ペルーの経済情勢(2024年10月)

令和7年1月9日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.38%(10月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率2.01%(10月までの一年間)、対米ドル為替相場3.754ソル(10月平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.7%(8月~10月)、財政収支約31億ソルの赤字(10月)、貿易収支約18億米ドルの黒字(10月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、10月は主に農牧、運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、漁業、鉱業・炭化水素等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.38%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 10月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.09%となり、最近12か月(2023年10月~2024年10月)の上昇率は、2.01%となった。




ウ 為替相場
 10月の対米ドル為替相場の平均は3.754ソルであった。



 

エ 失業率
 7月~10月のリマ首都圏の完全失業率は5.7%であった。




オ 財政収支
 10月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で4.1%増となり、歳出は同比で3.1%増となった。全体では、プライマリーバランスは約31億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約36億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 10月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比6.0%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が20.3%増となり、全体では約66億米ドル(対前年同月比10.3%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ブルーベリーであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が13.9%増、中間財は8.8%減、資本財が10.4%増となり、全体で約48億米ドル(対前年同月比1.3%増)となった。この結果、貿易収支は約18億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。






キ 外貨準備高
 10月末の外貨準備高は約833億ソルとなった。




ク 対外累積債務
 2024年9月末の対外債務累積総額は約1,125億米ドルとなった。



 

(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利を5.25%に据え置き
 10月10日、中銀(BCR)理事会は政策金利を(注:8月、9月と)2回連続で引き下げたが、(10月は、)5. 25%に据え置く旨発表した。この決定については、9月の前月比インフレ率が-0.24%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0%であること、直近12か月間累計のインフレ率は8月の2.0%から9月には1.8%と低下したが政府目標値(注:1~3%)内であり、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率も同様に2.6%と政府目標値内であったこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが9月は2.4%となり、同様に政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
ストライキ3日間の経済損失は13億ソル(約3.5億ドル)以上
 10月23日、リマ商工会議所(CCL)は、10月9日、16日、23日の3日間、多発する犯罪と市民の不安に対する交通・商業部門の抗議措置としてストライキが行われた結果、同国の経済損失は13億6,500万ソルに達したと報告した。
CCLの経済・ビジネス開発研究所(IEDEP)のチャベス所長は、「影響を受ける部門は、小売業、金融サービス業、運輸業、レストランなどの商業・サービス業である。潜在的な売上損失は1日あたり4億5,500万ソルと推定される。」と述べた。
 CCLは政府に対し、(1)ペルー国家警察(PNP)に非常事態宣言を発令し、犯罪撲滅に必要なインフラ、装備、あらゆる物流・運営資源を提供するなどの対策をとること、(2)豊富な経験を持ち、現在は引退している諜報・捜査員を組み込むこと、(3)国民の不安と多発する暴力との闘いに特化した統合システムを通じて、PNPと軍隊とが共同行動し、それぞれの情報局の連携により、国内120か所の脆弱な地域を掌握すること、を提案した。

(了)