10月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和5年11月28日
【概要】
1 内政
●10月5日、ボルアルテ大統領は悪化する治安に関する対策を発表した。
●10月18日、国会法務人権委員会は、全国司法審議会(JNJ)が当国憲法第156条第3項を遵守していない旨の報告書を承認した。
●10月10日、ボルアルテ大統領は、図書に関する法律を公布した。
●10月24日、ボルアルテ大統領は、第6回社会包括週間の開会式に出席し、各種社会福祉プログラム等への支援を増加した旨発表した。
2 外交
●10月11-15日、ボルアルテ大統領は、ドイツ、バチカン市国、イタリアを訪問した。15日にはイスラエルから退避したペルー人25人とともに帰国した。
●10月25-26日、ラッソ・エクアドル大統領は、ブラジリア平和条約発効25周年を記念してリマを公式訪問した。
【本文】
(1)ボルアルテ大統領による治安対策の発表
10月5日、ボルアルテ大統領は、トルヒーヨ市(ラ・リベルタド州)にて、第2回国民の安全のための国会審議会(Conasec)を開催し、以下のとおり説明した。
ア リマ・セルカード区(リマ市)についても緊急事態宣言を発出することにした。
イ 警察官の迅速な行動強化のため、C4として知られているペルー国家警察の指令・管理・通信・コンピュータ及び諜報センターを近代化する。
ウ 委任命令(decreto legislativo)No.1573(当館注:同日公布)により、殺人、強姦、契約殺人、誘拐、女性嫌悪による殺人等を犯した外国人を刑期を務めた後に追放できるようになった。同No.1574(当館注:同日公布)は、外国人の完全な身元確認のために警察による身元調査に関して刑事訴訟法を改正したものである。
エ 我が政府は、正規の資格を有していない移民が我々の領土内での滞在を正規なものにするための期限については柔軟な姿勢をとるが、いったん期限が切れれば延長はないであろう(当館注1)。
(当館注1)主としてベネズエラからの不法移民を念頭に、政府は正規の資格を有していない移民のペルー滞在一時許可の申請期限を11月10日としていた。右期限後の11月14日、委任命令No.1350を改正する同No.1582を公布し、以前は入国審査を経ずに入国した移民に対しては出国が義務づけられていたものが、新たに国外追放の対象となった(第58条第1項d)。また、国外追放までの期限を最大48時間と期限を設けた(第68条第4項及び補足規程第第15条第6項)。
(2)ボルアルテ大統領による図書に関する法律の公布
10月10日、ボルアルテ大統領は、図書へのアクセスを容易にし、読書を促進する法律を公布した。
(3)国会によるJNJ調査・その3
10月18日、国会法務人権委員会は、JNJに関する調査に関し、同メンバーに重大な過ちはなかったとする最終報告書を承認した。しかし、夜には、JNJメンバーは75歳未満であるとする当国憲法第156条第3項をJNJは守っていないとする新最終報告書が現れ、これが承認された。
(4)ボルアルテ大統領の社会包括週間開会式への出席
10月24日、ボルアルテ大統領は、第6回社会包括週間の開会式において、概要以下のとおりスピーチした。
(1)共同鍋(ollas comunes、当館注2)、大衆食堂(当館注3)、牛乳瓶(当館注4)、Qali Warma(当館注5)、あなたと伴に(当館注6)、Pension65(当館注7)、Beca18(当館注8)、フントス(当館注9)、PAIS(当館注10)のための支援を増加させた。
(2)すべての予算はペルー国民のために使われなければならない。また、社会的弱者に対しては食事サービスだけに集中するのではなく、上下水、保健、教育、交通、通信サービスも不足しており、これらにも取り組まなければならない。
(当館注2)大衆食堂と同様のプログラムを通じて、食料を提供する場所。
(当館注3)(1)貧困・極貧にある者、(2)子ども、結核患者、高齢者、道徳的危険・遺棄状態にある、又は家族による、あるいは政治的暴力の犠牲者である障がい者を対象とする「食料補助プログラム」を通じ、低価格で食事を提供するために草の根レベルの団体が設けている食堂。
