5月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和5年6月9日
【概要】
1 内政
●3日、ペルー大統領府は、米州人権委員会(CIDH)が同日発表した、ペルーでの抗議デモにおいて重大な人権侵害があったとする旨の報告書について、否定する旨のプレスリリースを発出した。
●5日、ケイコ・フジモリ氏は、4月26日に受けた甲状腺腫瘍の摘出手術の検査結果を受け取り、悪性腫瘍ではなかった旨ツイッターにて発表した。
●9日、国会の人民勢力党(FP)議員団は、秘日友好議連会長を務めるマリア・コルデロ議員が、同議員の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求した疑いがあることを受け、同議員団からの除名を決定した旨発表した。
●15日、ボルアルテ大統領は、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条について、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が不在の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案を国会に提出した。
●31日、司法府は、ケイコ・フジモリ氏に対し、過去の選挙キャンペーンにおける不正資金調達の疑いで、36か月の出国禁止措置を決定した。
2 外交
●2-4日、ペルーを訪問した林外務大臣は、ボルアルテ大統領表敬訪問やヘルバシ外相との会談を行った。
●5日、ペルー外務省は、日本時間の同日発生した石川県能登地方を震源とする地震による被害に対し、日本への連帯を表明する旨ツイッターに投稿した。
●7日、ペルー外務省は、チリとの国境地域に滞在していたベネズエラ人に対し、航空機による最初の本国移送が実施された旨のプレスリリースを発出した。
●17日、ペルー大統領府及び外務省は、ラッソ・エクアドル大統領が、国会を解散し、総選挙の実施を要請する旨表明したことを受け、同大統領を支持する旨の声明をそれぞれ発表した。
●25日、ペルー国会は、カスティージョ前大統領を擁護する発言を繰り返すロペス・オブラドール墨大統領をペルソナ・ノン・グラータと宣言する旨の決議案について審議・採決し、賛成65、反対40、棄権2で可決した。
●28-31日にかけ、オタロラ首相及びヘルバシ外相は、南米諸国首脳会議に出席すべくブラジルを訪問した。
【本文】
1 内政
(1)抗議デモに関するCIDH報告書に対する大統領府声明
3日、大統領府は、CIDHが、客年12月から本年1月にかけて発生した暴力的な抗議デモにおいて、ペルー政府による重大な人権侵害があったとする旨の報告書を発表したことを受け、これを否定する旨のプレスリリースを発出した。
(2)ケイコ・フジモリFP党首の甲状腺腫瘍の検査結果の公表
5日、ケイコ・フジモリFP党首は、4月26日に受けた甲状腺腫瘍の摘出手術の検査結果を受け取り、悪性腫瘍ではなかった旨ツイッターにて発表した。
(3)コルデロ秘日友好議連会長のFP党議員団からの除名
9日、FP党議員団は、秘日友好議連会長を務めるマリア・コルデロ議員が、同議員の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求した疑いがあることを受け、同議員団からの除名を決定した旨発表した。
(4)ボルアルテ大統領による大統領の外遊をめぐる法改正案の提出
15日、ボルアルテ大統領は、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条について、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が不在の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案を国会に提出した。現行憲法では、大統領が国を離れる場合、副大統領が国内の職務を代理で務める旨規定されているものの、現政権のように副大統領が不在の場合については想定されていないため、ボルアルテ大統領は法改正をしない限り海外に出国できない状態にある。
(5)ケイコ・フジモリFP党首に対する36か月の出国禁止措置の決定
31日、司法府は、ケイコ・フジモリFP党首に対し、過去の選挙キャンペーンにおける不正資金調達の疑いで、36か月の出国禁止措置を決定した。なお、同措置は、ケイコ党首の元夫であるマーク・ビト氏や、フジモリ元大統領の側近で、制憲議会議長であった1993年に訪日したこともあるハイメ・ヨシヤマ氏等のFP党関係者にも適用される。
(6)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:6日~9日、全国(1,210名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:18%(18%)、不支持:76%(74%)
