ペルーの経済情勢(2023年第4四半期)

令和6年3月11日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率▲0.74%(12月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率3.24%(12月までの一年間)、対米ドル為替相場3.734ソル(12月平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.4%(10月~12月)、財政収支約154億ソルの赤字(12月)、貿易収支約20億米ドルの黒字(12月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、12月は主に宿泊・飲食業等の成長率の伸びが見られた一方、特に漁業の成長率が大幅マイナスとなり、全体としてGDP成長率は▲0.74%(前年同月比)となった。
 


 


イ インフレ率
 12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.41%となり、最近12か月(1月~12月)の上昇率は、3.24%となった。




ウ 為替相場
 12月の対米ドル為替相場の平均は3.734ソルであった。



 

 
エ 失業率
 10月~12月のリマ首都圏の完全失業率は6.4%であった。




オ 財政収支
 12月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で3.2%減となり、歳出は同比で0.6%増となった。全体では、プライマリーバランスは約154億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約162億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 12月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比1.7%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が1.0%減となり、全体では約62億米ドル(対前年同月比0.8%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ぶどうであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が3.4%増、中間財は16.6%減、資本財が0.2%増となり、全体で約42億米ドル(対前年同月比7.9%減)となった。この結果、貿易収支は約20億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、自動車、軽油であった。






キ 外貨準備高
 12月末の外貨準備高は約710億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 12月末の対外債務累積総額は約1,057億米ドルとなった。



 

 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・経済再生・活性化策「Plan Unidos(統合計画)」の発表
 11月9日、ペルー政府は、経済再生・活性化を促進するために、零細企業支援並びに民間投資の奨励及び官民連携投資の推進を主軸とする「Plan Unidos(統合計画)」を発表した。当該計画には今後優先的に取り組む25の案件が含まれ、農業、鉱業、電力、衛生、病院、教育、運輸、観光等の分野が対象となった。
 
・中銀(BCR)が4か月連続で政策金利を引き下げ、6.75%に
 12月14日、中銀(BCR)理事会は政策金利を7.00%から6.75%に引き下げる旨発表し、2023年9月以降4か月連続での利下げとなった。この決定については、直近12か月間累計のインフレ率が10月の4.3%から11月には3.6%に、食料とエネルギーコストを除く12か月間累計のコア・インフレ率が10月の3.3%から11月には3.1%に低下し、いずれも2023年初頭から低下を続けていること、今後12カ月の累計インフレ率の見通しが10月から11月にかけて3.33%から3.15%に低下したものの、依然として政府目標値(1~3%)を上回っていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、これは必ずしも利下げサイクルの継続を意味するものではなく、今後の政策金利の判断に当たってはインフレ率の推移と経済動向等を注視し続けることを強調している。
 
・リチウム精製工場建設計画
 12月21日付ラ・レプブリカ紙電子版は、プーノ州ファルチャニ鉱山における年産10万トンのリチウム精製工場建設計画について報じた。Macusani Yellowcake社が2027年の開山・操業を目指す。同社のテストでは、電池用途に必要な純度である99.5%を超える99.82%で再精製は不要。初期投資額は約8億6,800万米ドル(最初の4年間)で、初年度は年産2万5千トンを精製できる見込み。その後、資本増強し8年目に4万5千トン、12年目に10万トンに達する。
 
(了)