ペルーの経済情勢（2025年5月）
令和7年8月18日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率2.67％（5月：前年同月比）、リマ首都圏のインフレ率1.69％（5月までの一年間）、対米ドル為替相場3.660ソル（5月平均値）、リマ首都圏の完全失業率5.6％（2025年3月～5月）、財政収支約6億ソルの赤字（5月）、貿易収支約14億米ドルの黒字（5月）となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率（GDP成長率）について、5月は主に農牧、建設等の成長率の伸びが見られた一方、鉱業・炭化水素、漁業等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は2.67％（前年同月比）となった。
イ インフレ率
5月のリマ首都圏のインフレ率（消費者物価指数（前月比））は、-0.06％となり、最近12か月（2024年6月～2025年5月）の上昇率は、1.69％となった。
ウ 為替相場
5月の対米ドル為替相場の平均は3.660ソルであった。
エ 失業率
2025年3月～2025年5月のリマ首都圏の完全失業率は5.6％であった。
オ 財政収支
5月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で11.6％増となり、歳出は同比で7.1％増となった。全体では、プライマリーバランスは約6億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約16億ソルの赤字となった。
カ 貿易収支
5月の輸出額は、伝統産品（鉱物資源、魚粉、コーヒー等）が対前年同月比7.1％減、非伝統産品（アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等）が17.0％増となり、全体では約62億米ドル（対前年同月比1.5％減）となった。主要輸出品目は銅、金、アボカドであった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が19.6％増、中間財は2.7％増、資本財が22.3％増となり、全体で約48億米ドル（対前年同月比11.5％増）となった。この結果、貿易収支は約14億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。
キ 外貨準備高
5月末の外貨準備高は約860億米ドルとなった。
ク 対外累積債務
2025年3月末の対外債務累積総額は約1,109億米ドルとなった。
(2) 最近の主な出来事
・中銀（BCR）は政策金利4.50％に引き下げ
5月8日、中銀（BCR）理事会は政策金利を4.50％に引き下げる旨発表した。この決定については、4月の前月比インフレ率が0.32%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も0.14%であること、直近12か月間累計のインフレ率が3月の1.3％から4月には1.7％に上昇し、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が4月は1.9％で、政府目標値（注：1～3％）の中央値を維持したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが4月は2.3％で政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・ラ・リベルタ州パタスで鉱業労働者13人が殺害
5月4日、警察は、ラ・リベルタ州パタスで違法鉱業に関与する犯罪集団によって誘拐、殺害された13人の鉱業労働者の遺体を発見した。事件は、違法鉱業に関係した犯罪者によるものであり、正規の鉱山会社であるポデロサ社の下請け企業関係者が犠牲となった。
パタスは金が豊富な地域で、金採掘が盛んに行われているが、その結果、違法な鉱業活動も広がっている。違法鉱業関係者は、武装した犯罪集団と結託し、合法な鉱業活動を行う者たちを脅かしている。このような状況下で、パタスは無法地帯化していると言われている。
ポデロサ社は、エネルギー鉱山省と国会に対し、違法鉱業への対応が遅れた責任を問うており、特に国会による鉱業フォーマル化包括登録（REINFO）の延長が違法鉱業活動を助長していると非難している。なお、REINFOは、違法鉱山採掘の取り締まりを強化し、同従事者の正規化を目的として2016年に創設されたプログラムである。生産登録や納税者番号の取得など正式な業務要件を満たしていないと採掘許可が停止されるが、同プログラムに登録していることで正規化プロセス中であるとして違法採掘が事実上許容されている。
この事態を受け、ペルー政府はパタスに非常事態宣言を発令し、ボルアルテ大統領は現地を訪れ、治安回復のために軍と警察の増強を指示した。また、30日間の鉱業活動停止や、夜間外出禁止令の実施などの対策を講じた。
最新のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率2.67％（5月：前年同月比）、リマ首都圏のインフレ率1.69％（5月までの一年間）、対米ドル為替相場3.660ソル（5月平均値）、リマ首都圏の完全失業率5.6％（2025年3月～5月）、財政収支約6億ソルの赤字（5月）、貿易収支約14億米ドルの黒字（5月）となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率（GDP成長率）について、5月は主に農牧、建設等の成長率の伸びが見られた一方、鉱業・炭化水素、漁業等の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は2.67％（前年同月比）となった。
イ インフレ率
5月のリマ首都圏のインフレ率（消費者物価指数（前月比））は、-0.06％となり、最近12か月（2024年6月～2025年5月）の上昇率は、1.69％となった。
ウ 為替相場
5月の対米ドル為替相場の平均は3.660ソルであった。
エ 失業率
2025年3月～2025年5月のリマ首都圏の完全失業率は5.6％であった。
オ 財政収支
5月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で11.6％増となり、歳出は同比で7.1％増となった。全体では、プライマリーバランスは約6億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約16億ソルの赤字となった。
カ 貿易収支
5月の輸出額は、伝統産品（鉱物資源、魚粉、コーヒー等）が対前年同月比7.1％減、非伝統産品（アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等）が17.0％増となり、全体では約62億米ドル（対前年同月比1.5％減）となった。主要輸出品目は銅、金、アボカドであった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が19.6％増、中間財は2.7％増、資本財が22.3％増となり、全体で約48億米ドル（対前年同月比11.5％増）となった。この結果、貿易収支は約14億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。
キ 外貨準備高
5月末の外貨準備高は約860億米ドルとなった。
ク 対外累積債務
2025年3月末の対外債務累積総額は約1,109億米ドルとなった。
（注）上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀（BCR）は政策金利4.50％に引き下げ
5月8日、中銀（BCR）理事会は政策金利を4.50％に引き下げる旨発表した。この決定については、4月の前月比インフレ率が0.32%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も0.14%であること、直近12か月間累計のインフレ率が3月の1.3％から4月には1.7％に上昇し、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が4月は1.9％で、政府目標値（注：1～3％）の中央値を維持したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが4月は2.3％で政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・ラ・リベルタ州パタスで鉱業労働者13人が殺害
5月4日、警察は、ラ・リベルタ州パタスで違法鉱業に関与する犯罪集団によって誘拐、殺害された13人の鉱業労働者の遺体を発見した。事件は、違法鉱業に関係した犯罪者によるものであり、正規の鉱山会社であるポデロサ社の下請け企業関係者が犠牲となった。
パタスは金が豊富な地域で、金採掘が盛んに行われているが、その結果、違法な鉱業活動も広がっている。違法鉱業関係者は、武装した犯罪集団と結託し、合法な鉱業活動を行う者たちを脅かしている。このような状況下で、パタスは無法地帯化していると言われている。
ポデロサ社は、エネルギー鉱山省と国会に対し、違法鉱業への対応が遅れた責任を問うており、特に国会による鉱業フォーマル化包括登録（REINFO）の延長が違法鉱業活動を助長していると非難している。なお、REINFOは、違法鉱山採掘の取り締まりを強化し、同従事者の正規化を目的として2016年に創設されたプログラムである。生産登録や納税者番号の取得など正式な業務要件を満たしていないと採掘許可が停止されるが、同プログラムに登録していることで正規化プロセス中であるとして違法採掘が事実上許容されている。
この事態を受け、ペルー政府はパタスに非常事態宣言を発令し、ボルアルテ大統領は現地を訪れ、治安回復のために軍と警察の増強を指示した。また、30日間の鉱業活動停止や、夜間外出禁止令の実施などの対策を講じた。
（了）