2月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和6年4月26日
【概要】
1 内政
●1日、ボルアルテ大統領は、ペルー全国で強制労働を終了させることを目的に、「強制労働に対する団結」協定に加盟するための署名式を開催した。
●2日、カスティージョ前大統領は、体調不調のため一時入院した。
●2日、オタロラ首相はアンカシュ州を訪問し、人道物資の引渡しに立ち会った。
●2日、リマ高等裁判所は、国会による全国司法審議会(JNJ)の審議に対するJNJからの保護訴訟に関し、JNJ側の主張を一部認めた。
●6日、最高裁判所第2審(最終審)は、カスティージョ前大統領に対する36か月間の予防勾留措置を有効と決定した旨を公表した。
●13日、ベナビデス検事総長(停職中)の元顧問であるビジャヌエバ容疑者は、かつてボルアルテ大統領の元弁護士からペルーリブレ党のマネーロンダリング疑惑に係る捜査にボルアルテ大統領を含めないように依頼されたと証言したことが明らかになった。
●13日、4大臣が交代した。
●15日、国会常設委員会は、ボルアルテ大統領の開発社会包摂大臣時代の疑惑について
審議を終了させることを決定した。
●15日、フジモリ元大統領は、入院して緊急治療室にて手当を受けた後、退院した。
●15日、ボルアルテ大統領は、180人以上の地方自治体首長とともに第1回国家地方自治体審議会(CEMUNI)を開催した。
●19日、ボルアルテ大統領は、2024年の最初の施政総括を発表した。
●19日、フジモリ元大統領は、インタビューにてボルアルテ政権は2026年まで継続することで人民勢力党(FP)とフジモリ派は合意していると発言した。この発言を受け、21日、FPのスポークスマンは、同党と政府の間に同盟関係があることを否定した。また、22日にはオタロラ首相が政府が政党と同盟関係を有していることはない旨発言した。
●20日、ボルアルテ大統領は、ロレト州にて巡回プラットホーム用の2隻の船舶の命名式に出席した。
●22日、ボルアルテ大統領は、Pension65の受益者が80万人に達した旨を発表する式典に出席した。
●23日、外務省に2年間の時限にて「対外関係諮問委員会」が設置されることが決定した。
●23日、ボルアルテ大統領は、内務省が治安対策のために調達した車両の披露式に出席した。
2 外交
●3日、外務省は、チリで発生中の大規模森林火災に関し、連帯等の意を表明した。
●4日、外務省は、同日実施された大統領選にて勝利したブケレ・エルサルバドル大統領に祝意を表明した。
●6日、ボルアルテ大統領は、チリのピニェラ前大統領が死亡したとの訃報を受け、哀悼の意を表明した。
●6日、ゴンサレス-オラエチェア外相はリマでの中国春節を祝う行事に出席した。
●8日、ア首連にペルー大使館を開設することが決定された。
●16-18日、ゴンサレス-オラエチェア外相はミュンヘン安全保障会議に出席した。また、同会議のマージンにてインド、エストニア外相との外相会談等を行った。
●22日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、華春瑩・中国外交部報道官と会談した。
●24日、外務省はウクライナ情勢に関する声明を発出した。
●26日、イゲラス外務副大臣は駐英大使に任命された。
●27日、ボルアルテ大統領は、フェイザー・ドイツ内務大臣と会合を開き、麻薬不法取引との闘い等について協議した。
●27日、ボルアルテ大統領は、米国議員9名と二国間の経済関係等について協議した。
●28-3月3月、ゴンサレス-オラエチェア外相は、第8回CELAC首脳会議出席のためセントビンセント及びグレナディーン諸島を訪問した。
【本文】
1 内政
(1)強制労働に係る協定署名
1日、ボルアルテ大統領は、ペルー全国で強制労働を終了させることを目的に、「強制労働に対する団結」協定に加盟するための署名式を開催した。同協定は、アレバロ司法府長官、トーレス世界労働機関(ILO)アンデス諸国事務所代表、ガラ検察庁代表、グティエレス・オンブズマン、トーレス内務大臣、アラナ法務人権大臣、トレンティノ女性社会的弱者大臣、マウラテ労働雇用促進大臣によって署名された。2023年、政府は、強制労働に関する電話相談窓口として1819番を開設した。
