ペルーの経済情勢(2024年1月)

令和6年4月5日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率1.37%(1月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率3.02%(1月までの一年間)、対米ドル為替相場3.741ソル(1月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.2%(11月~1月)、財政収支約58億ソルの黒字(1月)、貿易収支約15億米ドルの黒字(1月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、1月は主に建設業や運輸・倉庫・郵便等などの成長率の伸びが見られた一方、特に漁業の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は1.37%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 1月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.02%となり、最近12か月(2023年2月~2024年1月)の上昇率は、3.02%となった。




ウ 為替相場
 1月の対米ドル為替相場の平均は3.741ソルであった。



 

 
エ 失業率
 2023年11月~2024年1月のリマ首都圏の完全失業率は7.2%であった。​




オ 財政収支
 1月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で7.8%増となり、歳出は同比で1.6%増となった。全体では、プライマリーバランスは約58億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約49億ソルの黒字となった。




カ 貿易収支
 1月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比9.8%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が8.7%増となり、全体では約54億米ドル(対前年同月比9.4%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ぶどうであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が6.1%増、中間財は1.5%減、資本財が19.0%増となり、全体で約39億米ドル(対前年同月比6.2%増)となった。この結果、貿易収支は約15億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、自動車、携帯電話であった。






キ 外貨準備高
 1月末の外貨準備高は約733億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2023年12月末の対外債務累積総額は約1,057億米ドルとなった。



 

 (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)が5か月連続で政策金利を引き下げ、6.50%に
 1月11日、中銀(BCR)理事会は政策金利を6.75%から6.50%に引き下げる旨発表し、2023年9月以降5か月連続での利下げとなった。この決定については、直近12か月間累計のインフレ率が11月の3.6%から12月には3.2%に、食料とエネルギーコストを除く12か月間累計のコア・インフレ率が11月の3.1%から12月には2.9%に低下し、いずれも2023年初頭から低下を続けており、特に後者については今回初めて政府目標値内(1~3%)に収まったこと、今後12カ月の累計インフレ率の見通しが11月から12月にかけて3.15%から2.83%に低下し政府目標値(1~3%)に収まったこと等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、これは必ずしも利下げサイクルの継続を意味するものではなく、今後の政策金利の判断に当たってはインフレ率の推移と経済動向等を注視し続けることを強調している。
 
(了)