7月のペルー内政及び外交・国際関係における主な動きは、以下のとおり
令和6年9月24日
【概要】
1 内政
●1日、リマ高等裁判所において、ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首他47名に対するコクテル事件の公判が開始された。9日、検察側はケイコ党首に対し、5つの容疑で禁錮30年10か月を求刑した。10日、検察側は、FP及びケイコ同党党首の元配偶者が経営する企業の解散を要求した。
●4日、国会常設委員会において、人道に対する犯罪及び戦争犯罪の適用範囲に関する法案の第2回投票が行われ可決された。
●5日、国会において新たに社会主義者会派(Bancada Socialista)が結成された。
●5日、ボルアルテ大統領は、ペルー国家警察(PNP)対テロリズム部設立41周年記念式典に出席し、“チャビン・デ・ワンタル作戦”参加等に係る上記部門の業績を讃えた。
●10日、国会予算・一般会計委員会は、“チャビン・デ・ワンタル作戦”に参加した軍人に対し毎月2,550ソレスの特別手当を支給することを定める法案を可決した。
●14日、ケイコFP党党首は、Xを通じて、フジモリ元大統領は次期大統領選挙の候補となることを決めた旨を発表した。
●15日、ボルアルテ大統領は、ペルー国家警察(PNP)学校の臨時卒業式において、本年のPNPの業績について説明した。
●18日、国会憲法告訴小委員会は、ロレックスゲート関しボルアルテ大統領が憲法上の告訴を受けている件について、同告訴の手続きを認める報告書を承認した。
●18日、国会憲法告訴小委員会は、抗議デモ中の死亡事件等に関しボルアルテ大統領等が憲法上の告訴を受けている件について、同告訴の手続きを認める報告書を否決した。
●23日、ボルアルテ大統領は、ペルー空軍(FAP)のキニョネス大尉殉職83周年及びFAPの日記念式典に出席し、FAPの活動支援を表明するとともに、FAPによる社会経済開発プログラムの給付に係る貢献を讃えた。
●26日、ペルー国会執行部に係る選挙が行われ、サルウアナ氏(進歩のための同盟党:APP)が新国会議長に選出された。
●27日、国会は、2024-2025年の第1会期を開会した。
●28-29日、28日の独立記念日を祝して各種行事が行われた他、ボルアルテ大統領は、28日、教書演説を国会において行った。
●30日、18日の国会憲法告訴小委員会によるボルアルテ大統領等に対する憲法上の告訴に係る報告書の否決を受けて、検察庁は、告訴の時間的適用範囲や被告訴人の適用範囲を変更して、ボルアルテ大統領等に対する抗議デモ中の死亡事件等に係る憲法上の告訴を新たに国会に提出した。
2 外交・国際関係
●1日、米州人権裁判所(Corte-IDH)は、ペルー国の三権は、人道に対する犯罪及び戦争犯罪の適用範囲に関する法案等が無効等となるよう要求する決定(resolucion)を発出した。5日、アレバロ司法府長官は、上記決定に関し、Corte-IDHはペルーの司法府に対し、ある法律の公布を妨げるよう命令することはできない旨表明した。
●1日、パナマを訪問したゴンサレス-オラエチェア外相は、ムリーノ同国新大統領の就任式に出席するとともに、2日にはマルティネス・アチャ外相と外相会談を行った。
●4日、ボルアルテ大統領と訪ペルー中のノボア・エクアドル大統領間にて首脳会談が開催された。また、第15回二国間関係大臣会合も開催され、発展・社会包括、貿易・観光、投資の促進、安全保障・防衛、持続性のある鉱業・エネルギー開発、持続的な環境管理、空路・陸路・河川・海洋輸送・交通に関して協議が行われた。
●8日、ボルアルテ大統領は、6月26-28日の訪中(国賓)についての記者会見を開き、成果等について説明した。