(2)カスティージョ前大統領の体調不良
2日午前、カスティージョ前大統領は胸の痛みを訴えたため病院に搬送されたが、午後には退院して収監施設に戻った。
(3)オタロラ首相のアンカシュ州訪問
2日、オタロラ首相及びペレス・レジェス運輸通信大臣は、アンカシュ州での豪雨(当館注1)により被害を受けた地域への7トンの人道物資の引渡しに立ち会った。
(4)国会による全国司法審議会(JNJ)審議
2日、リマ高等裁判所は、国会による全国司法審議会(JNJ)メンバーの即時解任に関する手続きに係るJNJからの保護訴訟について、国会は解任理由となる「重大な過失」の内容を特定していないとしてJNJの主張を一部認めた。
(5)カスティージョ前大統領への36か月間の予防勾留措置確定
6日、最高裁判所第2審(終審)は、1月初旬の第1審と同様、同月下旬に組織犯罪等の容疑に係る捜査のためのカスティージョ前大統領に対する36か月間の予防勾留措置を有効と決定した旨を公表した。
(6)ビジャヌエバ容疑者のボルアルテ大統領に関する証言
13日、検察庁と司法取引を行ったベナビデス検事総長(停職中)の元顧問であるビジャヌエバ容疑者は、ボルアルテ大統領の元弁護士から2022年10月にペルーリブレ党のマネーロンダリング疑惑に係る捜査にボルアルテ大統領を含めないように依頼されたと1月に証言したことが明らかになった。この証言について、ボルアルテ大統領は検察庁の裁量権を尊重し、自分としては同庁がビジャヌエバ容疑者の証言を捜査・確証すべきと言う以外はないと発言した。
(7)4大臣の交代
13日、国防大臣、経済財政大臣、エネルギー鉱山大臣、環境大臣の4大臣が交代した。
(8)国会によるボルアルテ大統領への審議終了
15日、国会常設委員会は、憲法告訴小委員会が作成したボルアルテ大統領が開発社会包摂大臣時代等に犯したとされる違法行為の疑いについての審議を終了させる旨の報告書を賛成17、反対3、棄権6で可決した。
(9)フジモリ元大統領関係・その1
15日、フジモリ元大統領は、入院し緊急治療室にて約3時間の手当を受けた後、退院した。退院の際、記者から最近の政治情勢について意見を求められたが、「自分は政治から離れた」と述べてコメントを避けた。
(10)第1回国家地方自治体審議会(CEMUNI)の開催
15日、ボルアルテ大統領は、文化省にて180人以上の地方自治体首長とともに第1回国家地方自治体審議会(CEMUNI)を開催した。CEMUNIは中央政府と地方自治体間の調整を推進するもの。ボルアルテ大統領は、2024年予算において地方自治体向け予算は17%、49億ソル増加した旨を説明した。
(11)2024年1回目の施政総括
19日、ボルアルテ大統領は、2024年の最初の施政総括を発表した。全閣僚を従えた記者会見での主な発言内容は以下のとおり。
ア 国民が我々に望む施政に関する説明責任を果たし、ペルーで非常に欠乏している美点である透明性、効率性、正直さを伴う行動をとる。
イ ペルーが経済成長力を回復するために働いてきた。2024年は幸先よくスタートし、1月には公共投資が中央政府、州政府、その他の地方自治体において137%の成長率を記録した。最も脆弱な分野に注意を向けて、予算執行率のレベルを維持・増加させなければならない。
ウ 市民を取り巻く治安悪化は、より断固として、より多くの財源を投入し、より効力のある法的枠組み・組織の支援・国民の結束とともに本年立ち向かうべき挑戦である。
(12)フジモリ元大統領関係・その2
19日、TV番組はフジモリ元大統領に対するインタビューを放映した。フジモリ元大統領の主な発言は以下のとおり。
ア (総選挙前倒しについて、)ボルアルテ政権は2026年まで継続する。少なくとも人民勢力党(FP)とフジモリ派はこれで合意している。
イ (米州人権裁判所(Corte-IDH)がフジモリ元大統領の釈放に異議を唱えていることに対して、)自分の釈放は正当化されており、憲法裁判所はすべての面においてしかるべく釈放を支持してきている。
ウ (ケイコFP党首の次回大統領選出馬について、)決定するには時期尚早であるが、いつかをそれを決めることになる。少なくともフジモリ派からの出馬はある。フジモリ派には支援者がいるので常に大統領選候補者を出している。
(13)ボルアルテ大統領による巡回プラットホーム用船舶命名式出席
