ペルーの経済情勢(2025年1月)

令和7年5月21日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率4.07%(1月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.85%(1月までの一年間)、対米ドル為替相場3.747ソル(1月平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.2%(2024年11月~2025年1月)、財政収支約42億ソルの黒字(1月)、貿易収支約18億米ドルの黒字(1月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、1月は主に漁業、運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、金融・保険の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は4.07%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 1月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.09%となり、最近12か月(2024年1月~2025年1月)の上昇率は、1.85%となった。




ウ 為替相場
 1月の対米ドル為替相場の平均は3.747ソルであった。



 

エ 失業率
 2024年11月~2025年1月のリマ首都圏の完全失業率は6.2%であった。




オ 財政収支
 1月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で9.2%増となり、歳出は同比で27.8%増となった。全体では、プライマリーバランスは約42億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約34億ソルの黒字となった。




カ 貿易収支
 1月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比24.0%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が22.9%増となり、全体では約67億米ドル(対前年同月比23.7%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ぶどうであった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が24.2%増、中間財は27.6%増、資本財が26.9%増となり、全体で約49億米ドル(対前年同月比24.8%増)となった。この結果、貿易収支は約18億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。






キ 外貨準備高
 1月末の外貨準備高は約816億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2024年12月末の対外債務累積総額は約1,086億米ドルとなった。



 

(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.75%に引き下げ
 1月9日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.75%に引き下げる旨発表した。この決定については、12月の前月比インフレ率が0.11%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.40%であること、直近12か月間累計のインフレ率が11月の2.3%から12月には政府目標値(注:1~3%)の中央値である2.0%にまで減少し、同様に食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は2.6%で横ばいであること、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが12月も2.5%を僅かに下回ったものの、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
・国営石油企業であるペトロペルー、2024年は9億6,800万米ドルの損失
 1月21日、ペトロペルーのナルバエス社長は、国会のエネルギー鉱山委員会に出席し、2024年に9億6,800万米ドルの損失を出した旨報告した。
 ナルバエス社長によると、新タララ製油所は稼働しているが、北部石油パイプラインは、2014年からの10年間で45回の切断等の被害を受け、現在石油輸送を行っていないにもかかわらず直近3年間の維持費は3億9,500万ソル(約1億676万米ドル)にのぼり、損失要因となっている。
 一方で、ナルバエス社長はペトロペルーが破産していないと強調し、2025年には1億8,500万米ドルの純利益、また、燃料市場でのシェアを38%に引き上げることを目標としている旨述べた。
 同委員会に出席した、エネルギー鉱山省のモンテロ大臣は、ペトロペルーの民営化を否定し、ペトロペルーの2025年までの経済および財務予測を、同省が支持するとともに、国営企業に対する行政からの追加要件や経済的救済措置は今後一切ない旨述べた。
 
(了)