●8日、コロンビア主催でペルー、ブラジルとの第1回国境安全保障技術委員会が開催されたが、同委員会において、コロンビア側はサンタロサ島がペルーの領土ではなく、ペルーが違法に支配している旨を主張した。10日、ペルー外務省は、8日に同省はコロンビア臨代を呼び出し、サンタロサ島に係る抗議文書を手交した旨の声明を発出した。同様に国会も10日、コロンビアへの抗議とペルー外務省を支援する旨の声明を発出した。11日、コロンビア外務省は、8日のサンタロサ島に係る出来事を残念に思う、両国の友好・協力関係を維持し促進していきたい旨のプレスリリースを発出した。
●9日、外務省は、8日のロシアによるウクライナへのミサイル攻撃に関し、これを非難等する声明を発出した。
●11日、国連人権理事会にて、ペルーとエクアドルが提出した小火器使用等が人権に与える影響についての決議案がコンセンサスで採択された。
●11日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、訪ペルー中のカシス・スイス連邦外相と外相会談を行った。両国は、本年、外交関係樹立140周年及びスイス連邦によるペルーへの協力60周年を迎えた。
●13日、外務省は、同日に米国ペンシルベニア州で起こったトランプ前大統領銃撃事件に関し、これを非難等する声明を発出した。
●15日、外務省は、直前に起こったイスラエルによるガザ攻撃に関し、これを非難等する声明を発出した。
●15-16日、ペルー外務省にてアンデス共同体(CAN)越境組織犯罪に関する国際フォーラムが開催された。
●15-19日、ゴンサレス-オラエチェア外相はワシントンD.C.を訪問し、16日はペルー独立宣言(1821年7月28日)の記念式典を主催した。また、17日には経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)に出席した。
●18日、外務省は、「政府の概括政策(Politica General de Gobierno)」に外交政策に関する第10軸が新たに加えられたことを発表した。
●19日、第16回麻薬及び向精神薬に関するペルー・チリ共同委員会会合がペルー外務省にて開催され、当該分野で実施してきたプログラムに関する経験及び情報の交換が行われた。
●19日、ブラジリア空軍基地において、6月のブラジルにおける洪水被害に対してのペルー支援に関する感謝式典が行われた。
●20日、外務省は、28日に実施されるベネズエラ大統領選挙の選挙プロセに関し、深刻な懸念を有している旨等を表明する声明を発出した。
●25日、ボリビア・ラパスにて、CANは越境組織犯罪の履行措置について協議するため第5回ハイレベル会合を開催した。
●27日、外務省は、イスラエル(ゴラン高原)に対する攻撃に関し、これを非難等する声明を発出した。
●29-31日、外務省は、28日に実施されたベネズエラ大統領選挙を受けて、(1)選挙不正に対する非難、(2)駐ベネズエラ・ペルー大使の引き上げの発表、(3)野党関係者に対するベネズエラ検察当局の捜査開始に関する懸念表明、(4)駐ペルー・ベネズエラ外交官の72時間未満の国外退去の命令発出、(5)ベネズエラにおけるペルー国益及びペルー国民の利益保護の努力に係る説明等を内容とする4本の声明を発出した。
●31日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、べネズエラ大統領選挙に関する米州機構(OAS)の緊急会合に出席した。同外相は、同大統領選挙の開票結果を公表するよう求める決議案が否決された後に演説を行い、当該会合に欠席した国を批判等した。
【本文】
1 内政
(1)コクテル事件公判・その1
1日、リマ高等裁判所において、ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首他47名に対するコクテル事件(当館注1)の公判が開始された。ケイコ党首は、2011年及び2016年の大統領選挙キャンペーンの際、旧オデブレヒト社からの100万米ドルを含む1,700万米ドル以上の不正献金を受け、その資金洗浄を行ったとの容疑で起訴されている。被告数と証人数が多いため、公判終了までに6-12年かかると見込まれている。
(2)国会常設委員会における人道に対する犯罪及び戦争犯罪の適用範囲に関する法案の可決
