ペルーの経済情勢(2024年9月)

令和7年1月9日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.16%(9月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.78%(9月までの一年間)、対米ドル為替相場3.769ソル(9月平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.9%(7月~9月)、財政収支約27億ソルの赤字(9月)、貿易収支約23億米ドルの黒字(9月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、9月は主に運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、漁業の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.16%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 9月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.24%となり、最近12か月(2023年9月~2024年9月)の上昇率は、1.78%となった。




ウ 為替相場
 9月の対米ドル為替相場の平均は3.769ソルであった。



 

エ 失業率
 7月~9月のリマ首都圏の完全失業率は5.9%であった。




オ 財政収支
 9月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で22.0%増となり、歳出は同比で46.8%増となった。全体では、プライマリーバランスは約27億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約32億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 9月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比8.8%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が23.7%増となり、全体では約66億米ドル(対前年同月比12.4%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ブルーベリーであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が6.0%増、中間財は14.9%減、資本財が11.6%増となり、全体で約43億米ドル(対前年同月比3.4%減)となった。この結果、貿易収支は約23億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。






キ 外貨準備高
 9月末の外貨準備高は約804億ソルとなった。




ク 対外累積債務
 2024年9月末の対外債務累積総額は約1,125億米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)が政策金利を5.25%に引き下げ
 9月12日、中銀(BCR)理事会は政策金利を0.25%引き下げ、5. 25%にする旨発表した。この決定については、8月の前月比インフレ率が0.28%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.01%であること、直近12か月間累計のインフレ率は7月の2.1%から8月には2.0%と低下したが政府目標値(注:1~3%)内であり、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率も同様に2.8%と政府目標値内であったこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが7月の2.49%から8月は2.44%に低下したものの、同様に政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今回の決定は、必ずしも連続的な金利引き下げを意味するものではなく、今後の政策金利の判断はインフレ率の推移と経済動向等に基づいて行うこととしている。
 
ソン・ヤン駐ペルー中国大使中国企業のペルーへの投資約300億米ドル
 9月30日付ソン・ヤン駐ペルー中国大使へのインタビュー記事によれば、中国企業によるペルーへの直接投資の総額は300億米ドルで、ペルーは、ラテンアメリカにおいてブラジルに次ぐ投資先で重要な国である。また、中国は、(当館注:2010年に発効した)ペルー・中国の自由貿易協定(FTA)により、伝統的な貿易が拡大したが、年内の署名を目指すFTA最適化により、非伝統的な貿易拡大にも意欲を示した(当館注:伝統的貿易とは、鉱物資源、魚粉、コーヒー等の貿易であり、非伝統的な貿易とはアスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等の貿易である)。同時に、ペルーにおける政府間協定(G2G)によるインフラプロジェクトへの参加にも意欲を見せた。
 
(了)