6月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和5年7月6日
【概要】
1 内政
●8日、国会は、二院制復活に関する憲法改正案について審議・採決したものの、国民投票を経ずに同案を成立するために必要な議員定数の3分の2の賛成票に到達しなかったため、今次採決の再検討(reconsideracion)が要請され、今後改めて審議・採決が行われる見通しとなった(※憲法改正の場合、(1)議員定数の3分の2にあたる87票を2会期連続で獲得、(2)議員定数の過半数を得た後に国民投票で過半数の賛成を獲得のいずれかのプロセスを経て承認となる)。
●15日、ボルアルテ大統領は、総選挙の前倒し実施の可能性を否定し、従来の任期である2026年7月まで大統領職を全うする旨の意志を表明した。
●19日、バスケス保健大臣が就任した。
●21日、国会は、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条に、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が空位の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案について、賛成72で可決した。なお、同法は29日に公布された。
●23日、2022-2023年度国会の第2会期が終了した。
2 外交
●1日、ペルー外務省は、北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難する旨ツイッターに投稿した。
●5日及び6日、ペルー首相府は、オタロラ首相が、ヘルバシ外相とともにスペインを訪問し、アルバレス西外務・EU・協力大臣他と会談した旨のプレスリリースを発出した。
●7日、ペルー首相府は、オタロラ首相が、ヘルバシ外相及びコントレラス経済財政大臣同席のもと、フランスにて開催されたOECD閣僚理事会に出席した旨のプレスリリースを発出した。
●14日、エクアドルとの国境地域にて、二国間国境管理センター(CEBAF)及び新マカラ国境橋の完工式が行われ、式典後にボルアルテ大統領とラッソ・エクアドル大統領による二国間会談が実施された。
●22日、ペルー外務省は、ヘルバシ外相が、米国にて行われた第53回米州機構(OAS)総会に出席した旨のプレスリリースを発出するとともに、同外相が同総会期間中に各国外相等と会談を行った旨ツイッターに投稿した。
●28日、ペルー外務省は、同日、チリが太平洋同盟の議長国に就任し、8月1日にペルーが議長国を引き継ぐ見通しとなった旨のプレスリリースを発出した。
【本文】
1 内政
(1)二院制復活に関する憲法改正案
8日、国会にて、二院制復活に関する憲法改正案について審議され、採決の結果、賛成86、反対32、棄権3となったが、国民投票を経ずに同案を成立するために必要な議員定数の3分の2の賛成票(87票)に到達しなかったため(※)、今次採決の再検討(reconsideracion)が要請され、今後改めて同案の審議・採決が実施される見通しとなった。
(※)憲法改正の実現には、(1)議員定数の3分の2にあたる87票を2会期連続で獲得、(2)議員定数の過半数を得た後に国民投票で過半数の賛成を獲得のいずれかの方法をとる必要がある。今次憲法改正案は、国民からの支持を得られておらず、国民投票にかけた場合、否決されるとの見方が多い。
(2)ボルアルテ大統領による総選挙前倒しの可能性の否定
15日、ボルアルテ大統領は、記者会見にて、総選挙の前倒し実施の意志を否定するとともに、従来の任期である2026年7月まで、法の支配、民主主義、憲法を尊重しながら、責任を持って職務にあたる旨表明した。
(3)バスケス保健大臣の就任
19日、大統領府にて、保健大臣の宣誓式が実施され、15日に国内でのデング熱の感染拡大を受け辞任を表明したグティエレス保健大臣に代わり、セサル・ヘンリー・バスケス・サンチェス(Cesar Henry VASQUEZ SANCHEZ)元国会議員(2016-2019年)が新大臣に任命され、同日就任した。
(4)ボルアルテ大統領の外遊にかかる法改正案
ア 21日、国会本会議にて、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条に、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が空位の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案について、第2回採決が実施され、可決に必要な議員定数の過半数で可決(賛成72、反対40、棄権6)された。なお、同法案の第1回採決は、8日に実施され、賛成68、反対40、棄権10で可決されていた。
イ 29日、同法が公布された。
(5)本年度国会の第2会期の終了
23日、2022-2023年度国会の第2会期が終了した(会期終了予定日は15日であったが、23日まで延長された)。
(6)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:3日~7日、全国(1,203名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:17%(18%)、不支持:77%(76%)
イ イプソス 社:8日~9日、全国(1,205名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:14%(16%)、不支持:77%(75%)