4日、国会常設委員会は、人道に対する犯罪及び戦争犯罪の適用及び範囲を明確化する法案に対する第2回投票を行い、賛成15、反対12、棄権0により可決した。ペルーにおいて、国際刑事裁判所に関するローマ規定は2002年7月1日、戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約は2003年11月9日にそれぞれ発効しており、2002年7月1日に犯された罪は人道に対する犯罪あるいは戦争犯罪として起訴され、判決を受け、罰せられないことになる。
(3)国会における新会派結成
5日、Bloque Magistral de Concentracion Nacional会派に属していた1議員と5名の無所属議員により、新たに社会主義者会派(Bancada Socialista)が結成された。
(4)ボルアルテ大統領のペルー国家警察対テロリズム部設立41周年記念式典への出席
5日、ボルアルテ大統領は、ペルー国家警察(PNP)対テロリズム部設立41周年記念式典に出席し、センデロ・ルミノソのリーダーであったグスマン逮捕や日本大使公邸占拠事件でのトゥパク・アマル革命運動(MRTA)に対する人質救出作戦“チャビン・デ・ワンタル作戦”参加等の上記部門の業績を讃えた。
(5)コクテル事件公判・その2
9日、検察側はケイコ党首に対し、(1)犯罪計画準備の容疑について禁錮15年5か月、(2)2つのマネーロンダリングの容疑についてそれぞれ禁錮11年4か月、(3)司法妨害の容疑について禁錮6年6か月、(4)行政手続きにおける虚偽報告及び包括的虚偽の容疑について禁錮2年6か月を求刑の上、ケイコ党首が初犯であるため、合計として禁錮30年10か月を求刑した。
(6)コクテル事件公判・その3
10日、コクテル事件の公判において、検察側は、人民勢力党(FP)及びケイコ同党党首の元配偶者が経営する企業の解散を要求した。検察側は、FPがコクテル事件における各種犯罪に利用されたと考えている。
(7)チャビン・デ・ワンタル作戦参加軍人への特別手当
10日、国会予算・一般会計委員会は、賛成19、反対3、棄権1により、1996年12月に発生した日本大使公邸占拠事件における1997年4月の人質救出作戦“チャビン・デ・ワンタル作戦”に参加した軍人に対し毎月2,550ソレスの特別手当を支給することを定める法案を可決した。
(8)フジモリ元大統領の2026年大統領選挙出馬
14日、ケイコFP党党首は、Xを通じて、同党首とフジモリ元大統領は、同元大統領が次期大統領選挙の候補となることを決めた旨を発表した。
(9)ボルアルテ大統領のPNP学校卒業式への出席
15日、ボルアルテ大統領は、PNP学校の臨時卒業式において、本年、PNPでは犯罪との闘いにおいて65万8,000以上の活動が行われてきており、120以上の犯罪組織と7,380以上のギャングを解体し、14万8,000人以上のペルー人と9,000人以上の外国人を逮捕した旨述べた。
(10)国会憲法告訴小委員会によるロレックスゲートに係るボルアルテ大統領への憲法上の告訴承認
18日、国会憲法告訴小委員会は、ボルアルテ大統領がオスコリマ・アヤクチョ州知事よりロレックスの時計等を受け取っていた見返りに同州に国より財源を与えていたとして憲法上の告訴を受けている件に関し、賛成17、反対2、棄権0により、刑法第394条の不適切で受動的な贈収賄に該当する容疑で憲法上の告訴の手続きを認める報告書を承認した。
(11)国会憲法告訴小委員会による抗議デモ中の死亡事件等に係るボルアルテ大統領等への憲法上の告訴否決
18日、国会憲法告訴小委員会は、2022年12月から2023年1月にかけて起こった現政権に対する抗議デモ中の死亡事件等に関してのボルアルテ大統領、オタロラ元国防大臣・前首相、3名の元内務大臣に対する憲法上の告訴について、賛成4、反対14、棄権0により、憲法上の告訴の手続きを認める報告書を否決した。
