ペルーの経済情勢(2025年2月)
令和7年5月23日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率2.68%(2月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.48%(2月までの一年間)、対米ドル為替相場3.697ソル(2月平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.3%(2024年12月~2025年2月)、財政収支約14億ソルの黒字(2月)、貿易収支約21億米ドルの黒字(2月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、2月は主に漁業、建設等の成長率の伸びが見られた一方、電力・ガス・水等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は2.68%(前年同月比)となった。


イ インフレ率
2月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.19%となり、最近12か月(2024年3月~2025年2月)の上昇率は、1.48%となった。

ウ 為替相場
2月の対米ドル為替相場の平均は3.697ソルであった。

エ 失業率
2024年12月~2025年2月のリマ首都圏の完全失業率は6.3%であった。

オ 財政収支
2月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で9.1%増となり、歳出は同比で3.7%減となった。全体では、プライマリーバランスは約14億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約47億ソルの赤字となった。

カ 貿易収支
2月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比16.8%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が20.1%増となり、全体では約63億米ドル(対前年同月比17.5%増)となった。主要輸出品目は銅、金、紙製品及び化学薬品であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が21.4%増、中間財は5.5%増、資本財が9.4%増となり、全体で約42億米ドル(対前年同月比10.0%増)となった。この結果、貿易収支は約21億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。


キ 外貨準備高
2月末の外貨準備高は約837億米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2024年12月末の対外債務累積総額は約1,086億米ドルとなった。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.75%に維持
2月13日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.75%に維持する旨発表した。この決定については、1月の前月比インフレ率が-0.09%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が-0.15%であること、直近12か月間累計のインフレ率が12月の2.0%から1月には政府目標値(注:1~3%)の中央値である1.9%に低下し、同様に食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は12月の2.6%から1月には2.4%に低下したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが12月の2.45%から1月には2.37%に低下し、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・対米ドル為替相場が、2024年4月以来、最低の3.680ソルに下落
2月25日、当地エル・コメルシオ紙は、ペルーにおけるドルの為替レートが、3.680ソルで取引を終えた旨報じた。これは2024年4月以来の低水準である。(当館注:南米を拠点とする金融サービス企業である)スラ・インベストメントのペルー資産管理責任者であるエリック・バルデス氏は、アメリカの消費者信頼感データの弱さがドルの安値に寄与したと説明した。
また、(ペルーの)レンタ4 証券会社の通貨仲介営業マネージャーであるヘスス・フロレス氏は、原材料の動向や石油価格の下落が為替に影響を与えたと指摘した。地域的には、ペルーのソルとチリのペソが上昇した一方で、コロンビアのペソは下落した。トランプ政権による関税措置が市場に不確実性を生み出し、ペルーではドルの弱体化を招いている。
バルデス氏は、これが世界的な貿易戦争に発展すれば、短期的に経済成長に影響を及ぼす可能性があると述べた。ペルーでは税金の支払いシーズンであり、一般的に多くのドル収入を得る企業が市場に出てドルを売り、ソルを取得して支払うため、為替に下押し圧力がかかっている。
レンタ4 証券会社は、関税に関連するニュースや原材料価格の変動が価格変動を引き起こし続けるが、商業環境の緩和でドルは緩やかに下降すると予測し、バルデス氏は、ペルーの税金支払いシーズン後にアメリカのインフレと連邦準備制度の金融政策に注目すべきと述べた。
専門家によれば、年内のドルの位置を予測するのはまだ非常に難しいが、米国のインフレ率が連邦準備制度理事会の目標とする範囲を超え続ける場合、同国では緊縮的な金融政策が継続される可能性がある。
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率2.68%(2月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.48%(2月までの一年間)、対米ドル為替相場3.697ソル(2月平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.3%(2024年12月~2025年2月)、財政収支約14億ソルの黒字(2月)、貿易収支約21億米ドルの黒字(2月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について、2月は主に漁業、建設等の成長率の伸びが見られた一方、電力・ガス・水等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は2.68%(前年同月比)となった。




イ インフレ率
2月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.19%となり、最近12か月(2024年3月~2025年2月)の上昇率は、1.48%となった。


ウ 為替相場
2月の対米ドル為替相場の平均は3.697ソルであった。



エ 失業率
2024年12月~2025年2月のリマ首都圏の完全失業率は6.3%であった。


オ 財政収支
2月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で9.1%増となり、歳出は同比で3.7%減となった。全体では、プライマリーバランスは約14億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約47億ソルの赤字となった。


カ 貿易収支
2月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比16.8%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が20.1%増となり、全体では約63億米ドル(対前年同月比17.5%増)となった。主要輸出品目は銅、金、紙製品及び化学薬品であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が21.4%増、中間財は5.5%増、資本財が9.4%増となり、全体で約42億米ドル(対前年同月比10.0%増)となった。この結果、貿易収支は約21億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。



キ 外貨準備高
2月末の外貨準備高は約837億米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2024年12月末の対外債務累積総額は約1,086億米ドルとなった。



(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.75%に維持
2月13日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.75%に維持する旨発表した。この決定については、1月の前月比インフレ率が-0.09%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が-0.15%であること、直近12か月間累計のインフレ率が12月の2.0%から1月には政府目標値(注:1~3%)の中央値である1.9%に低下し、同様に食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は12月の2.6%から1月には2.4%に低下したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが12月の2.45%から1月には2.37%に低下し、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・対米ドル為替相場が、2024年4月以来、最低の3.680ソルに下落
2月25日、当地エル・コメルシオ紙は、ペルーにおけるドルの為替レートが、3.680ソルで取引を終えた旨報じた。これは2024年4月以来の低水準である。(当館注:南米を拠点とする金融サービス企業である)スラ・インベストメントのペルー資産管理責任者であるエリック・バルデス氏は、アメリカの消費者信頼感データの弱さがドルの安値に寄与したと説明した。
また、(ペルーの)レンタ4 証券会社の通貨仲介営業マネージャーであるヘスス・フロレス氏は、原材料の動向や石油価格の下落が為替に影響を与えたと指摘した。地域的には、ペルーのソルとチリのペソが上昇した一方で、コロンビアのペソは下落した。トランプ政権による関税措置が市場に不確実性を生み出し、ペルーではドルの弱体化を招いている。
バルデス氏は、これが世界的な貿易戦争に発展すれば、短期的に経済成長に影響を及ぼす可能性があると述べた。ペルーでは税金の支払いシーズンであり、一般的に多くのドル収入を得る企業が市場に出てドルを売り、ソルを取得して支払うため、為替に下押し圧力がかかっている。
レンタ4 証券会社は、関税に関連するニュースや原材料価格の変動が価格変動を引き起こし続けるが、商業環境の緩和でドルは緩やかに下降すると予測し、バルデス氏は、ペルーの税金支払いシーズン後にアメリカのインフレと連邦準備制度の金融政策に注目すべきと述べた。
専門家によれば、年内のドルの位置を予測するのはまだ非常に難しいが、米国のインフレ率が連邦準備制度理事会の目標とする範囲を超え続ける場合、同国では緊縮的な金融政策が継続される可能性がある。
(了)