ウ IEP 社:17日~22日、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:12%(15%)、不支持:80%(79%)
2 外交
(1)北朝鮮によるミサイル発射に対するペルー外務省声明
1日、ペルー外務省は、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対し、国際安全保障を脅かすものとして非難する旨ツイッターに投稿した。
(2)オタロラ首相及びヘルバシ外相のスペイン訪問
ア 5日、オタロラ首相は、ヘルバシ外相とともにスペインを訪問し、アルバレス西外務・EU・協力大臣と会談し、ペルーのOECD加盟に対するスペインの支持に謝意を表明した。また、テレサ・リベラ西第三副首相兼エコロジー移行・人口問題大臣やアンデル・ヒル西上院議長ともそれぞれ会談を行い、アマゾン地域の保護等について協議した。
イ 6日、オタロラ首相は、ヘルバシ外相とともに、メリチェル・バテット西下院議長やイベロアメリカ事務局(SEGIB)のアンドレス・アラマンド事務局長、ルイス・ガルシア・モンテロ・セルバンテス協会会長とそれぞれ会談した。
(3)オタロラ首相、ヘルバシ外相、コントレラス経済財政大臣のフランス訪問
ア 7日、オタロラ首相は、ヘルバシ外相及びコントレラス経済財政大臣とともにフランスを訪問し、OECD閣僚理事会に出席した。また、ヘルバシ外相は、同国滞在中、クレバリー英国外務・英連邦・開発相と会談した。
(4)ボルアルテ大統領とラッソ・エクアドル大統領の首脳会談
14日、ペルーとエクアドルの国境地域に建設された二国間国境管理センター(CEBAF)及び、日本の無償資金協力により建設された新マカラ国際橋の完工式が実施され、ペルー側からボルアルテ大統領、オタロラ首相、ヘルバシ外相、ロメロ内務大臣、ラサルテ運輸通信大臣等が、エクアドル側からラッソ大統領、マンリケ外相等がそれぞれ出席した。また、同式典後、ボルアルテ大統領とラッソ大統領による首脳会談が行われた。
(5)ヘルバシ外相のOAS総会への出席
ア 22日、ペルー外務省は、ヘルバシ外相が、米国にて行われた第53回OAS総会に出席し、民主主義及び人権の促進等について演説を行った旨のプレスリリースを発出した。
イ 21~23日にかけ、ペルー外務省は、ヘルバシ外相が、ゴンザレス米国家安全保障会議(NSC)上級部長(西半球担当)、コートニー・ベリーズ外相、ジョリー加外相、バン・クラベレン・チリ外相、アンドレ・コスタリカ外相、ニコルズ米国務次官補(西半球担当)、マンリケ・エクアドル外相とそれぞれ会談した旨ツイッターに投稿した。
(6)太平洋同盟議長国のペルーへの引継ぎの見通し
28日、ペルー外務省は、同日、チリが太平洋同盟の議長国に就任し、8月1日にペルーが議長国を引き継ぐ見通しとなった旨のプレスリリースを発出した。
1 内政
●8日、国会は、二院制復活に関する憲法改正案について審議・採決したものの、国民投票を経ずに同案を成立するために必要な議員定数の3分の2の賛成票に到達しなかったため、今次採決の再検討(reconsideracion)が要請され、今後改めて審議・採決が行われる見通しとなった(※憲法改正の場合、(1)議員定数の3分の2にあたる87票を2会期連続で獲得、(2)議員定数の過半数を得た後に国民投票で過半数の賛成を獲得のいずれかのプロセスを経て承認となる)。
●15日、ボルアルテ大統領は、総選挙の前倒し実施の可能性を否定し、従来の任期である2026年7月まで大統領職を全うする旨の意志を表明した。
●19日、バスケス保健大臣が就任した。
●21日、国会は、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条に、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が空位の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案について、賛成72で可決した。なお、同法は29日に公布された。
●23日、2022-2023年度国会の第2会期が終了した。
2 外交
●1日、ペルー外務省は、北朝鮮による弾道ミサイル発射を非難する旨ツイッターに投稿した。
●5日及び6日、ペルー首相府は、オタロラ首相が、ヘルバシ外相とともにスペインを訪問し、アルバレス西外務・EU・協力大臣他と会談した旨のプレスリリースを発出した。
●7日、ペルー首相府は、オタロラ首相が、ヘルバシ外相及びコントレラス経済財政大臣同席のもと、フランスにて開催されたOECD閣僚理事会に出席した旨のプレスリリースを発出した。
●14日、エクアドルとの国境地域にて、二国間国境管理センター(CEBAF)及び新マカラ国境橋の完工式が行われ、式典後にボルアルテ大統領とラッソ・エクアドル大統領による二国間会談が実施された。
●22日、ペルー外務省は、ヘルバシ外相が、米国にて行われた第53回米州機構(OAS)総会に出席した旨のプレスリリースを発出するとともに、同外相が同総会期間中に各国外相等と会談を行った旨ツイッターに投稿した。
●28日、ペルー外務省は、同日、チリが太平洋同盟の議長国に就任し、8月1日にペルーが議長国を引き継ぐ見通しとなった旨のプレスリリースを発出した。
【本文】
1 内政
(1)二院制復活に関する憲法改正案