(12)ボルアルテ大統領のキニョネス・ペルー空軍大尉殉職83周年及びペルー空軍の日記念式典への出席
23日、ボルアルテ大統領は、ペルー空軍(FAP)のキニョネス大尉殉職83周年及びFAPの日記念式典において、アプリマック・エネ・マンタロ河渓谷(VRAEM)地域でのテロリスト残党に対するFAPの活動への支援を表明した他、FAPによる遠隔地でのPension65(当館注2)や Qali Warma(当館注3)等の社会経済開発プログラムの給付に係る貢献を讃えた。
(13)ペルー国会執行部選挙
26日、ペルー国会執行部に係る選挙が行われ、サルウアナ氏(進歩のための同盟党:APP)が新国会議長に選出された(任期は1年)。
(14)国会開会
27日、国会は、2024-2025年の第1会期を開会した。
(15)独立記念日祝賀行事及びボルアルテ大統領の教書演説
28-29日、28日の独立記念日を祝して各種行事が行われた。ボルアルテ大統領は、28日、恒例の教書演説を国会において行った。
(16)検察庁による抗議デモ中の死亡事件等に係るボルアルテ大統領等への憲法上の再告訴
30日、18日の国会憲法告訴小委員会によるボルアルテ大統領等に対する憲法上の告訴に係る報告書の否決を受けて、検察庁は、2022年12月から2023年2月にかけて起こった現政権に対する抗議デモ中の死亡事件等に関し、ボルアルテ大統領、アングロ元首相、オタロラ元国防大臣・前首相、チャベス元国防大臣、3名(セルバンテス、ロハス及びロメロ)の元内務大臣に対する憲法上の告訴を新たに国会に提出した。
2 外交・国際関係
(1)米州人権裁判所による人道に対する犯罪及び戦争犯罪の適用範囲に関する法案の無効等要求
1日、米州人権裁判所(Corte-IDH)は、概要以下の内容の決定(resolucion)を発出した。
ア ペルー国の三権は、アルトス地区事件(当館注4)及びカントゥタ事件(当館注5)の被害者による司法へのアクセスを保証するため、両事件の判決に関連しているペルーで犯された人道に対する犯罪の時効を規定する法案、その他同様の法案が採択されず、無効とされ、効力を与えられないようにするために必要な行動を取ることを要求する。
イ ペルー国に対し、本決定の第1パラに関する履行状況に関する完全で詳細な報告書を遅くとも2024年8月9日までに提出するよう要求する。その後は、上記報告書の提出日から3か月ごとにCorte-IDHが解除するまで採られた暫定的措置に関し報告を続けなければならない。
(2)ゴンサレス-オラエチェア外相のパナマ訪問
1日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、ムリーノ・パナマ新大統領の就任式に出席するとともに、2日にはマルティネス・アチャ外相と外相会談を行い、両国の歴史的友好関係の強化のために、両国間の貿易活性化、協力関係の深化を中心に協議した。
(3)ノボア・エクアドル大統領のペルー訪問
4日、ボルアルテ大統領と訪ペルー中のノボア・エクアドル大統領間にて首脳会談が開催された。また、両国間の主要課題に取り組むとともに両国の発展と福祉を促進するための第15回二国間関係大臣会合も開催され、発展・社会包括、貿易・観光、投資の促進、安全保障・防衛、持続性のある鉱業・エネルギー開発、持続的な環境管理、空路・陸路・河川・海洋輸送・交通に関して協議が行われた。両大統領は、6月21日の隣国委員会にて承認された49のコミットメントを明記する「2024行動計画」に関する「リマ宣言」に署名した。また、両国の労働大臣は、両省の協力に係る取決めに署名した。
(4)Corte-IDHによる人道に対する犯罪及び戦争犯罪の適用範囲に関する法案の無効等要求に対する司法府長官の意見表明
5日、アレバロ司法府長官は、1日のCorte-IDHによる決定に関し、同裁判所はペルーの司法府に対し、ある法律の公布を妨げるよう命令することはできない旨表明した。同時に各判事は当該法律が憲法に違反すると判断すれば当該法律を適用しない旨も述べた。
(5)ボルアルテ大統領による中国訪問成果に関する記者会見開催