イ イプソス 社:12日~13日、全国(1,206名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:16%(15%)、不支持:75%(77%)
ウ IEP 社:20日~25日、全国(1,212名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%(15%)、不支持:79%(79%)
2 外交
(1)林外務大臣のペルー訪問
2-4日、ペルーを訪問した林外務大臣は、大統領表敬訪問及び外相会談等を行った(いずれも本使同席)。
ア 3日、林外務大臣は、外務省にてヘルバシ外相と会談し、両国外交関係樹立150周年に言及するとともに、政治・経済・文化等さまざまな分野における二国間関係を強化することで一致した。また本会談の後、共同記者発表を行った。
イ 同日、林外務大臣は、大統領府にてボルアルテ大統領を表敬訪問し、二国間関係の強化や現在の国際情勢等について意見交換した。
(2)石川県能登地方での地震に対するペルー外務省声明
5日、ペルー外務省は、日本時間の同日発生した石川県能登地方を震源とする地震により生じた、死者・負傷者・物的被害について、日本への連帯を表明する旨ツイッターに投稿した。
(3)チリとの国境付近に滞在するベネズエラ人の航空機による本国移送
7日、ペルー外務省は、チリとの国境地域に滞在していたベネズエラ人について、チリ外務省やベネズエラ政府との調整の結果、チリ領にいた115名のベネズエラ名の航空機による本国移送が実施された旨のプレスリリースを発出した。
(4)ペルー大統領府及び外務省のラッソ・エクアドル大統領への支持
17日、ペルー大統領府及び外務省は、同日、ラッソ・エクアドル大統領が、国会を解散し、総選挙の実施を要請する旨表明したことを受け、同大統領を支持する旨の声明をそれぞれ発表した。
(5)墨大統領に対するペルソナ・ノン・グラータ宣言
25日、ペルー国会は、カスティージョ前大統領を擁護する発言を繰り返すロペス・オブラドール墨大統領をペルソナ・ノン・グラータと宣言する旨の決議案について審議・採決し、賛成65、反対40、棄権2で可決した。また、内務省及び外務省に対し、それぞれの権限内で、同大統領が当国領土に入らないよう必要な措置をとることを勧告した。
(6)オタロラ首相及びヘルバシ外相の南米諸国首脳会議への出席
28-31日にかけ(ワーキングデーは29・30日)、オタロラ首相及びヘルバシ外相は、南米諸国首脳会議に出席するためブラジルを訪問し、ルラ伯大統領及びヴィエイラ同国外相、ラッソ・エクアドル大統領及びマンリケ同国外相等とそれぞれ会談を行った。また、ヘルバシ外相は、バン・クラベレン・チリ外相と会談した。
1 内政
●3日、ペルー大統領府は、米州人権委員会(CIDH)が同日発表した、ペルーでの抗議デモにおいて重大な人権侵害があったとする旨の報告書について、否定する旨のプレスリリースを発出した。
●5日、ケイコ・フジモリ氏は、4月26日に受けた甲状腺腫瘍の摘出手術の検査結果を受け取り、悪性腫瘍ではなかった旨ツイッターにて発表した。
●9日、国会の人民勢力党(FP)議員団は、秘日友好議連会長を務めるマリア・コルデロ議員が、同議員の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求した疑いがあることを受け、同議員団からの除名を決定した旨発表した。
●15日、ボルアルテ大統領は、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条について、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が不在の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案を国会に提出した。
●31日、司法府は、ケイコ・フジモリ氏に対し、過去の選挙キャンペーンにおける不正資金調達の疑いで、36か月の出国禁止措置を決定した。
2 外交
●2-4日、ペルーを訪問した林外務大臣は、ボルアルテ大統領表敬訪問やヘルバシ外相との会談を行った。
●5日、ペルー外務省は、日本時間の同日発生した石川県能登地方を震源とする地震による被害に対し、日本への連帯を表明する旨ツイッターに投稿した。
●7日、ペルー外務省は、チリとの国境地域に滞在していたベネズエラ人に対し、航空機による最初の本国移送が実施された旨のプレスリリースを発出した。
●17日、ペルー大統領府及び外務省は、ラッソ・エクアドル大統領が、国会を解散し、総選挙の実施を要請する旨表明したことを受け、同大統領を支持する旨の声明をそれぞれ発表した。
●25日、ペルー国会は、カスティージョ前大統領を擁護する発言を繰り返すロペス・オブラドール墨大統領をペルソナ・ノン・グラータと宣言する旨の決議案について審議・採決し、賛成65、反対40、棄権2で可決した。
●28-31日にかけ、オタロラ首相及びヘルバシ外相は、南米諸国首脳会議に出席すべくブラジルを訪問した。
【本文】
1 内政
(1)抗議デモに関するCIDH報告書に対する大統領府声明
