ペルーの経済情勢(2025年3月)

令和7年5月29日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率4.67%(3月:前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.28%(3月までの一年間)、対米ドル為替相場3.652ソル(3月平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.6%(2025年1月~3月)、財政収支約5億ソルの黒字(3月)、貿易収支約25億米ドルの黒字(3月)となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について、3月は主に漁業、運輸・倉庫・郵便等の成長率の伸びが見られた一方、通信・情報の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は4.67%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.81%となり、最近12か月(2024年4月~2025年3月)の上昇率は、1.28%となった。




ウ 為替相場
 3月の対米ドル為替相場の平均は3.652ソルであった。



 

エ 失業率
 2025年1月~2025年3月のリマ首都圏の完全失業率は6.6%であった。




オ 財政収支
 3月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で20.3%増となり、歳出は同比で11.0%増となった。全体では、プライマリーバランスは約5億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約1億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 3月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比27.9%増、非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が22.3%増となり、全体では約72億米ドル(対前年同月比26.5%増)となった。主要輸出品目は銅、金、紙製品及び化学薬品であった。
 輸入額は、対前年同月比で消費財が20.9%増、中間財は7.8%増、資本財が21.8%増となり、全体で約47億米ドル(対前年同月比14.6%増)となった。この結果、貿易収支は約25億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。






キ 外貨準備高
 3月末の外貨準備高は約810億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2025年3月末の対外債務累積総額は約1,109億米ドルとなった。



 
 
注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
 

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.75%に維持
 3月13日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.75%に維持する旨発表した。この決定については、2月の前月比インフレ率が0.19%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も0.19%であること、直近12か月間累計のインフレ率が1月の1.9%から2月には1.5%に低下し、同様に食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率は1月の2.4%から2月には2.1%に低下し、政府目標値(注:1~3%)の中央値に近づいたこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが1月の2.37%から2月には2.28%に低下し、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、中銀(BCR)は、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
経済財政省(MEF)400以上の措置を含む第1の規制緩和ショックを公表
 3月31日、経済財政省(MEF)は、規制緩和ショックと称する400以上の措置から成るパッケージを公表した。サラルディ経済財政大臣は、国の競争力と生産性を向上させるために「規制緩和ショック」を発表した。この措置は、民間企業や産業団体と協力して作成され、400以上の具体的な行動が含まれている。主な目的は、過剰な規制を減らし、行政手続きの簡素化や効率化を進めることで、投資を促進し経済成長を加速させることである。
 このパッケージには、官僚的な障壁の撤廃、プロセスの改善、税務や監視の効率化が含まれ、特に輸送、漁業、鉱業、建設、商業、炭化水素など13のセクターに焦点を当てている。既に半数以上の措置が実施されており、残りの措置も今年の7月までに実施予定である。
 具体例として、非伝統的輸出品への税金還付(Drawback)の拡大や、約700億米ドルの官民連携事業、240億米ドルの灌漑プロジェクトが挙げられる。政府はさらに、自治体の規制を緩和するためのインセンティブプログラムを導入し、1,846の官僚的障壁を撤廃する予定である。
 この発表には、多くの産業団体の代表が出席し、経済財政省との協力を評価した。アドリアンセン首相も過剰な規制の問題に対して、初めて具体的な対策が講じられたことを強調した。段階的な規制撤廃を目指し、7月以降には、第2の規制緩和措置パッケージ(規制緩和ショック)が予定されている。
 
(了)