9月の内政及び外交・国際関係

令和7年10月20日
【概要】
1 内政
(1)政府及び国会の動き
●10日、国会本会議開会中等一部時間を除き、国会議員が次期総選挙に向けた選挙活動を行うことが可能になった。
●17日、国会は、ニューヨークで開催される第80回国連総会ハイレベルウィークにボルアルテ大統領が出席するための外遊許可申請を賛成62、反対41、棄権3で承認した。
●29日、イバン・パレデス国家刑務所庁(INPE)カヤオ海軍基地に現在収監されているブラディミロ・モンテシノス国家情報局(SIN)元特別顧問、ビクトル・ポライ・トゥパック・アマル革命運動(MRTA)元リーダーほかをアンコン第二刑務所に移送すると発表した。
(2)選挙情勢
●1日、次期総選挙に向けた政党間同盟の登録締め切りを迎えた結果、次期総選挙には39の政治団体(3同盟(7政党)+36政党)が参加可能となった。
(3)世論調査
●18日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、10%を獲得したロペス・アリアガ・リマ市長(人民刷新党(RP)党首)が一位であった。
●22日、CPI社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、13.7%を獲得したロペス・アリアガ・リマ市長(人民刷新党(RP)党首)が一位であった。
●29日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、10%を獲得したロペス・アリアガ・リマ市長(人民刷新党(RP)党首)が一位であった。
●29日、ペルー問題研究所(IEP)によるボルアルテ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は3%、不支持率は93%であった。
(4)その他
●3日、高等裁判所第3刑事控訴法廷は、ビスカラ元大統領の釈放を命じた。
●3日、高等裁判所第9清算刑事法廷は、エコテバ事件における資金洗浄罪の共犯者として禁錮13年4か月の判決を言い渡した。
●11日、フジモリ元大統領の一回忌に際し、カンポ・フェ・デ・ワチパ墓地において、ミサが実施された。
 
2 外交・国際関係
(1)声明等
●2日、当国外務省は、1日夜に発生した在ペルー・インドネシア大使館職員の殺害について深い追悼の意を表明する声明を発出した。
●10日、当国外務省は、イスラエルによるカタール領土への攻撃を強く非難し、深い懸念を表明する旨の声明を発出した。
(2)政府要人の外遊及び各国との会談
●3日、第1回ペルー・アゼルバイジャン政治協議メカニズムが実施された。
●8日、第5回ペルー・イタリア政治協議メカニズムが実施された。
●10日、シアレル外相は、ジャスダセン・シンガポール大使(本国常駐)と会談した。
●10日、第10回ペルー・スペイン政治協議メカニズムが実施された。
●12日、第7回ペルー・ルーマニア政治協議メカニズムが実施された。
●12日、ペルー・コロンビア国境検査常設合同委員会の第14回通常会合が実施された。
●17日、第8回ペルー・ブラジル国境統合副大臣委員会(CVIF)及び第14回政治協議メカニズムが実施された。
●18日、シアレル外相は、アブデルナセル当地パレスチナ大使と会談した。
●21~25日、ボルアルテ大統領は、第80回国連総会ハイレベルウィークにおいて各種会合に出席しバイ会談等を実施した。
●30日、デネグリ外務副大臣は、ソサ・ボリビア外相と会談した。
(3)その他
●6日、当国大統領府は、公式Xを通じて、3日に米州人権裁判所がアルトス地区事件及びラ・カントゥタ事件に対し恩赦法を適用すべきではない旨ペルー側に勧告したことを懸念する旨の声明を発出した。
 
【本文】
1 内政
(1)次期総選挙に向けた政党間同盟登録
 1日、次期総選挙に向けた政党間同盟の登録締め切りを迎えた結果、次期総選挙には39の政治団体(3同盟(7政党)+36政党)が参加可能となった。
 
(2)予防拘禁措置を受けていたビスカラ元大統領の釈放
 3日、高等裁判所第3刑事控訴法廷は、ビスカラ元大統領の釈放を命じた。同元大統領は8月13日に5か月の予防拘禁措置が命じられ、バルバディージョ刑務所に収監されていた。
 
