ペルーの経済情勢(2024年12月)
令和7年2月28日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率4.85%(12月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.97%(12月までの一年間)、対米ドル為替相場3.736ソル(12月平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.5%(10月~12月)、財政収支約111億ソルの赤字(12月)、貿易収支約23億米ドルの黒字(12月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、12月は主に漁業、製造等の成長率の伸びが見られた一方、建設の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は4.85%(前年同月比)となった。


イ インフレ率
12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.11%となり、最近12か月(2023年12月~2024年12月)の上昇率は、1.97%となった。

ウ 為替相場
12月の対米ドル為替相場の平均は3.736ソルであった。

エ 失業率
10月~12月のリマ首都圏の完全失業率は5.5%であった。

オ 財政収支
12月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で24.4%増となり、歳出は同比で0.9%増となった。全体では、プライマリーバランスは約111億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約121億ソルの赤字となった。

カ 貿易収支
12月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比6.9%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が15.4%増となり、全体では約70億米ドル(対前年同月比9.2%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ぶどうであった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が19.0%増、中間財は13.4%増、資本財が5.6%増となり、全体で約47億米ドル(対前年同月比12.1%増)となった。この結果、貿易収支は約23億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油(B2及びB5)であった。(注記:バイオディーゼル燃料を2%混合した軽油が「B2」、5%混合した軽油が「B5」)


キ 外貨準備高
12月末の外貨準備高は約790億ソルとなった。

ク 対外累積債務
2024年9月末の対外債務累積総額は約1,086億米ドルとなった。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利5.00%を維持
12月12日、中銀(BCR)理事会は政策金利を5.00%に維持する旨発表した。この決定については、11月の前月比インフレ率が0.09%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.06%であること、直近12か月間累計のインフレ率は10月の2.0%から11月には2.3%に上昇し、同様に食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は10月の2.5%から11月には2.6%に上昇したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが11月も2.5%を僅かに下回ったものの、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・小規模零細鉱業活動管轄機関設置・合法化プロセス延長法を公布
12月27日、ペルー政府は、国会で審議中の小規模及び零細鉱業に関する新法(MAPE法)が成立するまでの時限措置として、鉱業フォーマル化包括登録(REINFO)の適用期間を6ヶ月間延長し、2025年6月30日まで(大統領令で6か月追加延長可能)とする「小規模零細鉱業活動管轄機関設置・合法化プロセス延長法」(法第32213号)を公布した。
なお、REINFOは違法鉱山採掘の取り締まりを強化し、同従事者の正規化を目的として、2016年に創設されたプログラムで、現在REINFOに登録している採掘業者83,789社のうち、生産登録や納税者番号の使用など、正式な業務要件を満たしているのはわずか17%(14,641社)であり、残りの83%(69,148社)は要件を満たしていないとして採掘許可が停止されている。ただし、採掘許可が停止されていても、同プログラムに登録していることで正規化プロセス中であるとして違法採掘が事実上許容されている。
本法は、エネルギー鉱山省(MINEM)に、小規模及び零細鉱業のための相互運用システム(SIPMMA)、並びに、鉱業正規化のためのワンストップシステムの構築と実施の権限を付与した。
SIPMMAは鉱業活動の監視と追跡を強化するシステムで、鉱物、爆発物、化学物質等の運用の透明性を確保し、国家の様々な機関と連携し、違反の特定や活動の正規化を容易にすることを目的としている。また、SIPMMA構築から6ヶ月以内に、国家環境影響評価システム(SEIA)、鉱業権及び土地登記システム(SIDEMCAT)、統合環境検査システム(SIFA)、並びに、鉱業正規化のためのワンストップシステムとの相互運用が行われる予定である。
(了)
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率4.85%(12月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.97%(12月までの一年間)、対米ドル為替相場3.736ソル(12月平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.5%(10月~12月)、財政収支約111億ソルの赤字(12月)、貿易収支約23億米ドルの黒字(12月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、12月は主に漁業、製造等の成長率の伸びが見られた一方、建設の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は4.85%(前年同月比)となった。




イ インフレ率
12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.11%となり、最近12か月(2023年12月~2024年12月)の上昇率は、1.97%となった。


ウ 為替相場
12月の対米ドル為替相場の平均は3.736ソルであった。



エ 失業率
10月~12月のリマ首都圏の完全失業率は5.5%であった。


オ 財政収支
12月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で24.4%増となり、歳出は同比で0.9%増となった。全体では、プライマリーバランスは約111億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約121億ソルの赤字となった。


カ 貿易収支
12月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比6.9%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が15.4%増となり、全体では約70億米ドル(対前年同月比9.2%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ぶどうであった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が19.0%増、中間財は13.4%増、資本財が5.6%増となり、全体で約47億米ドル(対前年同月比12.1%増)となった。この結果、貿易収支は約23億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油(B2及びB5)であった。(注記:バイオディーゼル燃料を2%混合した軽油が「B2」、5%混合した軽油が「B5」)



キ 外貨準備高
12月末の外貨準備高は約790億ソルとなった。


ク 対外累積債務
2024年9月末の対外債務累積総額は約1,086億米ドルとなった。



(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利5.00%を維持
12月12日、中銀(BCR)理事会は政策金利を5.00%に維持する旨発表した。この決定については、11月の前月比インフレ率が0.09%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.06%であること、直近12か月間累計のインフレ率は10月の2.0%から11月には2.3%に上昇し、同様に食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は10月の2.5%から11月には2.6%に上昇したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが11月も2.5%を僅かに下回ったものの、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・小規模零細鉱業活動管轄機関設置・合法化プロセス延長法を公布
12月27日、ペルー政府は、国会で審議中の小規模及び零細鉱業に関する新法(MAPE法)が成立するまでの時限措置として、鉱業フォーマル化包括登録(REINFO)の適用期間を6ヶ月間延長し、2025年6月30日まで(大統領令で6か月追加延長可能)とする「小規模零細鉱業活動管轄機関設置・合法化プロセス延長法」(法第32213号)を公布した。
なお、REINFOは違法鉱山採掘の取り締まりを強化し、同従事者の正規化を目的として、2016年に創設されたプログラムで、現在REINFOに登録している採掘業者83,789社のうち、生産登録や納税者番号の使用など、正式な業務要件を満たしているのはわずか17%(14,641社)であり、残りの83%(69,148社)は要件を満たしていないとして採掘許可が停止されている。ただし、採掘許可が停止されていても、同プログラムに登録していることで正規化プロセス中であるとして違法採掘が事実上許容されている。
本法は、エネルギー鉱山省(MINEM)に、小規模及び零細鉱業のための相互運用システム(SIPMMA)、並びに、鉱業正規化のためのワンストップシステムの構築と実施の権限を付与した。
SIPMMAは鉱業活動の監視と追跡を強化するシステムで、鉱物、爆発物、化学物質等の運用の透明性を確保し、国家の様々な機関と連携し、違反の特定や活動の正規化を容易にすることを目的としている。また、SIPMMA構築から6ヶ月以内に、国家環境影響評価システム(SEIA)、鉱業権及び土地登記システム(SIDEMCAT)、統合環境検査システム(SIFA)、並びに、鉱業正規化のためのワンストップシステムとの相互運用が行われる予定である。
(了)