8日、ボルアルテ大統領は、6月26-28日の訪中(国賓)について、同行した閣僚等とともに記者会見を開き、成果等について説明した。
(6)第1回三か国国境安全保障技術委員会の開催・その1
8日、コロンビア主催で開催されたペルー、ブラジルとの第1回国境安全保障技術委員会において、コロンビア側は同国レティシア近くの国境のペルー側にあるサンタロサ島はペルーの領土ではなく、ペルーが違法に支配している旨を主張した。同委員会にはサンタロサ島町長が出席していた。
(7)外務省による声明発出:ロシアによるウクライナへのミサイル攻撃
9日、外務省は、8日のロシアによるウクライナへのミサイル攻撃に関し、概要以下の内容の声明を発出した。
ア ペルーは、子どもを含む痛ましい数の死者や100人以上の負傷者が出たキーフでの国立小児病院を含む民間インフラに対するミサイル攻撃に対し非難と失望を表明する。ペルー政府は心からの哀悼の意と上記犠牲者の家族との連帯を伝える。
イ 市民や民間財への攻撃を禁止する国際人道法を尊重するように再度要請するとともにこのような攻撃は受け入れ難く、すぐに停止されなければいけない。
ウ 平和の追求にコミットしているペルー政府は、直ちに停戦すること及び国連憲章及び関連決定に従い解決策を模索することを緊急に要請する。
(8)第1回三か国国境安全保障技術委員会の開催・その2
10日、外務省は、8日のコロンビアによるサンタロサ島に関する主張に関し、同日8日、外務省はコロンビア臨代を呼び出し、ペルーによるサンタロサ島に係る主権及び管轄権を再確認する抗議文書を手交した旨の声明を発出した。同様に国会も10日、コロンビアへの抗議とペルー外務省による主権保護を支援する旨の声明を発出した。
(9)国連人権委員会におけるペルー・エクアドル提出の決議案採択
11日、ジュネーブの国連人権理事会にて、ペルーとエクアドルが提出した市民による小火器の取得・所有及び使用の人権に与える影響についての決議案がコンセンサスで採択された。
(10)第1回三か国国境安全保障技術委員会の開催・その3
11日、コロンビア外務省は8日のサンタロサ島に係る出来事を残念に思う、両国国民を歴史的に結束させてきた友好・協力関係を維持し促進していきたい旨のプレスリリースを発出した。
(11)カシス・スイス連邦外相のペルー訪問
11日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、訪ペルー中のカシス・スイス連邦外相と外相会談を行い、ゴンサレス-オラエチェア外相は、2021年以降74のペルー文化財がスイスから返還されていることに謝意を示し、カシス外相は、6月にスイスで開催された「ウクライナの平和に関するサミット」へのゴンサレス-オラエチェア外相の参加に対し謝意を述べた。両国は、本年、外交関係樹立140周年及びスイス連邦によるペルーへの協力60周年を迎えた。
(12)外務省による声明発出:トランプ前米国大統領銃撃事件
13日、外務省は、同日に米国ペンシルベニア州で起こったトランプ前大統領銃撃銃撃事件に関し、以下の内容の声明を発出した。
ア ペルー政府は、選挙キャンペーン中のトランプ前大統領に対する暴力行為を強く非難する。
イ また、死亡した犠牲者に哀悼の意を表するとともに、死傷者の家族と米国国民への連帯を表明する。
ウ ペルーは、トランプ候補及び負傷者の速やかな回復を願っている。
(13)外務省による声明発出:イスラエルによるガザ攻撃
15日、外務省は、直前に起こったイスラエルによるガザ攻撃に関し、概要以下の内容の声明を発出した。
ア ペルーは、ヌセイラト難民キャンプで国連が運営する学校への爆撃を含む、カザの難民センターに対する攻撃を非難する。これらの攻撃により、女性や子どもを含む痛ましい数の死傷者が出た。
イ 国連安保理決議及び国際司法裁判所(ICJ)が命令した暫定的措置に措置に従い、ペルーは、即時停戦、人質の釈放、人道支援の受入れ、そして特に国際人権法の尊重を再度要請する。