3日、大統領府は、CIDHが、客年12月から本年1月にかけて発生した暴力的な抗議デモにおいて、ペルー政府による重大な人権侵害があったとする旨の報告書を発表したことを受け、これを否定する旨のプレスリリースを発出した。
(2)ケイコ・フジモリFP党首の甲状腺腫瘍の検査結果の公表
5日、ケイコ・フジモリFP党首は、4月26日に受けた甲状腺腫瘍の摘出手術の検査結果を受け取り、悪性腫瘍ではなかった旨ツイッターにて発表した。
(3)コルデロ秘日友好議連会長のFP党議員団からの除名
9日、FP党議員団は、秘日友好議連会長を務めるマリア・コルデロ議員が、同議員の事務員に対して不正に金銭の支払いを要求した疑いがあることを受け、同議員団からの除名を決定した旨発表した。
(4)ボルアルテ大統領による大統領の外遊をめぐる法改正案の提出
15日、ボルアルテ大統領は、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条について、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が不在の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案を国会に提出した。現行憲法では、大統領が国を離れる場合、副大統領が国内の職務を代理で務める旨規定されているものの、現政権のように副大統領が不在の場合については想定されていないため、ボルアルテ大統領は法改正をしない限り海外に出国できない状態にある。
(5)ケイコ・フジモリFP党首に対する36か月の出国禁止措置の決定
31日、司法府は、ケイコ・フジモリFP党首に対し、過去の選挙キャンペーンにおける不正資金調達の疑いで、36か月の出国禁止措置を決定した。なお、同措置は、ケイコ党首の元夫であるマーク・ビト氏や、フジモリ元大統領の側近で、制憲議会議長であった1993年に訪日したこともあるハイメ・ヨシヤマ氏等のFP党関係者にも適用される。
(6)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:6日~9日、全国(1,210名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:18%(18%)、不支持:76%(74%)
イ イプソス 社:12日~13日、全国(1,206名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:16%(15%)、不支持:75%(77%)
ウ IEP 社:20日~25日、全国(1,212名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:15%(15%)、不支持:79%(79%)
2 外交
(1)林外務大臣のペルー訪問
2-4日、ペルーを訪問した林外務大臣は、大統領表敬訪問及び外相会談等を行った(いずれも本使同席)。
ア 3日、林外務大臣は、外務省にてヘルバシ外相と会談し、両国外交関係樹立150周年に言及するとともに、政治・経済・文化等さまざまな分野における二国間関係を強化することで一致した。また本会談の後、共同記者発表を行った。
イ 同日、林外務大臣は、大統領府にてボルアルテ大統領を表敬訪問し、二国間関係の強化や現在の国際情勢等について意見交換した。
(2)石川県能登地方での地震に対するペルー外務省声明
5日、ペルー外務省は、日本時間の同日発生した石川県能登地方を震源とする地震により生じた、死者・負傷者・物的被害について、日本への連帯を表明する旨ツイッターに投稿した。
(3)チリとの国境付近に滞在するベネズエラ人の航空機による本国移送
7日、ペルー外務省は、チリとの国境地域に滞在していたベネズエラ人について、チリ外務省やベネズエラ政府との調整の結果、チリ領にいた115名のベネズエラ名の航空機による本国移送が実施された旨のプレスリリースを発出した。
(4)ペルー大統領府及び外務省のラッソ・エクアドル大統領への支持
17日、ペルー大統領府及び外務省は、同日、ラッソ・エクアドル大統領が、国会を解散し、総選挙の実施を要請する旨表明したことを受け、同大統領を支持する旨の声明をそれぞれ発表した。
(5)墨大統領に対するペルソナ・ノン・グラータ宣言
25日、ペルー国会は、カスティージョ前大統領を擁護する発言を繰り返すロペス・オブラドール墨大統領をペルソナ・ノン・グラータと宣言する旨の決議案について審議・採決し、賛成65、反対40、棄権2で可決した。また、内務省及び外務省に対し、それぞれの権限内で、同大統領が当国領土に入らないよう必要な措置をとることを勧告した。
(6)オタロラ首相及びヘルバシ外相の南米諸国首脳会議への出席
28-31日にかけ(ワーキングデーは29・30日)、オタロラ首相及びヘルバシ外相は、南米諸国首脳会議に出席するためブラジルを訪問し、ルラ伯大統領及びヴィエイラ同国外相、ラッソ・エクアドル大統領及びマンリケ同国外相等とそれぞれ会談を行った。また、ヘルバシ外相は、バン・クラベレン・チリ外相と会談した。