ペルーの経済情勢(2024年8月)

令和6年11月27日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.53%(8月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率2.03%(8月までの一年間)、対米ドル為替相場3.742ソル(8月平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.1%(6月~8月)、財政収支約10億ソルの赤字(8月)、貿易収支約20億米ドルの黒字(8月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、8月は主に鉱業・炭化水素等の成長率の伸びが見られた一方、漁業、農牧等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.53%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 8月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.28%となり、最近12か月(2023年8月~2024年8月)の上昇率は、2.03%となった。




ウ 為替相場
 8月の対米ドル為替相場の平均は3.742ソルであった。



 

エ 失業率
 6月~8月のリマ首都圏の完全失業率は6.1%であった。




オ 財政収支
 8月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で5.5%増となり、歳出は同比で11.1%増となった。全体では、プライマリーバランスは約10億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約57億ソルの赤字となった。​




カ 貿易収支
 8月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比25.0%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が17.0%増となり、全体では約68億米ドル(対前年同月比22.7%増)となった。主要輸出品目は銅、金、魚粉、紙類と化学薬品であった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が4.5%減、中間財は10.3%増、資本財が11.4%増となり、全体で約45億米ドル(対前年同月比7.0%増)となった。この結果、貿易収支は約20億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。






キ 外貨準備高
 8月末の外貨準備高は約808億ソルとなった。




ク 対外累積債務
 2024年6月末の対外債務累積総額は約1,060億米ドルとなった。



 

 (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)が政策金利を5.50%に引き下げ
 8月8日、中銀(BCR)理事会は政策金利を0.25%引き下げ、5.50%にする旨発表した。この決定については、7月の前月比インフレ率が0.24%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.19%であること、直近12か月間累計のインフレ率は6月の2.3%から7月には2.1%と政府目標値(注:1~3%)内で低下したが、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は3.0%と、政府目標値内であったこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが6月の2.53%から7月には2.49%に低下したものの、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の判断はインフレ率の推移と経済動向等に基づいて行うこととしている。
 
・外国企業のデジタル・サービス課税(IGV)18%を10月1日より徴収開始
 8月4日、ペルー政府は、外国企業が提供するデジタル・サービスでのIGVの徴収を許可する委任命令を公布した。この委任命令は、IGV規制を新しいビジネスモデルに適応させ、国家税関税務監督庁(Sunat)の管轄である納税者登録(RUC)への非居住サプライヤーの登録、および非居住企業が行わなければならない税金の申告と支払いを容易にする。
 非居住のプロバイダーがRUCに登録しない場合、または税金の申告と支払いの義務を遵守しなかった場合、IGVの徴収と支払いは、銀行および金融機関の管轄下で支払い仲介者によって行われる。このため、Sunatは、ペルーでサービスを提供する非居住プロバイダーのリストを作成し、それぞれの徴収および/または源泉徴収を行う。これにより、たとえば、Airbnbサービスの場合、Sunatは、29.5%の所得税(IR)と18%のIGVを支払わなければならない不動産活動に従事している個人情報を収集することができる。
 この委任命令の適用により、ペルーの税制は、欧州連合、メキシコ、チリ、コスタリカ、ウルグアイ、パラグアイ、コロンビア、アルゼンチン、エクアドル等のように、グローバル化されたデジタルビジネスモデルに適用されるIGVの徴収に関する国際基準に準拠する。

(了)