1月の内政及び外交・国際関係の主な動きは以下のとおり

令和7年2月13日
【概要】
1 内政
●2日、テージョ新最高裁長官が就任した。
●6日、リオス全国司法審議会(JNJ)新会長及び同新メンバーが就任した。
●7日、国会は、フジモリ元大統領の署名を1993年憲法(現行憲法)に再び明記するための法律改正案の1回目の投票を可決した。
●8日、国会常設委員会は、政党に対する献金に関する法律改正案の2回目の投票を可決した。
●13日、憲法裁判所は、ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首他に対して行われていた公判を中止する決定を下した。
●14日、高等裁判所第2刑事控訴法廷は、ボルアルテ大統領実兄のニカノル・ボルアルテ氏に出されていた36ヶ月の予防拘禁措置を撤回した。
●15日、イプソス社によるボルアルテ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表された。
●18日、ニカノル・ボルアルテ氏の政党であるペルーのための市民党(CPP)が全国選挙審査会(JNE)の政党登録を了した。
●18日、マリソル・ペレス元法務人権大臣が次期大統領選挙への事前立候補を表明した。
●24日、連邦民主党が全国選挙審査会(JNE)への政党登録を完了した。
●26日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表された。
●28日、ペルー問題研究所(IEP)によるボルアルテ大統領支持率等に関する世論調査結果が公表された。
●29日、最高裁は、政党登録抹消等を命じた昨年10月の判決に対してA.N.T.A.U.R.O党が行っていた上訴を棄却した。
●31日、大統領府にて新閣僚3名の宣誓式が実施された。
 
2 外交
●5~8日、サルウアナ国会議長は、中国を訪問した。
●6日、ボルアルテ大統領は、ゴンサレス元ベネズエラ野党大統領候補とオンラインで会談を行った。
●10日、当国大統領府は、マドゥーロ氏がベネズエラ大統領に不正に就任したことに対して遺憾の意を表明した。
●10日、ペルー・リブレ(PL)党は、マドゥーロ氏が憲法上の大統領に就任したことに対して敬意を表する旨声明にて発表した。
●10日、国会執行部は、正当な勝者として選出された大統領であるエドムンド・ゴンサレス氏の就任の保証を要請する旨の声明を発表した。
●10日、当国外務省は、6日北朝鮮が、弾道ミサイルを発射したことを非難する公式声明を発出した。
●15日、当国外務省は、米州機構(OAS)加盟14カ国によるベネズエラ情勢に関する共同声明を発表した。
●15日、当国外務省は、ガザ地区における停戦と捕らえられた人質の解放を歓迎する旨の公式声明を発出した。
●16日、第3回ペルー・カタール政治協議メカニズム会合が開催された。
●20日、当国大統領府は、トランプ大統領の就任に対し祝意を表明した。
●22~23日、ボルアルテ大統領及びシアレル外相は、ダボス会議に出席した。
●25日、当国外務省は、コンゴ民主共和国において昨年締結された停戦合意を尊重するよう呼びかけた。
●27日、当国外務省は、対外援助を一時停止するトランプ政権の決定に関し、公式声明を発表した。
●27日、当国外務省は、トランプ政権の新たな移民政策に関し、公式声明にて発表した。
●29日、ゴンサレス元ベネズエラ野党大統領候補は当地を訪問し、ボルアルテ大統領と会談を行った。
●30日、国会において、ペルー・中国友好の日記念式典が開催された。
●31日、シアレル外相は、ステーネルガード・スウェーデン外相と会談した。
 
