ペルーの経済情勢(2025年7月)
令和7年9月30日
1 総論
7月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.41%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.69%(7月までの一年間)、対米ドル為替相場3.557ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.1%(2025年5月~7月)、財政収支約41億ソルの赤字、貿易収支約21億米ドルの黒字となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
7月の経済成長率(GDP成長率)について、主に漁業、農牧、建設等の成長率の伸びが見られた一方、宿泊・飲食業の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.41%(前年同月比)となった。


イ インフレ率
7月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.23%となり、最近12か月(2024年8月~2025年7月)の上昇率は、1.69%となった。

ウ 為替相場
7月の対米ドル為替相場の平均は3.557ソルであった。

エ 失業率
2025年5月~7月のリマ首都圏の完全失業率は6.1%であった。

オ 財政収支
7月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で4.4%増となり、歳出は同比で7.6%増となった。全体では、プライマリーバランスは約41億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約47億ソルの赤字となった。

カ 貿易収支
7月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比3.3%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が6.1%増となり、全体では約72億米ドル(対前年同月比4.3%増)となった。主要輸出品目は金、銅、亜鉛であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が17.6%増、中間財は1.1%増、資本財が18.3%増となり、全体で約51億米ドル(対前年同月比11.9%増)となった。この結果、貿易収支は約21億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。

キ 外貨準備高
7月末の外貨準備高は約875億米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2025年6月末の対外債務累積総額は約1,142億米ドルとなった。

7月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.41%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.69%(7月までの一年間)、対米ドル為替相場3.557ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.1%(2025年5月~7月)、財政収支約41億ソルの赤字、貿易収支約21億米ドルの黒字となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
7月の経済成長率(GDP成長率)について、主に漁業、農牧、建設等の成長率の伸びが見られた一方、宿泊・飲食業の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.41%(前年同月比)となった。




イ インフレ率
7月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.23%となり、最近12か月(2024年8月~2025年7月)の上昇率は、1.69%となった。


ウ 為替相場
7月の対米ドル為替相場の平均は3.557ソルであった。



エ 失業率
2025年5月~7月のリマ首都圏の完全失業率は6.1%であった。


オ 財政収支
7月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で4.4%増となり、歳出は同比で7.6%増となった。全体では、プライマリーバランスは約41億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約47億ソルの赤字となった。


カ 貿易収支
7月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比3.3%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が6.1%増となり、全体では約72億米ドル(対前年同月比4.3%増)となった。主要輸出品目は金、銅、亜鉛であった。
輸入額は、対前年同月比で消費財が17.6%増、中間財は1.1%増、資本財が18.3%増となり、全体で約51億米ドル(対前年同月比11.9%増)となった。この結果、貿易収支は約21億米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。



キ 外貨準備高
7月末の外貨準備高は約875億米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2025年6月末の対外債務累積総額は約1,142億米ドルとなった。



(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.50%を維持
7月10日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.50%に維持する旨発表した。この決定については、6月の前月比インフレ率が0.13%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も0.07%であること、直近12か月間累計のインフレ率が6月も1.7%を維持し、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が5月の1.8%から6月には1.7%に低下したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが6月も2.3%で政府目標値(注:1~3%)内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・国家税関税務監督庁(SUNAT)、密輸水銀を含む20トンの砕石を押収
2025年7月24日、ペルーの国家税関税務監督庁(SUNAT)プレスリリースは、20トンの砕石に偽装された水銀の密輸を発見し、押収した旨報じた。問題の貨物は、メキシコからボリビアへと向かう途中であり、カヤオ港での検査により水銀が砕石に浸透していることが判明した。この違法貨物の価値は170万ソル(約50万米ドル)とされている。
SUNATは、リスクの高い貨物やその行き先、利用されたルート、商取引の頻度などを分析し、水銀が「砕石」としてメキシコから運搬されていることを突き止めた。これにより、環境問題を専門とする検察庁に通知し、法的措置が取られることとなった。また、国家機関や民間セクターとの情報交換も行われた。
水銀は主に違法な金採掘に使用される。水銀を含む砕石は25キロの袋に詰められ、最終的には約4トンの液体水銀が生成されると推定されている。調査によれば、この密輸はメキシコで採掘された水銀鉱石(辰砂)が加工され、砕石に含浸されることから始まった。この砕石は、高温での焼成により水銀が分離され、最終的には鉄製の瓶に収められる。
今回の押収により、メキシコ、ペルー、コロンビア、ボリビアを中心に活動する国際的な水銀密輸ネットワークが明らかになった。このネットワークは「水俣条約」に違反し、水銀による汚染を減少させる各国の法規制にも反している。水銀は環境や健康に深刻な影響を及ぼす危険な物質で、特に違法採掘では無制御な放出と燃焼が行われる。これにより、空気、水、土壌に取り返しのつかないダメージを与え、生物濃縮を通じて人間や動物に影響を及ぼす。
SUNATは今後も、違法採掘や麻薬取引、その他の税関関連の違法行為に対する予防と抑制を目的として、空路、海路、陸路、河川の物流チェーンの安全性と税関の管理を強化し続ける方針である。
・中銀(BCR)は政策金利4.50%を維持
7月10日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.50%に維持する旨発表した。この決定については、6月の前月比インフレ率が0.13%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率も0.07%であること、直近12か月間累計のインフレ率が6月も1.7%を維持し、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が5月の1.8%から6月には1.7%に低下したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが6月も2.3%で政府目標値(注:1~3%)内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
・国家税関税務監督庁(SUNAT)、密輸水銀を含む20トンの砕石を押収
2025年7月24日、ペルーの国家税関税務監督庁(SUNAT)プレスリリースは、20トンの砕石に偽装された水銀の密輸を発見し、押収した旨報じた。問題の貨物は、メキシコからボリビアへと向かう途中であり、カヤオ港での検査により水銀が砕石に浸透していることが判明した。この違法貨物の価値は170万ソル(約50万米ドル)とされている。
SUNATは、リスクの高い貨物やその行き先、利用されたルート、商取引の頻度などを分析し、水銀が「砕石」としてメキシコから運搬されていることを突き止めた。これにより、環境問題を専門とする検察庁に通知し、法的措置が取られることとなった。また、国家機関や民間セクターとの情報交換も行われた。
水銀は主に違法な金採掘に使用される。水銀を含む砕石は25キロの袋に詰められ、最終的には約4トンの液体水銀が生成されると推定されている。調査によれば、この密輸はメキシコで採掘された水銀鉱石(辰砂)が加工され、砕石に含浸されることから始まった。この砕石は、高温での焼成により水銀が分離され、最終的には鉄製の瓶に収められる。
今回の押収により、メキシコ、ペルー、コロンビア、ボリビアを中心に活動する国際的な水銀密輸ネットワークが明らかになった。このネットワークは「水俣条約」に違反し、水銀による汚染を減少させる各国の法規制にも反している。水銀は環境や健康に深刻な影響を及ぼす危険な物質で、特に違法採掘では無制御な放出と燃焼が行われる。これにより、空気、水、土壌に取り返しのつかないダメージを与え、生物濃縮を通じて人間や動物に影響を及ぼす。
SUNATは今後も、違法採掘や麻薬取引、その他の税関関連の違法行為に対する予防と抑制を目的として、空路、海路、陸路、河川の物流チェーンの安全性と税関の管理を強化し続ける方針である。
(了)