ペルーの経済情勢(2024年4月)
令和6年9月11日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率5.28%(4月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率2.42%(4月までの一年間)、対米ドル為替相場3.715ソル(4月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.7%(2月~4月)、財政収支約32億ソルの黒字(4月)、貿易収支約7億米ドルの黒字(4月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、4月は主に漁業、農牧等の成長率の伸びが見られた一方、鉱業・炭化水素等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は5.28%(前年同月比)となった。


イ インフレ率
4月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.05%となり、最近12か月(2023年5月~2024年4月)の上昇率は、2.42%となった。

ウ 為替相場
4月の対米ドル為替相場の平均は3.715ソルであった。

エ 失業率
2月~4月のリマ首都圏の完全失業率は7.7%であった。

オ 財政収支
4月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で5.6%増となり、歳出は同比で16.9%増となった。全体では、プライマリーバランスは約32億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約27億ソルの黒字となった。



キ 外貨準備高
4月末の外貨準備高は約745億米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2024年3月末の対外債務累積総額は約1,040億米ドルとなった。

(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率5.28%(4月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率2.42%(4月までの一年間)、対米ドル為替相場3.715ソル(4月平均値)、リマ首都圏の完全失業率7.7%(2月~4月)、財政収支約32億ソルの黒字(4月)、貿易収支約7億米ドルの黒字(4月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、4月は主に漁業、農牧等の成長率の伸びが見られた一方、鉱業・炭化水素等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は5.28%(前年同月比)となった。




イ インフレ率
4月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.05%となり、最近12か月(2023年5月~2024年4月)の上昇率は、2.42%となった。


ウ 為替相場
4月の対米ドル為替相場の平均は3.715ソルであった。



エ 失業率
2月~4月のリマ首都圏の完全失業率は7.7%であった。


オ 財政収支
4月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で5.6%増となり、歳出は同比で16.9%増となった。全体では、プライマリーバランスは約32億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約27億ソルの黒字となった。


カ 貿易収支
4月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比11.6%減、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が12.3%減となり、全体では約50億米ドル(対前年同月比11.6%減)となった。主要輸出品目は銅、金、原油であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が6.4%増、中間財は10.8%増、資本財が19.1%増となり、全体で約43億米ドル(対前年同月比12.1%増)となった。この結果、貿易収支は約7億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。
4月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比11.6%減、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が12.3%減となり、全体では約50億米ドル(対前年同月比11.6%減)となった。主要輸出品目は銅、金、原油であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が6.4%増、中間財は10.8%増、資本財が19.1%増となり、全体で約43億米ドル(対前年同月比12.1%増)となった。この結果、貿易収支は約7億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。



キ 外貨準備高
4月末の外貨準備高は約745億米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2024年3月末の対外債務累積総額は約1,040億米ドルとなった。



(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)が2か月ぶりに政策金利を引き下げ、6.00%に
4月11日、中銀(BCR)理事会は政策金利を6.25%から6.00%に引き下げる旨発表した。3月の理事会では、政策金利は6.25%に据え置かれており、2か月ぶりの利下げとなった。この決定については、3月の前月比インフレ率及び食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率ともに上昇基調にあるものの、これらは一部の食品価格の高騰と季節的要因による教育費や交通費の上昇など一過性のものであること、直近12か月間累計のインフレ率は2月の3.30%から3月には3.00%に低下しており、政府目標値(注:1~3%)の上限に収まっていること、また、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率も2月から3月にかけて3.10%を維持していること、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが2月から3月にかけて2.65%から2.56%に低下しており、4か月連続で政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の判断はインフレ率の推移と経済動向等に基づいて行うこととしている。
・スタンダード&プアーズによるペルーの長期外貨建て債務格付け引き下げ
4月25日、スタンダード&プアーズ・グローバル・レーティング(S&P)は、政治的不確実性により経済成長が制限されていることを理由としてペルーの長期外貨建て債務格付けを現行の「BBB」から「BBB-」に引き下げた。これは、さらに格下げされた場合、ペルーが投資適格の格付けから投機的格付けへ転落する危機にあることを意味する。S&Pは、今回の決定の論拠において、分断された議会と政府の限られた政治資本が民間投資家の信頼に重くのしかかり、成長のための機会費用となっており、それがペルーの財政再建能力を制限していると指摘。また、ペルーの複雑な政治情勢は、2026年の次期大統領選挙及び国会議員選挙に向けても続くと見ており、それまでの期間に現政権が投資や経済成長を推進する政策を打ち出すのは困難だろうと分析している。
・中銀(BCR)が2か月ぶりに政策金利を引き下げ、6.00%に
4月11日、中銀(BCR)理事会は政策金利を6.25%から6.00%に引き下げる旨発表した。3月の理事会では、政策金利は6.25%に据え置かれており、2か月ぶりの利下げとなった。この決定については、3月の前月比インフレ率及び食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率ともに上昇基調にあるものの、これらは一部の食品価格の高騰と季節的要因による教育費や交通費の上昇など一過性のものであること、直近12か月間累計のインフレ率は2月の3.30%から3月には3.00%に低下しており、政府目標値(注:1~3%)の上限に収まっていること、また、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率も2月から3月にかけて3.10%を維持していること、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが2月から3月にかけて2.65%から2.56%に低下しており、4か月連続で政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の判断はインフレ率の推移と経済動向等に基づいて行うこととしている。
・スタンダード&プアーズによるペルーの長期外貨建て債務格付け引き下げ
4月25日、スタンダード&プアーズ・グローバル・レーティング(S&P)は、政治的不確実性により経済成長が制限されていることを理由としてペルーの長期外貨建て債務格付けを現行の「BBB」から「BBB-」に引き下げた。これは、さらに格下げされた場合、ペルーが投資適格の格付けから投機的格付けへ転落する危機にあることを意味する。S&Pは、今回の決定の論拠において、分断された議会と政府の限られた政治資本が民間投資家の信頼に重くのしかかり、成長のための機会費用となっており、それがペルーの財政再建能力を制限していると指摘。また、ペルーの複雑な政治情勢は、2026年の次期大統領選挙及び国会議員選挙に向けても続くと見ており、それまでの期間に現政権が投資や経済成長を推進する政策を打ち出すのは困難だろうと分析している。
(了)