ウ ペルーは、多国間主義、国際法及び紛争の平和的解決に対するコミットメントを再確認し、パレスチナとイスラエル間での解決を支持していく。
(14)アンデス共同体(CAN)越境組織犯罪に関する国際フォーラムの開催
15-16日、アンデス共同体(CAN)第24回外相評議会臨時会合(1月21日)において採択された行動計画の履行を促進するため、ペルー外務省にて越境組織犯罪に関する国際フォーラムが開催され、開会式にはペルーからボルアルテ大統領、ゴンサレス-オラエチェア外相が出席した。また、フォーラムには、CAN構成4か国代表の他、ラ米・カリブ海域諸島開発銀行(CAF)、国際移住機関(IOM)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、EU、米州機構(OAS)等の代表、専門家が参加した。
(15)ゴンサレス-オラエチェア外相のワシントンD.C.訪問
15-19日、ゴンサレス-オラエチェア外相はワシントンD.C.を訪問し、16日はペルー独立宣言(1821年7月28日)の記念式典を主催した。また、17日には経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)に出席した。
(16)「政府の概括政策」への外交政策の追加
18日、外務省は、2023年3月25日に発表された「政府の概括政策(Politica General de Gobierno)」において以下の第10軸を新たに加え、外交政策を強化したことを発表した。
第10軸:ペルーの恒久的利益に資する強化された対外政策の運営
10.1 ペルーのOECD加盟という戦略的目標の達成に向けた行動を継続し強化する。
10.2 海外のペルー人コミュニティにおけるサービスに対し、専門技術を導入する。また、安全で秩序があり管理された移民に向け、地域的・世界的に共同的・実際的な対応を促進する。
10.3 南極条約の制度への参加及びペルー国のコミットメントの履行を強化して、南極地域でのペルーの利益及び権利に注意を払い促進する。
10.4 APEC及び太平洋同盟を通じて、アジア太平洋への影響を確固なものとし、拡大し、深化させる。
10.5 近隣対外政策及び国境統一を強化する。
(17)第16回麻薬及び向精神薬に関するペルー・チリ共同委員会会合の開催
19日、第16回麻薬及び向精神薬に関するペルー・チリ共同委員会会合がペルー外務省にて開催された。両国から関係機関の職員が参加して、当該分野で実施してきたプログラムに関する経験及び情報の交換を行った。会合最後には、更なる協力に向けた行動計画を採択した。
(18)ペルーによるブラジル洪水被害支援に係る感謝式典の開催
19日、ブラジルのブラジリア空軍基地において、6月の同国リオ・グランデ・ド・スルにおける洪水被害に対してペルーが4.36トンの支援物資を供与したことに関し、ブラジルからペルーに対する感謝式典が行われた。
(19)ベネズエラ大統領選挙・その1
20日、外務省は、28日に実施されるベネズエラ大統領選挙に関し、概要以下の内容の声明を発出した。
ア ペルー政府は7月28日に実施されるベネズエラ大統領選挙での選挙プロセスを特別の注意を払ってフォローしている。
イ ペルーは、いかなる選挙プロセスも普遍性、自由、平等及び透明性の原則に従うべきと信じており、その統一性及び透明性を脅かす状況に関し深刻な懸念を表明する。
ウ この点から、ペルーはベネズエラ政府と選挙当局にバルバドス合意を完全に遵守することを求める。
エ また、緊急にすべての脅し、嫌がらせ、抑圧、恣意的な勾留を止めなければならない。
(20)CAN越境組織犯罪に関する第5回ハイレベル会合の開催
25日、ボリビア・ラパスにて、アンデス共同体(CAN)は、第24回外相評議会臨時会合(1月21日)において採択された行動計画の1つである越境組織犯罪の履行措置について協議するため第5回ハイレベル会合を開催した。
(21)外務省による声明発出:イスラエルに対する攻撃
27日、外務省は、イスラエルに対する攻撃に関し、以下の内容の声明を発出した。