20日、ボルアルテ大統領はロレト州において、社会活動のための巡回プラットホーム(PIAS:Plataformas Itinerantes de Accion Social)用の2隻の船舶の命名式に出席した(Ucayali I及びUcayali II)。2隻の船を合わせて、ロレト州、ウカヤリ州、チチカカ湖を走る船は14隻となった。
※ PIASでは、過疎地住民のために川沿いに船を走らせ、医療サービス、身分証明書(DNI)手続き、国からの補助金支払い等の各種公共サービスを提供している。
(14)フジモリ元大統領関係・その3
21日、FPのトーレス・スポークマンは、19日放映のフジモリ元大統領のインタビューに関し、同党と政府の間に同盟関係があることを否定し、FPは政府に対し完全に野党である旨発言したと報じられた。
(15)フジモリ元大統領関係・その4
22日、オタロラ首相は、政府が政党と同盟関係を有していることはない旨を発言した。ただし、国益にかなう公共政策、法令について一定の合意はある旨説明した。
(16)ボルアルテ大統領のPension65関係式典出席
22日、ボルアルテ大統領は、Pension65(当館注2)の受益者が80万人に達した旨を発表する式典に出席した。Pension65に関する2024年の最初の調査により利用者は以前の63万人から18万人増加して80万人以上になったことが明らかになった。
(17)外務省における新委員会の設置
23日、最高決定により、外務省に2年間の時限にて「対外関係諮問委員会」を設置することが決定された。同委員会は、国家政策、特に国家の恒久的利益にかかわる事項に沿って、様々な分野について外相を補佐することを目的としている。
(18)治安対策のための車両調達
23日、ボルアルテ大統領は、内務省が治安対策のために3,200万ソレスを使用して調達した車両268台の披露式に出席し、224台の軽トラックはアンカシュ州、アレキパ州、アヤクチョ州、カハマルカ州、クスコ州、ワヌコ州、イカ州、ランバイェケ州、ラ・リベルタ州、フニン州、モケグア州、ピウラ州、プノ州、タクナ州、トゥンベス州に配備される旨、又、40台のオートバイはアンカシュ州、アレキパ州、クスコ州、ワヌコ州、フニン州、ラ・リベルタ州、ランバイェケ州、リマ市、カヤオ憲法特別市の警察署に配置される旨を説明した。
2 外交
(1)外務省によるチリ火災への見舞い等表明
3日、外務省はXを通じて、チリ・バルパライソ州及びその周辺部で発生中の大規模な森林火災による犠牲者及び深刻な損害に対し、チリ国民及び政府に心痛と連帯の意を伝えるとともに、支援と協力の用意がある旨を表明した。
(2)外務省によるブケレ・エルサルバドル大統領への祝意表明
4日、外務省はXを通じて、同日実施されたエルサルバドルでの大統領選で勝利したブケレ氏に祝意を表するととも、両国の友好と協力のきずなを引き続き強化していきたい旨を表明した。
(3)ボルアルテ大統領によるピニェラ・チリ前大統領死去に対する哀悼の意表明
6日、大統領府は、ヘリコプターの墜落事故によりチリのピニェラ前大統領が死亡したとの訃報を受け、Xを通じてボルアルテ大統領による哀悼の意を表明した。
(4)ゴンサレス-オラエチェア外相の中国春節関連行事出席
6日、外務省はXを通じて、ゴンサレス-オラエチェア外相がリマで開催された中国の春節を祝う行事に出席した旨を伝えた
(5)ペルー・ア首連関係
ア 8日、最高決定にて、ア首連のアブダビにペルー大使館を開設する旨が決定された。なお、両国は1986年6月に外交関係を樹立し、2011年3月にペルーがドバイに総領事館を、2016年3月にア首連がペルーに大使館を開設した。
イ 同日、最高決定にて、マウラテ労働雇用促進大臣は、ア首連の政府開発・未来大臣の招待を受け、12-14日にドバイで開催される政府世界サミットに出席する旨が決定された。
(6)ゴンサレス-オラエチェア外相によるミュンヘン安全保障会議出席
