ペルーの経済情勢(2024年11月)

令和7年1月31日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.93%(11月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率2.27%(11月までの一年間)、対米ドル為替相場3.779ソル(11月平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.7%(9月~11月)、財政収支約2億ソルの赤字(11月)、貿易収支約24億米ドルの黒字(11月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、11月は主に漁業、農牧等の成長率の伸びが見られた一方、建設、鉱業・炭化水素等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.93%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 11月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.09%となり、最近12か月(2023年12月~2024年11月)の上昇率は、2.27%となった。




ウ 為替相場
 11月の対米ドル為替相場の平均は3.779ソルであった。



 

エ 失業率
 9月~11月のリマ首都圏の完全失業率は5.7%であった。




オ 財政収支
 11月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で7.2%増となり、歳出は同比で2.2%減となった。全体では、プライマリーバランスは約2億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約15億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 11月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比19.2%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が17.5%増となり、全体では約70億米ドル(対前年同月比18.7%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ブルーベリーであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が19.1%増、中間財は17.8%増、資本財が12.3%増となり、全体で約46億米ドル(対前年同月比1.3%増)となった。この結果、貿易収支は約24億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。






キ 外貨準備高
 11月末の外貨準備高は約832億ソルとなった。




ク 対外累積債務
 2024年9月末の対外債務累積総額は約1,125億米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利を5.00%に引き下げ
 11月7日、中銀(BCR)理事会は政策金利を0.25%引き下げ、5.00%にする旨発表した。この決定については、10月の前月比インフレ率が-0.09%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.08%であること、直近12か月間累計のインフレ率は9月の1.8%から10月には2.0%に上昇したが、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は9月の2.6%から10月には2.5%に低下したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが10月は2.5%を僅かに下回ったものの、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
CADE 企業幹部に対する意識調査結果:自社のビジネス見通しは楽観的
 2024年11月28日、国際的な市場調査会社であるIpsos Perúは、同年10月24日から11月7日にかけて、ペルーの大企業5千社のうち333人のビジネスリーダーを対象に意識調査を実施し、ペルーにおける重要なビジネス会議の一つであるCADE Ejecutivosにおいて、調査結果を公表した。
 国の状況について63%が悪化していると感じており、治安に関する懸念は82%に達した。こうした課題にもかかわらず、ビジネスリーダーは、2025年のGDP成長率は2.7%と慎重ながらも自社のビジネス見通しには楽観的な見方を維持している。
<主な調査結果>
1. 国の進展に対する認識:63%が後退すると考えており、これは2005年以来2番目に悲観的な見解である。28%が現状維持、7%が改善すると回答している。
2. 安全保障上の危機:国の最も深刻な問題として挙げたのは、汚職(83%)と犯罪及び治安の悪さ(82%)であり、これは世論の大半の見解とも一致している。
3. 制度への不信:主要な国家機関に対する評価は低く、議会はわずか2%、行政は8%であった。
4. 投資環境: 調査対象者の77%が、現政府による民間投資促進への取り組みを「不十分」または「最悪」と評価している。
5. 企業の優先事項:治安維持(56%)が、従来の経済的配慮を上回る国家への主な要求事項となった。
6. 民間部門のコミットメント:適切な雇用創出(59%)と国内への投資の継続(52%)は、依然として主要な取り組みである。
7. 2025年の期待:GDP成長率は2.7%と予測されているが、自社の収入(4.8%)や雇用(7%)についてはより楽観的な見通しを示している。