から21日にかけ、イゲラス外務副大臣は、本年がペルーとの外交関係樹立60周年にあたるインド、韓国、豪州をそれぞれ訪問した。
●19日、ヘルバシ外相は、米州機構(OAS)常設理事会でのペトロ・コロンビア大統領のカスティージョ前大統領を擁護する旨の発言を受け、抗議する旨の声明を発出した。
●27日、ペルー外務省は、チリとの国境地域に滞在する外国人移民への対応をめぐり、駐ペルー・チリ大使を召喚し、抗議の意を表明した旨のプレスリリースを発出した。
【本文】
1 内政
(1)ボルアルテ大統領に対する罷免決議の却下
4日、国会にて、抗議デモでの死者発生等を理由に、1月25日に提出されたボルアルテ大統領に対する罷免決議の受諾の可否について採決され、賛成37、反対64、棄権10で、受諾に必要な議員定数の5分の2(52票)の賛成を得られず否決された。
(2)コルデロ秘日友好議連会長の強要罪疑惑
14日、検察庁は、秘日友好議員連盟会長を務めるマリア・コルデロ議員(人民勢力党(FP))について、自身の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求したとして、強要罪の疑いで予備捜査を開始する旨発表した。
(3)ケイコ氏の甲状腺腫瘍の公表及び手術の実施
ア 20日、FP党のケイコ・フジモリ党首は、甲状腺に腫瘍が見つかった旨ツイッターにて公表した。
イ 26日、腫瘍摘出手術が行われ、FP党のトーレス元議員は、手術は問題なく終了し、ケイコ氏の体調も回復に向かっている旨発表した。
(4)トレド元大統領の身柄引渡
23日、収賄疑惑で起訴され、米国に逃亡していたトレド元大統領(2001~2006年)の身柄が米国からペルーに引き渡され、同日、フジモリ元大統領やカスティージョ前大統領も収監されている国家刑務所庁(INPE)の施設に収監された。
(5)新法務人権大臣、新教育大臣、新労働雇用促進大臣、新通商観光大臣の就任
23日、(1)新法務人権大臣に、マウラテ(Daniel Ysau MAURATE ROMERO)元労働雇用促進大臣が、(2)新教育大臣に、マルケス(Magnet Carmen MARQUEZ RAMIREZ)教育副大臣が、(3)新労働雇用促進大臣に、サン・マルコス大学及びリマ大学の法学部教授であるバレラ(Antonio Fernando VARELA BOHORQUEZ)氏が、(4)新通商観光大臣に、マシュース(Juan Carlos MATHEWS SALAZAR)元生産副大臣がそれぞれ就任した。
(6)チリとの国境地域における移民問題をめぐる非常事態宣言の発出
27日、ペルー政府は、チリとの国境地域に外国人移民が滞留している状況を受け、隣国と国境を接する7州(トゥンベス州、ピウラ州、カハマルカ州、アマソナス州、ロレト州、マドレ・デ・ディオス州、タクナ州)の一部地域に対し、治安対策のため、翌28日から60日間の非常事態宣言を発出した。
(7)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:10日~12日、全国(1,200名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:18%(19%)、不支持:74%(74%)
イ イプソス 社:13日~14日、全国(1,207名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%( ― %)、不支持:77%(―%)
ウ IEP 社:22日~27日、全国(1,202名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%(15%)、不支持:79%(78%)
2 外交
(1)イゲラス外務副大臣のインド、韓国、豪州訪問
12日から21日にかけ、イゲラス外務副大臣は、本年がペルーとの外交関係樹立60周年となるインド、韓国、豪州をそれぞれ訪問した。
ア インド訪問
14日、「イ」副大臣は、レーキー(Meenakashi LEKHI)印国務大臣(外務・文化担当)と会談し、二国間関係を強化することで一致した。また15日、クマール(Saurabh KUMAR)印外務次官(東アジア担当)とともに、ペルー・インド合同委員会第2回会合に出席し、貿易・投資等の分野における両国の連携強化を再確認した。