14-19日、ゴンサレス-オラエチェア外相はドイツを訪問し、16-18日に開催されたミュンヘン安全保障会議に出席した。同会議では国連安保理改革に関する提案(UNM3)を行った。16日にはペルー及びアルメニアの副大臣間にて、両国の政策協議に関する覚書に署名した他、サイドイベントにて本年1月のエクアドルでの治安悪化を受けてアンデス共同体により行動計画を作成(往電第100号参照)した際の経験を紹介した。また、インド外相との会談ではペルーにおける人工技術団地の建設をもちかけ、ペルーでは内外投資家は同じ待遇を受ける旨を説明した。更に、エストニア外相との会談では、両国間の政策協議を再開することで一致した。
(7)ゴンサレス-オラエチェア外相と華春瑩・中国外交部報道官との会談
22日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、訪ペルー中の華春瑩(Hua Chunying)中国外交部報道官と会談した。
(8)外務省によるウクライナ情勢に係る声明発出
24日、外務省は、ロシアによるウクライナ侵攻開始から2年が経過したことを受け、国連主導による紛争解決を訴えた声明を発出した。
(9)イゲラス外務副大臣の駐英大使任命
26日、最高決定により、イゲラス外務副大臣は駐英国大使に任命された。
(10)ボルアルテ大統領とドイツ内務大臣との会談
27日、ボルアルテ大統領は、訪ペルー中のフェイザー・ドイツ内務大臣と麻薬不法取引やその他関連犯罪に対する闘い等でのペルーとEUとの関係・協力強化を目的とした会合を開催した。
(11)ボルアルテ大統領と米国議員との会談
27日、ボルアルテ大統領は、ペルー米FTA発効15周年を記念して訪ペルー中の米国議員9名の訪問を受け、両国間の貿易強化、組織犯罪に対する共闘、ペルーへの海外投資促進等について協議した。
(12)ゴンサレス-オラエチェア外相のCELAC首脳会議出席
28-3月3日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、第8回ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会議出席のためセントビンセント及びグレナディーン諸島を訪問し、29日にはアンドレ・コスタリカ外相と外相会談を行った。
(当館注)1日及び10日、政府は豪雨のためアンカシュ州に非常事態宣言を発出した。
(当館注2)生計のための基礎的条件が不足している65歳より上の年齢層に隔月で250ソルの助成金を支給するプログラム。
1 内政
●1日、ボルアルテ大統領は、ペルー全国で強制労働を終了させることを目的に、「強制労働に対する団結」協定に加盟するための署名式を開催した。
●2日、カスティージョ前大統領は、体調不調のため一時入院した。
●2日、オタロラ首相はアンカシュ州を訪問し、人道物資の引渡しに立ち会った。
●2日、リマ高等裁判所は、国会による全国司法審議会(JNJ)の審議に対するJNJからの保護訴訟に関し、JNJ側の主張を一部認めた。
●6日、最高裁判所第2審(最終審)は、カスティージョ前大統領に対する36か月間の予防勾留措置を有効と決定した旨を公表した。
●13日、ベナビデス検事総長(停職中)の元顧問であるビジャヌエバ容疑者は、かつてボルアルテ大統領の元弁護士からペルーリブレ党のマネーロンダリング疑惑に係る捜査にボルアルテ大統領を含めないように依頼されたと証言したことが明らかになった。
●13日、4大臣が交代した。
●15日、国会常設委員会は、ボルアルテ大統領の開発社会包摂大臣時代の疑惑について
審議を終了させることを決定した。
●15日、フジモリ元大統領は、入院して緊急治療室にて手当を受けた後、退院した。
●15日、ボルアルテ大統領は、180人以上の地方自治体首長とともに第1回国家地方自治体審議会(CEMUNI)を開催した。
●19日、ボルアルテ大統領は、2024年の最初の施政総括を発表した。
●19日、フジモリ元大統領は、インタビューにてボルアルテ政権は2026年まで継続することで人民勢力党(FP)とフジモリ派は合意していると発言した。この発言を受け、21日、FPのスポークスマンは、同党と政府の間に同盟関係があることを否定した。また、22日にはオタロラ首相が政府が政党と同盟関係を有していることはない旨発言した。
●20日、ボルアルテ大統領は、ロレト州にて巡回プラットホーム用の2隻の船舶の命名式に出席した。
●22日、ボルアルテ大統領は、Pension65の受益者が80万人に達した旨を発表する式典に出席した。
●23日、外務省に2年間の時限にて「対外関係諮問委員会」が設置されることが決定した。