ア ペルーは、犠牲者のほとんどが子どもである11人の死者を引き起こした(ゴラン高原の)マジダル・シャムス村に対するテロリストによる攻撃を強く非難する。
イ ペルーは、犠牲者の家族とイスラエル政府・国民に対し哀悼の意を表する。
ウ ペルーは、あらゆる形のテロリズムを再度非難する。また、国際法及び国連安保理の関連決議に従って、確実で国際的に認められた国境内において、イスラエル・パレスチナが平和に共存することを前提にした両国間の紛争を政治的に解決するための多国間イニシアティブを支持することを再度表明する。
(22)ベネズエラ大統領選挙・その2
29-31日、外務省は、28日に実施されたベネズエラ大統領選挙を受けて、概要以下の内容の4本の声明を発出した。
ア 29日声明・その1
(ア)ペルー政府は、ベネズエラで選挙当日に行われた不正と、同国当局による不正強化の試みを非難する。
(イ)ペルーは、ベネズエラの選挙システムのデータ送信用ソフトウェアに対し、外部専門家による無制限の監査を要請する。
(ウ)深刻な状況を受け、外務省は駐ベネズエラ・ペルー大使に対し、ベネズエラからの引き上げを指示した。
(エ)外務省は、この数週間、他の関係機関と連携し、同選挙の深刻な結果が移民に及ぼす影響について評価してきている。
イ 29日声明・その2
(ア)ペルー政府は、選挙システム係るコンピュータへの攻撃容疑で、(野党関係者の)トレド氏、ロペス氏、マチャド氏に対する正式な捜査を開始したとの検察当局の発表を拒否する。
(イ)ペルーは国際社会に対し、上記野党関係者の自由と身体の安全を危険にさらす当該脅威に対し警戒の継続を緊急に要請する。
ウ 29日声明・その3
本日ベネズエラ政体が採った深刻で恣意的な決定を受け、ゴンサレス-オラエチェア外相は、駐ペルーのベネズエラ外交官に対し、72時間未満の期間内で当国から退去しなければならない旨を命令した。
エ 31日声明
(ア)本日までに、ベナズエラ政府が、外交文書を通じて当国との外交関係を断絶する旨の決定を通報してきたことが公の知るところとなった。
(イ)当該決定を残念に思いつつ、ペルーは、ベネズエラで選挙実施前後に起こった多くの不正に関する立場を再度表明する。
(ウ)ペルー政府は、民主主義を促進し、擁護するというコミットメントを再確認し、地域の他国とともに、ベネズエラ情勢を常時フォローアップしていくという断固たる姿勢を維持する。
(エ)政府は、外交関係に関するウィーン条約の規定に従って、ベネズエラにおけるペルーの国益及びペルー国民の利益を守るため、当国と同じ立場の国々と調整を行っている。また、ペルー在住ベネズエラ人コミュニティを支援するための努力も継続する。
(23)ゴンサレス-オラエチェア外相の米州機構緊急会合出席
31日、ゴンサレス-オラエチェア外相は、ワシントンD.C.において開催されたべネズエラ大統領選挙の選挙プロセスに関する米州機構(OAS)の緊急会合に出席した。同外相は、ベネズエラ大統領選挙の開票結果を公表するよう求める決議案が否決された後に演説を行い、ペルー政府の立場を改めて説明するとともに、当該会合に欠席した国を批判し、ベネズエラ大統領選挙の選挙プロセスを改めて非難した。
(当館注1)ケイコ党首及びFP旧執行部が、2011年及び2016年の選挙キャンペーン中、献金を隠すためにマネーロンダリングを行ったとされている事件。
(当館注2)生計のための基礎的条件が不足している65歳より上の年齢層に隔月で250ソルの助成金を支給するプログラム。
(当館注3)公立の幼稚園・小学校に通う園児・子どもたち及びアマゾン地域の中学校に通う先住民の生徒たちに対し、様々な栄養のある食事を提供するプログラム。
(当館注4)1991年、準国軍兵士(コリーナ部隊)がアルトス地区の建物に押し入り、テロリストと間違えて集まっていた民間人を殺害した事件。
(当館注5)1992-1993年、準国軍兵士(コリーナ部隊)がラ・カントゥタ教育大学に押し入り、テロリストと見られていた教授・学生を殺害した事件。