ペルー安全対策情報(2024年10~12月分:邦人被害例等)

令和7年1月29日
1 社会・治安情勢
(1)2022年12月7日の国会による前大統領の罷免、新大統領の就任から1年以上が経過し、同時期に継続していた大統領の辞任及び選挙の早期実施等を求める抗議活動は沈静化しています。他方、一部山間部地域、国境地帯、トゥンベス州、ラ・リベルタ州の一部地域や一部の国道及びその両側500メートルの場所に対して非常事態宣言が継続され、リマ市およびカヤオ憲法特別市の一部地域に対しては治安対策のための非常事態宣言が新たに発出されるなど、依然として社会・治安情勢は流動的です。また、下記2(1)のとおり犯罪件数の増加も顕著であり、下記2(2)アのとおり窃盗等の邦人被害が急増しており、外出時にはより一層の注意が必要です。
 
(2)観光客が多く訪れるマチュピチュも、デモ隊による線路封鎖や大雨被害による土砂崩れ等により鉄道の運行が休止することがあり、その場合には、他に移動手段が徒歩だけとなるので最新の情報の入手に努めてください。
 
(3)テロ組織は一部山間部地域に潜伏し、麻薬密輸を資金源に現在も活動を続け、軍や国家警察に対する武力攻撃を続けています。
 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)全般
ア 2023年中の刑法犯罪認知件数は、全国で570,890件(前年比19%増)と前年から大きく増加しました。2021年以降、コロナ禍の各種制限の撤廃に伴い現在では都市部を中心に急激に犯罪が増加しています。
 罪種別の統計では、強盗や窃盗等の財産に対する犯罪379,357件(前年比79,262件増同26%増)となっており、これらの犯罪は、首都リマ市・カヤオ憲法特別市において集中的に発生しています。これら件数はあくまで警察に被害申告がなされたことにより把握された犯罪件数の統計であり、実際には未申告の更に多くの犯罪が発生しているものと考えられます。
 
イ コロナ収束後、外国人観光客が被害者となる長距離バス車内での犯罪やタクシー強盗の発生が報告されています。具体的には夜間、知らないうちに人気のない場所に連れていかれ、その場所で待ち伏せていた強盗犯人が乗り込み乗客の金品を奪い立ち去る手口の他、運転手や他の乗客から薬物が混入した菓子や飲み物等を勧められ口にしたところ昏睡してしまい、所持品を奪われる等の手口です。長距離バスやタクシー利用時はなるべく夜間の利用は避ける、運転手や乗客の身分確認が徹底されている会社を選び、タクシー会社や配車アプリに登録していないタクシー等の利用は避けてください。
 
ウ 比較的安全とされているミラフローレス区やサン・イシドロ区等においても、日中から、オートバイを使用した犯人らによる、ひったくりや強盗が多発しています。また高級腕時計や貴金属を持つ者の後をつけ、人気の無い場所で襲うといった手口は従来から継続して発生しており装飾・携行品には特に注意してください。
 
エ 特に携帯電話を使用中の歩行者を狙った、ひったくりの発生が急増しており被害時に抵抗したため犯人から銃撃される事例が多く発生しています。国内で1日あたり5,000件を超える携帯電話の盗難が発生しているとの統計もあり、外出時は自身の持っている携帯電話は犯人にとって「高級品」であることを自覚し、十分注意すると共に、被害時には絶対に抵抗しないことが重要です。また、携帯電話の盗難件数の増加に伴い、被害品の携帯電話に保存された個人情報を悪用したインターネット犯罪も増加しています。歩きながらの携帯電話の使用は控え、やむを得ず、携帯電話を屋外で使用する場合は、周囲をよく警戒することが大切です。
 
オ 強盗の手口として、一般人を装った共犯者(連絡役)が市内各所(店舗の出入口、銀行・ATM前、飲食店内、空港の出入口付近等)に配置されており、共犯者が、被害者を物色・選定し、実行犯に連絡するという手法が取られていることから、これまで以上に所持品・携行品は他人から見えない様に携行し、華美な服装は避ける等といった、ターゲットにならないための注意を払う必要があります。特に被害者が金融機関を利用した直後に襲われる事件が多発しています。
 
(2)主な犯罪発生例等
ア 邦人被害例
 
(窃盗)リマ市サンティアゴ・デ・スルコ区において、携帯電話を使用しながら歩行中の男性がひったくり被害に遭う事件が発生した。
(窃盗)アレキパ市内のホテルにおいて、チェックイン手続きをしていた被害者が、近くに置いていた荷物を盗まれるという被害に遭った。犯人は空港から被害者の跡をつけ、被害者の同行者を装い、ホテルに入った状況が防犯カメラにより確認された。
(窃盗)プカルパ市内のロッジに宿泊していた被害者らが、貴重品をまとめていたスーツケースを盗まれるという被害にあった。警察の捜査によると、扉をこじ開けたような形跡はなく、犯人は被害者らの在室中、被害者らの気づかぬうちに侵入した模様。
(窃盗)イカ市内のバスターミナル待合席の椅子に、被害者が貴重品の入ったかばんを置いた状態で客引きに10秒ほど対応した後、移動しようと席を立つと、椅子に置いていたかばんが別のかばんにすり替わっていた。
 