●23日、ボルアルテ大統領は、内務省が治安対策のために調達した車両の披露式に出席した。
2 外交
●3日、外務省は、チリで発生中の大規模森林火災に関し、連帯等の意を表明した。
●4日、外務省は、同日実施された大統領選にて勝利したブケレ・エルサルバドル大統領に祝意を表明した。
●6日、ボルアルテ大統領は、チリのピニェラ前大統領が死亡したとの訃報を受け、哀悼の意を表明した。
●6日、ゴンサレス-オラエチェア外相はリマでの中国春節を祝う行事に出席した。
●8日、ア首連にペルー大使館を開設することが決定された。
●16-18日、ゴンサレス-オラエチェア外相はミュンヘン安全保障会議に出席した。また、同会議のマージンにてインド、エストニア外相との外相会談等を行った。
●22日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、華春瑩・中国外交部報道官と会談した。
●24日、外務省はウクライナ情勢に関する声明を発出した。
●26日、イゲラス外務副大臣は駐英大使に任命された。
●27日、ボルアルテ大統領は、フェイザー・ドイツ内務大臣と会合を開き、麻薬不法取引との闘い等について協議した。
●27日、ボルアルテ大統領は、米国議員9名と二国間の経済関係等について協議した。
●28-3月3月、ゴンサレス-オラエチェア外相は、第8回CELAC首脳会議出席のためセントビンセント及びグレナディーン諸島を訪問した。
【本文】
1 内政
(1)強制労働に係る協定署名
1日、ボルアルテ大統領は、ペルー全国で強制労働を終了させることを目的に、「強制労働に対する団結」協定に加盟するための署名式を開催した。同協定は、アレバロ司法府長官、トーレス世界労働機関(ILO)アンデス諸国事務所代表、ガラ検察庁代表、グティエレス・オンブズマン、トーレス内務大臣、アラナ法務人権大臣、トレンティノ女性社会的弱者大臣、マウラテ労働雇用促進大臣によって署名された。2023年、政府は、強制労働に関する電話相談窓口として1819番を開設した。
(2)カスティージョ前大統領の体調不良
2日午前、カスティージョ前大統領は胸の痛みを訴えたため病院に搬送されたが、午後には退院して収監施設に戻った。
(3)オタロラ首相のアンカシュ州訪問
2日、オタロラ首相及びペレス・レジェス運輸通信大臣は、アンカシュ州での豪雨(当館注1)により被害を受けた地域への7トンの人道物資の引渡しに立ち会った。
(4)国会による全国司法審議会(JNJ)審議
2日、リマ高等裁判所は、国会による全国司法審議会(JNJ)メンバーの即時解任に関する手続きに係るJNJからの保護訴訟について、国会は解任理由となる「重大な過失」の内容を特定していないとしてJNJの主張を一部認めた。
(5)カスティージョ前大統領への36か月間の予防勾留措置確定
6日、最高裁判所第2審(終審)は、1月初旬の第1審と同様、同月下旬に組織犯罪等の容疑に係る捜査のためのカスティージョ前大統領に対する36か月間の予防勾留措置を有効と決定した旨を公表した。
(6)ビジャヌエバ容疑者のボルアルテ大統領に関する証言
13日、検察庁と司法取引を行ったベナビデス検事総長(停職中)の元顧問であるビジャヌエバ容疑者は、ボルアルテ大統領の元弁護士から2022年10月にペルーリブレ党のマネーロンダリング疑惑に係る捜査にボルアルテ大統領を含めないように依頼されたと1月に証言したことが明らかになった。この証言について、ボルアルテ大統領は検察庁の裁量権を尊重し、自分としては同庁がビジャヌエバ容疑者の証言を捜査・確証すべきと言う以外はないと発言した。
(7)4大臣の交代
13日、国防大臣、経済財政大臣、エネルギー鉱山大臣、環境大臣の4大臣が交代した。
(8)国会によるボルアルテ大統領への審議終了
15日、国会常設委員会は、憲法告訴小委員会が作成したボルアルテ大統領が開発社会包摂大臣時代等に犯したとされる違法行為の疑いについての審議を終了させる旨の報告書を賛成17、反対3、棄権6で可決した。
(9)フジモリ元大統領関係・その1
15日、フジモリ元大統領は、入院し緊急治療室にて約3時間の手当を受けた後、退院した。退院の際、記者から最近の政治情勢について意見を求められたが、「自分は政治から離れた」と述べてコメントを避けた。