8日、国会にて、二院制復活に関する憲法改正案について審議され、採決の結果、賛成86、反対32、棄権3となったが、国民投票を経ずに同案を成立するために必要な議員定数の3分の2の賛成票(87票)に到達しなかったため(※)、今次採決の再検討(reconsideracion)が要請され、今後改めて同案の審議・採決が実施される見通しとなった。
(※)憲法改正の実現には、(1)議員定数の3分の2にあたる87票を2会期連続で獲得、(2)議員定数の過半数を得た後に国民投票で過半数の賛成を獲得のいずれかの方法をとる必要がある。今次憲法改正案は、国民からの支持を得られておらず、国民投票にかけた場合、否決されるとの見方が多い。
(2)ボルアルテ大統領による総選挙前倒しの可能性の否定
15日、ボルアルテ大統領は、記者会見にて、総選挙の前倒し実施の意志を否定するとともに、従来の任期である2026年7月まで、法の支配、民主主義、憲法を尊重しながら、責任を持って職務にあたる旨表明した。
(3)バスケス保健大臣の就任
19日、大統領府にて、保健大臣の宣誓式が実施され、15日に国内でのデング熱の感染拡大を受け辞任を表明したグティエレス保健大臣に代わり、セサル・ヘンリー・バスケス・サンチェス(Cesar Henry VASQUEZ SANCHEZ)元国会議員(2016-2019年)が新大臣に任命され、同日就任した。
(4)ボルアルテ大統領の外遊にかかる法改正案
ア 21日、国会本会議にて、大統領の職務について規定した法令第29158号第8条に、大統領が外遊する際、国内で大統領職の代理を務める副大統領が空位の場合、大統領自身がリモートで職務を継続して行う旨追記することを提案する法改正案について、第2回採決が実施され、可決に必要な議員定数の過半数で可決(賛成72、反対40、棄権6)された。なお、同法案の第1回採決は、8日に実施され、賛成68、反対40、棄権10で可決されていた。
イ 29日、同法が公布された。
(5)本年度国会の第2会期の終了
23日、2022-2023年度国会の第2会期が終了した(会期終了予定日は15日であったが、23日まで延長された)。
(6)ボルアルテ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム 社:3日~7日、全国(1,203名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:17%(18%)、不支持:77%(76%)
イ イプソス 社:8日~9日、全国(1,205名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:14%(16%)、不支持:77%(75%)
ウ IEP 社:17日~22日、全国(1,209名、誤差±2.8%、信頼度95%)
支持:12%(15%)、不支持:80%(79%)
2 外交
(1)北朝鮮によるミサイル発射に対するペルー外務省声明
1日、ペルー外務省は、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対し、国際安全保障を脅かすものとして非難する旨ツイッターに投稿した。
(2)オタロラ首相及びヘルバシ外相のスペイン訪問
ア 5日、オタロラ首相は、ヘルバシ外相とともにスペインを訪問し、アルバレス西外務・EU・協力大臣と会談し、ペルーのOECD加盟に対するスペインの支持に謝意を表明した。また、テレサ・リベラ西第三副首相兼エコロジー移行・人口問題大臣やアンデル・ヒル西上院議長ともそれぞれ会談を行い、アマゾン地域の保護等について協議した。
イ 6日、オタロラ首相は、ヘルバシ外相とともに、メリチェル・バテット西下院議長やイベロアメリカ事務局(SEGIB)のアンドレス・アラマンド事務局長、ルイス・ガルシア・モンテロ・セルバンテス協会会長とそれぞれ会談した。
(3)オタロラ首相、ヘルバシ外相、コントレラス経済財政大臣のフランス訪問
ア 7日、オタロラ首相は、ヘルバシ外相及びコントレラス経済財政大臣とともにフランスを訪問し、OECD閣僚理事会に出席した。また、ヘルバシ外相は、同国滞在中、クレバリー英国外務・英連邦・開発相と会談した。
(4)ボルアルテ大統領とラッソ・エクアドル大統領の首脳会談
14日、ペルーとエクアドルの国境地域に建設された二国間国境管理センター(CEBAF)及び、日本の無償資金協力により建設された新マカラ国際橋の完工式が実施され、ペルー側からボルアルテ大統領、オタロラ首相、ヘルバシ外相、ロメロ内務大臣、ラサルテ運輸通信大臣等が、エクアドル側からラッソ大統領、マンリケ外相等がそれぞれ出席した。また、同式典後、ボルアルテ大統領とラッソ大統領による首脳会談が行われた。
(5)ヘルバシ外相のOAS総会への出席
ア 22日、ペルー外務省は、ヘルバシ外相が、米国にて行われた第53回OAS総会に出席し、民主主義及び人権の促進等について演説を行った旨のプレスリリースを発出した。
イ 21~23日にかけ、ペルー外務省は、ヘルバシ外相が、ゴンザレス米国家安全保障会議(NSC)上級部長(西半球担当)、コートニー・ベリーズ外相、ジョリー加外相、バン・クラベレン・チリ外相、アンドレ・コスタリカ外相、ニコルズ米国務次官補(西半球担当)、マンリケ・エクアドル外相とそれぞれ会談した旨ツイッターに投稿した。
(6)太平洋同盟議長国のペルーへの引継ぎの見通し
28日、ペルー外務省は、同日、チリが太平洋同盟の議長国に就任し、8月1日にペルーが議長国を引き継ぐ見通しとなった旨のプレスリリースを発出した。