イ 韓国訪問
17日、「イ」副大臣は、張虎鎮(チャン・ホジン)外交部第1次官とともに、両国外交関係樹立60周年記念のレセプションに参加した。また18日、李度勲(イ・ドフン)外交部第2次官とともに、第7回政策協議に出席し、両国の政治・経済・協力関係に関する主要なテーマについて議論した。
ウ 豪州訪問
19日、「イ」副大臣は、エアーズ(Tim Ayres)豪貿易補佐大臣と会談し、CPTPPやペルーへの投資促進等について議論した。また20日には、チャン(Michelle CHAN)外務貿易省副次官と会談したほか、スタイラノ(Helen STYLIANOU)APEC担当大使とも会談し、ペルーでの2024年APEC首脳会議開催に向け、両国で連携することで合意した。
(2)ペトロ・コロンビア大統領の発言に対するヘルバシ外相の抗議
19日、ヘルバシ外相は、ペトロ・コロンビア大統領が、OAS常設理事会にてカスティージョ前大統領を擁護する旨の発言をしたことを受け、同大統領に対し、受け入れがたい内政干渉であるとして抗議する旨の声明を、ペルー外務省ツイッターを通じて発出した。
(3)チリとの国境地域での移民問題をめぐるチリ政府への抗議
27日、ペルー外務省は、チリとの国境地域において、外国人移民がチリ領内からペルー領内に強行的に入国を試みた事態をめぐり、チリ警察当局が非協力的な態度をとっているとして、駐ペルー・チリ大使を召喚し、抗議の意を表明した旨、プレスリリースにて発表した。
1 内政
●4日、国会にて、抗議デモでの死者発生等を理由に、1月に提出されたボルアルテ大統領に対する罷免決議の受諾可否について採決され、賛成37、反対64、棄権10で否決された。
●14日、検察庁は、秘日友好議員連盟会長を務める人民勢力党(FP)のマリア・コルデロ議員について、自身事務所の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求したとして、強要罪の疑いで予備捜査を開始する旨発表した。
●20日、ケイコ・フジモリ氏は、甲状腺に腫瘍が見つかったため、摘出手術を受ける旨明らかにした。
●23日、米国に逃亡していたトレド元大統領のペルーへの身柄引渡が行われた。
●23日、新法務人権大臣、新教育大臣、新労働雇用促進大臣、新通商観光大臣が就任した。
●27日、ペルー政府は、チリとの国境地域に外国人移民が滞留している状況を受け、隣国と国境を接する7州の一部地域に対し、治安対策のため、翌28日から60日間の非常事態宣言を発出した。
2 外交
●12日から21日にかけ、イゲラス外務副大臣は、本年がペルーとの外交関係樹立60周年にあたるインド、韓国、豪州をそれぞれ訪問した。
●19日、ヘルバシ外相は、米州機構(OAS)常設理事会でのペトロ・コロンビア大統領のカスティージョ前大統領を擁護する旨の発言を受け、抗議する旨の声明を発出した。
●27日、ペルー外務省は、チリとの国境地域に滞在する外国人移民への対応をめぐり、駐ペルー・チリ大使を召喚し、抗議の意を表明した旨のプレスリリースを発出した。
【本文】
1 内政
(1)ボルアルテ大統領に対する罷免決議の却下
4日、国会にて、抗議デモでの死者発生等を理由に、1月25日に提出されたボルアルテ大統領に対する罷免決議の受諾の可否について採決され、賛成37、反対64、棄権10で、受諾に必要な議員定数の5分の2(52票)の賛成を得られず否決された。
(2)コルデロ秘日友好議連会長の強要罪疑惑
14日、検察庁は、秘日友好議員連盟会長を務めるマリア・コルデロ議員(人民勢力党(FP))について、自身の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求したとして、強要罪の疑いで予備捜査を開始する旨発表した。
(3)ケイコ氏の甲状腺腫瘍の公表及び手術の実施
ア 20日、FP党のケイコ・フジモリ党首は、甲状腺に腫瘍が見つかった旨ツイッターにて公表した。
イ 26日、腫瘍摘出手術が行われ、FP党のトーレス元議員は、手術は問題なく終了し、ケイコ氏の体調も回復に向かっている旨発表した。
(4)トレド元大統領の身柄引渡
