ペルーの経済情勢(2024年3月)
令和6年6月12日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率▲0.28%(3月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率3.05%(3月までの一年間)、対米ドル為替相場3.709ソル(3月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.7%(1月~3月)、財政収支約10億ソルの赤字(3月)、貿易収支約15億米ドルの黒字(3月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、3月は主に宿泊・飲食業等の成長率の伸びが見られた一方、特に漁業の成長率が大幅にマイナスとなり、全体としてGDP成長率は▲0.28%(前年同月比)となった。


イ インフレ率
3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、1.01%となり、最近12か月(2023年4月~2024年3月)の上昇率は、3.05%となった。

ウ 為替相場
3月の対米ドル為替相場の平均は3.709ソルであった。

エ 失業率
1月~3月のリマ首都圏の完全失業率は7.7%であった。

オ 財政収支
3月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で21.0%減となり、歳出は同比で3.2%増となった。全体では、プライマリーバランスは約10億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約16億ソルの赤字となった。

カ 貿易収支
3月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比9.7%減、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が11.0%減となり、全体では約56億米ドル(対前年同月比10.1%減)となった。主要輸出品目は銅、金、原油であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が1.9%増、中間財は8.5%減、資本財が6.4%減となり、全体で約41億米ドル(対前年同月比5.7%減)となった。この結果、貿易収支は約15億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。


キ 外貨準備高
3月末の外貨準備高は約738億米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2024年3月末の対外債務累積総額は約1,040億米ドルとなった。

(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)が政策金利を6.25%に維持
3月7日、中銀(BCR)理事会は政策金利を6.25%に維持する旨発表し、2023年9月から2024年2月まで6か月連続での利下げの後一旦据え置かれるかたちとなった。この決定については、一過性のものと見られるものの一部の食料品価格の上昇により前月比インフレ率が1月の0.02%から2月には0.56%に上昇し、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も同様(1月:0.01%から2月:0.51%)であること、直近12か月間累計のインフレ率の場合も同様に上昇(1月:3.0%から2月:3.3%へ、食料とエネルギーコストを除く12か月間累計のコア・インフレ率も1月:2.9%から2月:3.1%へ)したこと、今後12か月の累計インフレ率の見通しは1月から2月にかけて2.64%から2.65%に上昇したものの、3か月連続で政府目標値(注:1~3%)に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の判断はインフレ率の推移と経済動向等に基づいて行うこととしている。
・グリーン水素振興法の公布
3月23日、ペルー政府は官報にグリーン水素の振興を目的とした法律第31992号(Ley de fomento del Hidrógeno Verde)を掲載し、公布した。同法の目的規定では、グリーン水素に関する研究、開発、生産、加工、貯蔵、調整、輸送、流通、販売、輸出、活用などの促進を通じて、同資源を国の核となるエネルギーとして位置づけ、温室効果ガスの削減により国民の生活の質の向上を目指す、としている。また、所管監督省はエネルギー鉱山省(MINEM)で、同省がグリーン水素バリューチェーンの構築に向けた政策や分野別エネルギー計画を生産省(PRODUCE)、運輸通信省(MTC)、環境省(MINAM)、経済財政省(MEF)などの関係省と連携して策定すると定めている。さらには、同資源の研究、生産、販売や輸出などに対して、経済的又は税制上の優遇措置を講じることも明示された。本法律に基づき、ペルー政府は同法の施行後180日以内に同法の運用に関する具体的な規則を策定し承認することが求められる。
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率▲0.28%(3月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率3.05%(3月までの一年間)、対米ドル為替相場3.709ソル(3月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.7%(1月~3月)、財政収支約10億ソルの赤字(3月)、貿易収支約15億米ドルの黒字(3月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、3月は主に宿泊・飲食業等の成長率の伸びが見られた一方、特に漁業の成長率が大幅にマイナスとなり、全体としてGDP成長率は▲0.28%(前年同月比)となった。




イ インフレ率
3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、1.01%となり、最近12か月(2023年4月~2024年3月)の上昇率は、3.05%となった。


3月の対米ドル為替相場の平均は3.709ソルであった。



エ 失業率
1月~3月のリマ首都圏の完全失業率は7.7%であった。


オ 財政収支
3月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で21.0%減となり、歳出は同比で3.2%増となった。全体では、プライマリーバランスは約10億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約16億ソルの赤字となった。


カ 貿易収支
3月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比9.7%減、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が11.0%減となり、全体では約56億米ドル(対前年同月比10.1%減)となった。主要輸出品目は銅、金、原油であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が1.9%増、中間財は8.5%減、資本財が6.4%減となり、全体で約41億米ドル(対前年同月比5.7%減)となった。この結果、貿易収支は約15億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。



キ 外貨準備高
3月末の外貨準備高は約738億米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2024年3月末の対外債務累積総額は約1,040億米ドルとなった。



(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)が政策金利を6.25%に維持
3月7日、中銀(BCR)理事会は政策金利を6.25%に維持する旨発表し、2023年9月から2024年2月まで6か月連続での利下げの後一旦据え置かれるかたちとなった。この決定については、一過性のものと見られるものの一部の食料品価格の上昇により前月比インフレ率が1月の0.02%から2月には0.56%に上昇し、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も同様(1月:0.01%から2月:0.51%)であること、直近12か月間累計のインフレ率の場合も同様に上昇(1月:3.0%から2月:3.3%へ、食料とエネルギーコストを除く12か月間累計のコア・インフレ率も1月:2.9%から2月:3.1%へ)したこと、今後12か月の累計インフレ率の見通しは1月から2月にかけて2.64%から2.65%に上昇したものの、3か月連続で政府目標値(注:1~3%)に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の判断はインフレ率の推移と経済動向等に基づいて行うこととしている。
・グリーン水素振興法の公布
3月23日、ペルー政府は官報にグリーン水素の振興を目的とした法律第31992号(Ley de fomento del Hidrógeno Verde)を掲載し、公布した。同法の目的規定では、グリーン水素に関する研究、開発、生産、加工、貯蔵、調整、輸送、流通、販売、輸出、活用などの促進を通じて、同資源を国の核となるエネルギーとして位置づけ、温室効果ガスの削減により国民の生活の質の向上を目指す、としている。また、所管監督省はエネルギー鉱山省(MINEM)で、同省がグリーン水素バリューチェーンの構築に向けた政策や分野別エネルギー計画を生産省(PRODUCE)、運輸通信省(MTC)、環境省(MINAM)、経済財政省(MEF)などの関係省と連携して策定すると定めている。さらには、同資源の研究、生産、販売や輸出などに対して、経済的又は税制上の優遇措置を講じることも明示された。本法律に基づき、ペルー政府は同法の施行後180日以内に同法の運用に関する具体的な規則を策定し承認することが求められる。
(了)