【本文】
1 内政
(1)新最高裁長官の就任
 2日、テージョ新最高裁長官が就任した。なお、同新長官の任期は2025~2026年の一年間。
(2)新全国司法審議会(JNJ)会長の就任
 6日、リオス全国司法審議会(JNJ)新会長及び同新メンバーが就任した。なお、同新会長及びメンバーの任期は2025~2030年までの5年間。
(3)フジモリ元大統領の憲法への署名に関する法改正案可決(1回目)
 7日、国会は、フジモリ元大統領の署名を1993年憲法(現行憲法)に再び明記するための法律改正案の1回目の投票が行われ、賛成17、反対6、棄権4で可決した。なお、右は同元大統領の退任後の2001年に法律第27600号の施行に伴い、同憲法から消去されていた。
(4)政党に対する献金に関する法改正案可決(2回目)
 8日、国会常設委員会は、政党に対する献金に関する法律改正案を賛成14、反対8、棄権2で可決した。なお、右は2017年のクチンスキ-政権において、伯オーデブレヒト社関連の汚職事件(当館注1)によって当時の政党が多額の献金を受けていたことを踏まえ、政党が個人及び団体から献金を受けることが禁じられていた。
(5)ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首他に対する公判の取りやめ
 13日、憲法裁判所は、コクテル事件(当館注2)を巡り昨年7月からケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首はじめ複数の人物に対して行われていた公判を中止する決定を下した。
(6)ニカノル・ボルアルテ氏に対する予防拘禁措置撤回
 14日、高等裁判所第2刑事控訴法廷は、陰の友人事件(当館注3)を巡りボルアルテ大統領実兄のニカノル・ボルアルテ氏に出されていた36ヶ月の予防拘禁措置を撤回した。
(7)イプソス社によるボルアルテ大統領等の支持率に関する世論調査
 15日、イプソス社によるボルアルテ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、ボルアルテ大統領の支持率は5%、不支持率は過去最低の92%だった。また、アドリアンセン首相の支持率は5%、不支持率は過去最低の79%だった。
(8)新政党の登録・その1(ペルーのための市民党(CPP))
 18日、ニカノル・ボルアルテ氏の政党であるペルーのための市民党(CPP)が全国選挙審査会(JNE)への政党登録を完了した。これにより、2026年総選挙に参加できる政党数の合計は40となった。
(9)マリソル・ペレス元法務人権大臣の大統領選挙党内立候補表明
 18日、マリソル・ペレス元法務人権大臣(2016~2017年(クチンスキー政権)が自身の公式Xを通じて、2026年大統領選挙に向けて立候補を表明した。
(10)新政党の登録・その2(連邦民主党)
 24日、連邦民主党が全国選挙審査会(JNE)への政党登録を完了した。これにより、2026年総選挙に出馬できる政党数の合計が41となった。
(11)イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査
 26日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首の12%と最も多い得票数を獲得した。また、次点がロペス・アリアガ人民刷新党(RP)党首(リマ市長)及びカルロス・アルバレス氏(元コメディアン)の4%であった。
(12)ペルー問題研究所(IEP)によるボルアルテ大統領支持率等に関する世論調査
 28日、ペルー問題研究所(IEP)によるボルアルテ大統領支持率等に関する世論調査結果が公表され、ボルアルテ大統領の支持率は6%、不支持率は90%だった。なお、ロペス・アリアガ・リマ市長の支持率は34%、不支持率は55%だった。
(13)A.N.T.A.U.R.O党の政党登録抹消
 29日、最高裁は、政党登録抹消を命じた昨年10月の判決に対してA.N.T.A.U.R.O党が行っていた上訴を棄却する決定を下した。それにより、同党は全国選挙審査会(JNE)への政党登録が抹消されると同時に、全政党事務所の廃止及び再政党登録の禁止が命じられた。
(14)3大臣の交代
 31日、大統領府にて新閣僚3名の宣誓式が実施され、同日、サラルディ新経済財政大臣、モンテジャノス新女性社会的弱者大臣及びウルテアガ新開発社会包摂大臣が就任した。
 