23日、収賄疑惑で起訴され、米国に逃亡していたトレド元大統領(2001~2006年)の身柄が米国からペルーに引き渡され、同日、フジモリ元大統領やカスティージョ前大統領も収監されている国家刑務所庁(INPE)の施設に収監された。
(5)新法務人権大臣、新教育大臣、新労働雇用促進大臣、新通商観光大臣の就任
23日、(1)新法務人権大臣に、マウラテ(Daniel Ysau MAURATE ROMERO)元労働雇用促進大臣が、(2)新教育大臣に、マルケス(Magnet Carmen MARQUEZ RAMIREZ)教育副大臣が、(3)新労働雇用促進大臣に、サン・マルコス大学及びリマ大学の法学部教授であるバレラ(Antonio Fernando VARELA BOHORQUEZ)氏が、(4)新通商観光大臣に、マシュース(Juan Carlos MATHEWS SALAZAR)元生産副大臣がそれぞれ就任した。
(6)チリとの国境地域における移民問題をめぐる非常事態宣言の発出
27日、ペルー政府は、チリとの国境地域に外国人移民が滞留している状況を受け、隣国と国境を接する7州(トゥンベス州、ピウラ州、カハマルカ州、アマソナス州、ロレト州、マドレ・デ・ディオス州、タクナ州)の一部地域に対し、治安対策のため、翌28日から60日間の非常事態宣言を発出した。
(7)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:10日~12日、全国(1,200名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:18%(19%)、不支持:74%(74%)
イ イプソス 社:13日~14日、全国(1,207名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%( ― %)、不支持:77%(―%)
ウ IEP 社:22日~27日、全国(1,202名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%(15%)、不支持:79%(78%)
2 外交
(1)イゲラス外務副大臣のインド、韓国、豪州訪問
12日から21日にかけ、イゲラス外務副大臣は、本年がペルーとの外交関係樹立60周年となるインド、韓国、豪州をそれぞれ訪問した。
ア インド訪問
14日、「イ」副大臣は、レーキー(Meenakashi LEKHI)印国務大臣(外務・文化担当)と会談し、二国間関係を強化することで一致した。また15日、クマール(Saurabh KUMAR)印外務次官(東アジア担当)とともに、ペルー・インド合同委員会第2回会合に出席し、貿易・投資等の分野における両国の連携強化を再確認した。
イ 韓国訪問
17日、「イ」副大臣は、張虎鎮(チャン・ホジン)外交部第1次官とともに、両国外交関係樹立60周年記念のレセプションに参加した。また18日、李度勲(イ・ドフン)外交部第2次官とともに、第7回政策協議に出席し、両国の政治・経済・協力関係に関する主要なテーマについて議論した。
ウ 豪州訪問
19日、「イ」副大臣は、エアーズ(Tim Ayres)豪貿易補佐大臣と会談し、CPTPPやペルーへの投資促進等について議論した。また20日には、チャン(Michelle CHAN)外務貿易省副次官と会談したほか、スタイラノ(Helen STYLIANOU)APEC担当大使とも会談し、ペルーでの2024年APEC首脳会議開催に向け、両国で連携することで合意した。
(2)ペトロ・コロンビア大統領の発言に対するヘルバシ外相の抗議
19日、ヘルバシ外相は、ペトロ・コロンビア大統領が、OAS常設理事会にてカスティージョ前大統領を擁護する旨の発言をしたことを受け、同大統領に対し、受け入れがたい内政干渉であるとして抗議する旨の声明を、ペルー外務省ツイッターを通じて発出した。
(3)チリとの国境地域での移民問題をめぐるチリ政府への抗議
27日、ペルー外務省は、チリとの国境地域において、外国人移民がチリ領内からペルー領内に強行的に入国を試みた事態をめぐり、チリ警察当局が非協力的な態度をとっているとして、駐ペルー・チリ大使を召喚し、抗議の意を表明した旨、プレスリリースにて発表した。