(当館注4)2001年制定の法律によって開始された社会福祉プログラム。社会的弱者とされる国民に日々の食料を提供するもので、6歳までの乳幼児(第1優先)、妊婦(第1優先)、7-13歳までの子ども、高齢者、結核患者が対象。
(当館注5)公立の幼稚園・小学校に通う園児・子どもたち及びアマゾン地域の中学校に通う先住民の生徒たちに対し、様々な栄養のある食事を提供するプログラム。
(当館注6)貧困・極貧状態にある重篤の障がい者を対象に隔月で300ソレスの年金を支給するプログラム。
(当館注7)生計のための基礎的条件が不足している65歳より上の年齢層に隔月で250ソルの助成金を支給するプログラム。
(当館注8)成績はよいものの、経済的困窮にある又は社会的弱者の高等学校5年生又は高等学校卒業生に対し、大学での勉学のための奨学金を支給するプログラム。
(当館注9)任意参加の下、最貧困にある妊婦、子ども、青年に対し、予防保健サービス・退学なしの学校教育サービスを促進するプログラム。
(当館注10)公私団体での社会的・経済的・生産的事項に係るプログラム・プロジェクト・アクティビティの提供を容易にし、調和させるプログラム。
2 外交
(1)ボルアルテ大統領の欧州外遊
ア 10月11-15日、ボルアルテ大統領は、ドイツの企業組合LAVの招待によるラテンアメリカデーへの出席他のため、ドイツ、バチカン市国、イタリアを外遊した。
イ なお、14日、ペルー政府によって引き揚げを受けたイスラエルに短期滞在中であった国民42人のうち25人とともにローマから専用機で出発、15日に帰国した(当館注:残り17名については10月18日にローマを商用機で出発。また、イスラエルに長期滞在中の52人については、10月16日、エクアドル政府によるチャーター機でキトに到着)。
(2)ラッソ・エクアドル大統領のペルー公式訪問
10月25-26日、ラッソ・エクアドル大統領は、ブラジリア平和条約発効25周年を記念してペルーを公式訪問した。ボルアルテ政権になって初の外国元首による公式訪問。
1 内政
●10月5日、ボルアルテ大統領は悪化する治安に関する対策を発表した。
●10月18日、国会法務人権委員会は、全国司法審議会(JNJ)が当国憲法第156条第3項を遵守していない旨の報告書を承認した。
●10月10日、ボルアルテ大統領は、図書に関する法律を公布した。
●10月24日、ボルアルテ大統領は、第6回社会包括週間の開会式に出席し、各種社会福祉プログラム等への支援を増加した旨発表した。
2 外交
●10月11-15日、ボルアルテ大統領は、ドイツ、バチカン市国、イタリアを訪問した。15日にはイスラエルから退避したペルー人25人とともに帰国した。
●10月25-26日、ラッソ・エクアドル大統領は、ブラジリア平和条約発効25周年を記念してリマを公式訪問した。
【本文】
(1)ボルアルテ大統領による治安対策の発表
10月5日、ボルアルテ大統領は、トルヒーヨ市(ラ・リベルタド州)にて、第2回国民の安全のための国会審議会(Conasec)を開催し、以下のとおり説明した。
ア リマ・セルカード区(リマ市)についても緊急事態宣言を発出することにした。
イ 警察官の迅速な行動強化のため、C4として知られているペルー国家警察の指令・管理・通信・コンピュータ及び諜報センターを近代化する。
ウ 委任命令(decreto legislativo)No.1573(当館注:同日公布)により、殺人、強姦、契約殺人、誘拐、女性嫌悪による殺人等を犯した外国人を刑期を務めた後に追放できるようになった。同No.1574(当館注:同日公布)は、外国人の完全な身元確認のために警察による身元調査に関して刑事訴訟法を改正したものである。
エ 我が政府は、正規の資格を有していない移民が我々の領土内での滞在を正規なものにするための期限については柔軟な姿勢をとるが、いったん期限が切れれば延長はないであろう(当館注1)。