2 外交
(1)サルウアナ国会議長の訪中
 5~8日、サルウアナ国会議長は、ウィリアムス元国会議長、オバンド国会外交委員長他とともに中国を訪問し、趙楽際(Zhao Leji)中国全国代表大会常務委員会委員長及び王滬寧(Wang Huning)中国人民政治協商会議主席と会談を行った。
(2)ボルアルテ大統領とゴンサレス元ベネズエラ野党大統領候補の会談
 6日、ボルアルテ大統領は、ゴンサレス元ベネズエラ野党大統領候補とオンラインで会談を行った。同会談において、ボルアルテ大統領は、昨年7月のベネズエラ大統領選挙結果について、選挙当局が発表したとおりには認めない旨表明した。
(3)大統領府による声明発出:ベネズエラ大統領就任式
 10日、当国大統領府は、マドゥーロ氏がベネズエラ大統領に不正に就任したことに対して遺憾の意を表明し、これを拒否する、また同氏を大統領として承認しない旨の公式声明を発表した。
(4)ペルー・リブレ党(PL)のベネズエラ大統領就任式に関する声明
 10日、ペルー・リブレ(PL)党は、マドゥーロ氏が憲法上の大統領に就任し、2025~2031年までの三期連続の任期を宣言したことに敬意を表する旨の公式声明を発表した。
(5)国会執行部のベネズエラに関する声明
 10日、国会執行部は、正当な勝者として選出された大統領であるエドムンド・ゴンサレス氏の就任の保証を要請する旨の声明を発表した。
(6)外務省による声明発出:北朝鮮情勢
 10日、当国外務省は、6日北朝鮮が、国連安保理決議に違反して弾道ミサイルを発射したことは国際的な平和と安全に対する脅威であり、ペルーはこれを非難すると公式声明で発表した。
(7)外務省による声明発出:ベネズエラ情勢
 15日、当国外務省は、米州機構(OAS)加盟14カ国によるベネズエラ情勢に関する共同声明を通じて、10日に行われたマドゥーロ氏の大統領就任式は、民主的正当性と選挙の完全性の検証可能な証拠を欠いているため、拒否すると発表した。
(8)外務省による声明発出:ガザ情勢
 15日、当国外務省は、ガザ地区における停戦と捕らえられた人質の解放を歓迎する旨の公式声明を発出した。
(9)第3回ペルー・カタール政治協議メカニズム会合
 16日、第3回ペルー・カタール政治協議メカニズム会合が開催され、ペルー側からカミノ外務副大臣が、カタール側からはサアド・アル・ムレイフィ・カタール外務省国務大臣が出席した。同会合において、両国は、両国外交官学校間における学術分野の新たなつながりを強化し、両国の友好・協力の絆を拡大し強固にする覚書に署名した。
(10)大統領府による声明発出:米国大統領就任式
 20日、当国大統領府は、トランプ大統領の就任に対し心より祝意を表すると同時に、同大統領の政権運営における成功を祈願する旨の公式声明を発表した。
(11)ボルアルテ大統領及びシアレル外相のダボス会議出席
 22~23日、ボルアルテ大統領及びシアレル外相は、ダボス会議に出席した。ボルアルテ大統領は、そのマージンにてフィンランド、スウェーデン及びパナマ首脳と、シアレル外相は、サウジアラビア外相と会談を行った。
(12)外務省による声明発出:コンゴ民主共和国における停戦合意
 25日、当国外務省は、コンゴ民主共和国において昨年7月31日の停戦合意が守られず、情勢が悪化していることをうけ、右を尊重するよう呼びかける旨の公式声明を発表した。
(13)外務省による声明発出:米国による対外援助一時停止
 27日、当国外務省は、対外援助を一時停止するトランプ政権の決定に関し、ペルー政府は、両国が共有する主要な目的と関心に基づき、過去62年間に米国がペルーに対して行った重要な協力が適切に評価されると信じている旨の声明を発出した。
(14)外務省による声明発出:米国の移民政策
 27日、当国外務省は、トランプ政権が新たな移民政策を実行していることを踏まえたシアレル外相のコメント等を公式声明にて発表した。シアレル外相は、国外退去処分を受けたペルー人が、ペルー国内への社会復帰に必要なあらゆる便宜を受けることができると述べた。
(15)ゴンサレス元ベネズエラ野党大統領候補のペルー訪問
 29日、ゴンサレス元ベネズエラ野党大統領候補は当地を訪問し、ボルアルテ大統領と会談を行い、ペルー国家から授与される最高の勲章であるペルー太陽大十字勲章が授与された他、国会ではサルウアナ国会議長から大十字名誉メダルを授与された。また、当地ベネズエラ人コミュニティの集会にも参加した。
(16)ペルー・中国友好の日記念式典
 30日、国会において、ペルー・中国友好の日記念式典が開催され、シアレル外相の他、サルウアナ国会議長、オバンド国会外交委員長、ホン・タイ・ペルー・中国友好議連会長が出席した。
(17)ペルー・スウェーデン外相会談
 31日、シアレル外相は、ステーネルガード・スウェーデン外相と会談した。同会談において、両外相は、国際法、多国間主義、民主主義といった原則や価値観の重要な共通点、また、責任ある投資の促進、安全保障分野の協力及び持続可能な開発について強調した。
 
(当館注1:複数の政治家が伯オーデブレヒト社から選挙活動のために巨額の資金提供を受けていたとされる汚職事件)
 
(当館注2:ケイコ人民勢力党(FP)党首及びFP旧執行部が、2011年及び2016年の選挙キャンペーン中、献金を隠すためにマネーロータリングを行っているとされる事件)
 
(当館注3:ニカノル氏が自身が所属する政党の政党登録のため、ボルアルテ大統領の地位を利用して不正に署名及び政党活動に必要な資金集めを行うための犯罪組織を主導していたとされる事件)