イ 在留邦人が多く住む地区での犯罪発生例
 
(強盗)リマ市ミラフローレス区において、大学から帰宅途中の被害者が自宅マンション前で強盗被害に遭った。事件が起こったのは、まだ周囲に人通りのある午後9時頃であった。
(窃盗)リマ市ラ・モリーナ区に所在する、夜間閉店中のショッピングセンターに犯人らが侵入し、iPhone等の携帯電話端末を盗んで逃走した。
(殺人)リマ市サン・ミゲル区のレストランで食事をしていた被害者が突然やってきたバイク乗りの犯人に銃撃され、死亡した。被害者は、事件前、SNSを通じて、何者かからの脅迫を受けていた。
(殺人)リマ市サン・イシドロ区において、自家用車に乗車していた被害者が何者かにより、銃撃を受け、死亡した。被害者はペルー人の起業家で、家族によると、何者かからの脅迫を受けていた。
(窃盗)リマ市サンティアゴ・デ・スルコ区おいて、住居侵入事件が発生したが、近隣住民の通報により、犯人らは駆けつけた警察官により逮捕された。犯人らは、作業員用のベストを身にまとい、道路工事業者を装っていた。捕まった犯人のうち、1名は、未成年者であった。
(恐喝)リマ市サン・ボルハ区にある鳥料理店の店主が恐喝被害に遭い、その要求に従わなかったところ、何者かにより、店舗が手りゅう弾で爆撃された。
(強盗)リマ市ミラフローレス区において、車を運転し、移動中の被害者が犯人車両に取り囲まれ、拳銃を突き付けられ、車ごと盗まれる被害に遭った。
(強盗)リマ市サンティアゴ・デ・スルコ区において、歩行中の被害者が携帯電話を奪われた上、人気のない場所に連れていかれ、インターネットバンキングを使って、指定口座に金銭を振り込むよう、要求されるという被害にあった。防犯カメラ映像によると、犯人は被害者を待ち伏せしており、犯行後、仲間のバイクに乗り、逃走した。
(恐喝)リマ市リンセ区に所在するホテルに手りゅう弾が投げ込まれ、爆発により、通行人がケガをした。
 
ウ 返金トラブルの発生
 インターネット上のホームページを通じて、ペルー国内のツアー旅行を申し込んだ方から、ツアーがキャンセルされたが返金されないというトラブルが報告されています。インターネット上の旅行業者にツアーを申し込む際には、1)キャンセルの条件や規約などを確認し、内容を十分理解したうえで利用すること、また、2)ペルー通商観光省に登録されている旅行業者か確認するなどして、信頼できる業者であることを十分確認することの2点を強くお勧めいたします。
ペルー国内に所在する旅行代理店は、ペルー通商観光省(MINCETUR)への登録が義務づけられており、登録の有無及び旅行業者の情報は以下の手順で確認することが可能です(スペイン語表記)。なお、IATA(国際航空運送協会)への登録(ロゴマークの表示)の有無などにより信頼性を確認することもできます。
(1)まず、旅行代理店の納税者番号を確認します。以下のリンクより、ペルー国家税関税務監督庁(SUNAT)のHPにアクセス。
http://e-consultaruc.sunat.gob.pe/cl-ti-itmrconsruc/jcrS00Alias
・左下の「Por Nomb. /Raz. Soc.」の欄を押して、検索ボックスに旅行代理店の名称を入力した上で、検索「Buscar」をクリックします。
・法人情報をクリックして、納税者登録番号(Numero de RUC)を確認します。
※類似名の事業者が表示される場合がありますのでご注意ください。
(2)次に、以下のリンクより、ペルー通商観光省(MINCETUR)のHPにアクセスし、旅行代理店として登録されているか確認します。
https://consultasenlinea.mincetur.gob.pe/directoriodeserviciosturisticos/DirPrestadores/DirBusquedaPrincipal/AgenciaViajes?IdGrupo=2
・「N° RUC」の欄に先ほどSUNATで確認した納税者登録番号(Numero de RUC)を入力し、検索「Buscar」をクリックします。旅行代理店として通商観光省に登録がある場合は、同社の情報が表示されます。
  

3 テロ・爆弾事件発生状況
 アプリマック・エネ・マンタロ川渓谷(VRAEM)地域の一部地域では、引き続き武装組織と治安部隊との衝突が度々発生しています。同地域における非常事態宣言は今後も継続される見通しです。これらの地域に対しては、日本政府としても危険情報のレベル3(渡航中止勧告)を発出していますので、理由の如何にかかわらず立ち入らないでください。
 

4 誘拐・脅迫事件発生状況
 ペルーではリマ市を含む各地で、年少者被害の誘拐や、ATMから現金を引き下ろさせる目的の誘拐強盗(短時間誘拐)が発生しています。
 また、富裕層を対象とした脅迫、恐喝、殺人事件が発生しています。被害の対象とならないためには、普段からパターン化した行動を避け、犯人に行動を予知されないようにすることが大切です。さらに、リマ市内においても犯罪組織による恐喝事件が急増しており、殺し屋による殺人事件や組織同士の対立による銃撃戦も発生しています。外出する際は、周囲への警戒を怠らないことが肝要です。
  

5 日本企業の安全に係わる状況
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