(当館注1)主としてベネズエラからの不法移民を念頭に、政府は正規の資格を有していない移民のペルー滞在一時許可の申請期限を11月10日としていた。右期限後の11月14日、委任命令No.1350を改正する同No.1582を公布し、以前は入国審査を経ずに入国した移民に対しては出国が義務づけられていたものが、新たに国外追放の対象となった(第58条第1項d)。また、国外追放までの期限を最大48時間と期限を設けた(第68条第4項及び補足規程第第15条第6項)。
(2)ボルアルテ大統領による図書に関する法律の公布
10月10日、ボルアルテ大統領は、図書へのアクセスを容易にし、読書を促進する法律を公布した。
(3)国会によるJNJ調査・その3
10月18日、国会法務人権委員会は、JNJに関する調査に関し、同メンバーに重大な過ちはなかったとする最終報告書を承認した。しかし、夜には、JNJメンバーは75歳未満であるとする当国憲法第156条第3項をJNJは守っていないとする新最終報告書が現れ、これが承認された。
(4)ボルアルテ大統領の社会包括週間開会式への出席
10月24日、ボルアルテ大統領は、第6回社会包括週間の開会式において、概要以下のとおりスピーチした。
(1)共同鍋(ollas comunes、当館注2)、大衆食堂(当館注3)、牛乳瓶(当館注4)、Qali Warma(当館注5)、あなたと伴に(当館注6)、Pension65(当館注7)、Beca18(当館注8)、フントス(当館注9)、PAIS(当館注10)のための支援を増加させた。
(2)すべての予算はペルー国民のために使われなければならない。また、社会的弱者に対しては食事サービスだけに集中するのではなく、上下水、保健、教育、交通、通信サービスも不足しており、これらにも取り組まなければならない。
(当館注2)大衆食堂と同様のプログラムを通じて、食料を提供する場所。
(当館注3)(1)貧困・極貧にある者、(2)子ども、結核患者、高齢者、道徳的危険・遺棄状態にある、又は家族による、あるいは政治的暴力の犠牲者である障がい者を対象とする「食料補助プログラム」を通じ、低価格で食事を提供するために草の根レベルの団体が設けている食堂。
(当館注4)2001年制定の法律によって開始された社会福祉プログラム。社会的弱者とされる国民に日々の食料を提供するもので、6歳までの乳幼児(第1優先)、妊婦(第1優先)、7-13歳までの子ども、高齢者、結核患者が対象。
(当館注5)公立の幼稚園・小学校に通う園児・子どもたち及びアマゾン地域の中学校に通う先住民の生徒たちに対し、様々な栄養のある食事を提供するプログラム。
(当館注6)貧困・極貧状態にある重篤の障がい者を対象に隔月で300ソレスの年金を支給するプログラム。
(当館注7)生計のための基礎的条件が不足している65歳より上の年齢層に隔月で250ソルの助成金を支給するプログラム。
(当館注8)成績はよいものの、経済的困窮にある又は社会的弱者の高等学校5年生又は高等学校卒業生に対し、大学での勉学のための奨学金を支給するプログラム。
(当館注9)任意参加の下、最貧困にある妊婦、子ども、青年に対し、予防保健サービス・退学なしの学校教育サービスを促進するプログラム。
(当館注10)公私団体での社会的・経済的・生産的事項に係るプログラム・プロジェクト・アクティビティの提供を容易にし、調和させるプログラム。
2 外交
(1)ボルアルテ大統領の欧州外遊
ア 10月11-15日、ボルアルテ大統領は、ドイツの企業組合LAVの招待によるラテンアメリカデーへの出席他のため、ドイツ、バチカン市国、イタリアを外遊した。
イ なお、14日、ペルー政府によって引き揚げを受けたイスラエルに短期滞在中であった国民42人のうち25人とともにローマから専用機で出発、15日に帰国した(当館注:残り17名については10月18日にローマを商用機で出発。また、イスラエルに長期滞在中の52人については、10月16日、エクアドル政府によるチャーター機でキトに到着)。
(2)ラッソ・エクアドル大統領のペルー公式訪問
10月25-26日、ラッソ・エクアドル大統領は、ブラジリア平和条約発効25周年を記念してペルーを公式訪問した。ボルアルテ政権になって初の外国元首による公式訪問。