(10)第1回国家地方自治体審議会(CEMUNI)の開催
15日、ボルアルテ大統領は、文化省にて180人以上の地方自治体首長とともに第1回国家地方自治体審議会(CEMUNI)を開催した。CEMUNIは中央政府と地方自治体間の調整を推進するもの。ボルアルテ大統領は、2024年予算において地方自治体向け予算は17%、49億ソル増加した旨を説明した。
(11)2024年1回目の施政総括
19日、ボルアルテ大統領は、2024年の最初の施政総括を発表した。全閣僚を従えた記者会見での主な発言内容は以下のとおり。
ア 国民が我々に望む施政に関する説明責任を果たし、ペルーで非常に欠乏している美点である透明性、効率性、正直さを伴う行動をとる。
イ ペルーが経済成長力を回復するために働いてきた。2024年は幸先よくスタートし、1月には公共投資が中央政府、州政府、その他の地方自治体において137%の成長率を記録した。最も脆弱な分野に注意を向けて、予算執行率のレベルを維持・増加させなければならない。
ウ 市民を取り巻く治安悪化は、より断固として、より多くの財源を投入し、より効力のある法的枠組み・組織の支援・国民の結束とともに本年立ち向かうべき挑戦である。
(12)フジモリ元大統領関係・その2
19日、TV番組はフジモリ元大統領に対するインタビューを放映した。フジモリ元大統領の主な発言は以下のとおり。
ア (総選挙前倒しについて、)ボルアルテ政権は2026年まで継続する。少なくとも人民勢力党(FP)とフジモリ派はこれで合意している。
イ (米州人権裁判所(Corte-IDH)がフジモリ元大統領の釈放に異議を唱えていることに対して、)自分の釈放は正当化されており、憲法裁判所はすべての面においてしかるべく釈放を支持してきている。
ウ (ケイコFP党首の次回大統領選出馬について、)決定するには時期尚早であるが、いつかをそれを決めることになる。少なくともフジモリ派からの出馬はある。フジモリ派には支援者がいるので常に大統領選候補者を出している。
(13)ボルアルテ大統領による巡回プラットホーム用船舶命名式出席
20日、ボルアルテ大統領はロレト州において、社会活動のための巡回プラットホーム(PIAS:Plataformas Itinerantes de Accion Social)用の2隻の船舶の命名式に出席した(Ucayali I及びUcayali II)。2隻の船を合わせて、ロレト州、ウカヤリ州、チチカカ湖を走る船は14隻となった。
※ PIASでは、過疎地住民のために川沿いに船を走らせ、医療サービス、身分証明書(DNI)手続き、国からの補助金支払い等の各種公共サービスを提供している。
(14)フジモリ元大統領関係・その3
21日、FPのトーレス・スポークマンは、19日放映のフジモリ元大統領のインタビューに関し、同党と政府の間に同盟関係があることを否定し、FPは政府に対し完全に野党である旨発言したと報じられた。
(15)フジモリ元大統領関係・その4
22日、オタロラ首相は、政府が政党と同盟関係を有していることはない旨を発言した。ただし、国益にかなう公共政策、法令について一定の合意はある旨説明した。
(16)ボルアルテ大統領のPension65関係式典出席
22日、ボルアルテ大統領は、Pension65(当館注2)の受益者が80万人に達した旨を発表する式典に出席した。Pension65に関する2024年の最初の調査により利用者は以前の63万人から18万人増加して80万人以上になったことが明らかになった。
(17)外務省における新委員会の設置
23日、最高決定により、外務省に2年間の時限にて「対外関係諮問委員会」を設置することが決定された。同委員会は、国家政策、特に国家の恒久的利益にかかわる事項に沿って、様々な分野について外相を補佐することを目的としている。
(18)治安対策のための車両調達
23日、ボルアルテ大統領は、内務省が治安対策のために3,200万ソレスを使用して調達した車両268台の披露式に出席し、224台の軽トラックはアンカシュ州、アレキパ州、アヤクチョ州、カハマルカ州、クスコ州、ワヌコ州、イカ州、ランバイェケ州、ラ・リベルタ州、フニン州、モケグア州、ピウラ州、プノ州、タクナ州、トゥンベス州に配備される旨、又、40台のオートバイはアンカシュ州、アレキパ州、クスコ州、ワヌコ州、フニン州、ラ・リベルタ州、ランバイェケ州、リマ市、カヤオ憲法特別市の警察署に配置される旨を説明した。
2 外交
(1)外務省によるチリ火災への見舞い等表明
3日、外務省はXを通じて、チリ・バルパライソ州及びその周辺部で発生中の大規模な森林火災による犠牲者及び深刻な損害に対し、チリ国民及び政府に心痛と連帯の意を伝えるとともに、支援と協力の用意がある旨を表明した。
(2)外務省によるブケレ・エルサルバドル大統領への祝意表明
4日、外務省はXを通じて、同日実施されたエルサルバドルでの大統領選で勝利したブケレ氏に祝意を表するととも、両国の友好と協力のきずなを引き続き強化していきたい旨を表明した。
(3)ボルアルテ大統領によるピニェラ・チリ前大統領死去に対する哀悼の意表明
6日、大統領府は、ヘリコプターの墜落事故によりチリのピニェラ前大統領が死亡したとの訃報を受け、Xを通じてボルアルテ大統領による哀悼の意を表明した。
(4)ゴンサレス-オラエチェア外相の中国春節関連行事出席
6日、外務省はXを通じて、ゴンサレス-オラエチェア外相がリマで開催された中国の春節を祝う行事に出席した旨を伝えた
(5)ペルー・ア首連関係
ア 8日、最高決定にて、ア首連のアブダビにペルー大使館を開設する旨が決定された。なお、両国は1986年6月に外交関係を樹立し、2011年3月にペルーがドバイに総領事館を、2016年3月にア首連がペルーに大使館を開設した。
イ 同日、最高決定にて、マウラテ労働雇用促進大臣は、ア首連の政府開発・未来大臣の招待を受け、12-14日にドバイで開催される政府世界サミットに出席する旨が決定された。
(6)ゴンサレス-オラエチェア外相によるミュンヘン安全保障会議出席
14-19日、ゴンサレス-オラエチェア外相はドイツを訪問し、16-18日に開催されたミュンヘン安全保障会議に出席した。同会議では国連安保理改革に関する提案(UNM3)を行った。16日にはペルー及びアルメニアの副大臣間にて、両国の政策協議に関する覚書に署名した他、サイドイベントにて本年1月のエクアドルでの治安悪化を受けてアンデス共同体により行動計画を作成(往電第100号参照)した際の経験を紹介した。また、インド外相との会談ではペルーにおける人工技術団地の建設をもちかけ、ペルーでは内外投資家は同じ待遇を受ける旨を説明した。更に、エストニア外相との会談では、両国間の政策協議を再開することで一致した。
(7)ゴンサレス-オラエチェア外相と華春瑩・中国外交部報道官との会談
22日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、訪ペルー中の華春瑩(Hua Chunying)中国外交部報道官と会談した。
(8)外務省によるウクライナ情勢に係る声明発出
24日、外務省は、ロシアによるウクライナ侵攻開始から2年が経過したことを受け、国連主導による紛争解決を訴えた声明を発出した。
(9)イゲラス外務副大臣の駐英大使任命
26日、最高決定により、イゲラス外務副大臣は駐英国大使に任命された。
(10)ボルアルテ大統領とドイツ内務大臣との会談
27日、ボルアルテ大統領は、訪ペルー中のフェイザー・ドイツ内務大臣と麻薬不法取引やその他関連犯罪に対する闘い等でのペルーとEUとの関係・協力強化を目的とした会合を開催した。
(11)ボルアルテ大統領と米国議員との会談
27日、ボルアルテ大統領は、ペルー米FTA発効15周年を記念して訪ペルー中の米国議員9名の訪問を受け、両国間の貿易強化、組織犯罪に対する共闘、ペルーへの海外投資促進等について協議した。
(12)ゴンサレス-オラエチェア外相のCELAC首脳会議出席
28-3月3日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、第8回ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会議出席のためセントビンセント及びグレナディーン諸島を訪問し、29日にはアンドレ・コスタリカ外相と外相会談を行った。
(当館注)1日及び10日、政府は豪雨のためアンカシュ州に非常事態宣言を発出した。
(当館注2)生計のための基礎的条件が不足している65歳より上の年齢層に隔月で250ソルの助成金を支給するプログラム。