(3)トレド元大統領に対する禁錮13年4か月の判決
 3日、高等裁判所第9清算刑事法廷は、エコテバ事件(当館注1:ブラジルのオデブレヒト社などから賄賂として受け取った3,500万米ドルの一部を使用して不動産の購入と住宅ローンの返済を行ったとされる事件。)における資金洗浄罪の共犯者として禁錮13年4か月の判決を言い渡した。同元大統領は、すでに昨年言い渡された判決である禁錮20年8か月の刑期と平行して、本件刑期を服役することになる。
 
(4)国会議員による選挙活動に関する国会規則の改正
 10日、国会議員による選挙活動に関する国会規則の25-A条が改正され、国会本会議開会中等一部時間を除き、国会議員が次期総選挙に向けた選挙活動を行うことが可能になった。
 
(5)フジモリ元大統領の一回忌ミサ
 11日、フジモリ元大統領の一回忌に際し、カンポ・フェ・デ・ワチパ墓地において、ミサが実施され、同元大統領の長女であるケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首をはじめフジモリ派の政治家等が出席した。なお、同元大統領の長男であるケンジ・フジモリ元国会議員は出席しなかった。
 
(6)国会によるボルアルテ大統領の外遊許可承認:国連総会
 17日、国会は、ニューヨークで開催される第80回国連総会ハイレベルウィークにボルアルテ大統領が出席するための外遊許可申請を賛成62、反対41、棄権3で承認した。
 
(7)イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査・その1
 18日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、10%を獲得したロペス・アリアガ・リマ市長(人民刷新党(RP)党首)が一位であった。二位には、8%を獲得したケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首、三位には、5%を獲得したマリオ・ビスカラ氏(ペルー第一党)が続いた。
 
(8)CPI社による次期大統領選挙に関する世論調査
 22日、CPI社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、13.7%を獲得したロペス・アリアガ・リマ市長(人民刷新党(RP)党首)が一位であった。二位には、9%を獲得したケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首、三位には、7.9%を獲得したマリオ・ビスカラ氏(ペルー第一党)が続いた。
 
(9)イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査・その2
 29日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、10%を獲得したロペス・アリアガ・リマ市長(人民刷新党(RP)党首)が一位、7%を獲得したケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首及びマリオ・ビスカラ氏(ペルー第一党)が同率二位であった。
 
(10)ペルー問題研究所(IEP)によるボルアルテ大統領等の支持率に関する世論調査
 29日、ペルー問題研究所(IEP)によるボルアルテ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は3%、不支持率は93%であった。また、国会の支持率は4%、不支持率は93%であった。
 
(11)モンテシノス国家情報局(SIN)元特別顧問ほかの移送
 29日、イバン・パレデス国家刑務所庁(INPE)長官は、カヤオ海軍基地との犯罪者収容に関する協定が来年1月に満了することに伴い、同基地に現在収監されているブラディミロ・モンテシノス国家情報局(SIN)元特別顧問、ビクトル・ポライ・トゥパック・アマル革命運動(MRTA)元リーダーほかをアンコン第二刑務所に移送すると発表した。
 
2 外交・国際関係
(1)外務省による声明発出:当地インドネシア大職員に対する襲撃
 2日、当国外務省は、1日夜に発生した在ペルー・インドネシア大使館職員の殺害について深い追悼の意を表明する声明を発出した。
 
(2)デネグリ外務副大臣のアゼルバイジャンとの第1回政治協議メカニズム出席
 3日、デネグリ外務副大臣とママドフ・アゼルバイジャン外務次官が共同議長を務め、リマにおいて初の政治協議メカニズムを開催した。会合では、観光、安全保障、文化、スポーツといった分野における協力プロジェクトの推進やアゼルバイジャンとラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)や太平洋同盟といった地域機関との協力関係の強化の重要性が取り扱われたほか、文化財の違法取引との闘いにおける技術協力の強化の重要性で一致した。
 翌4日、シアレル外相は、ママドフ外務次官の表敬を受け、両者は、経済、エネルギー、鉱業における協力を促進し、文化、スポーツ、観光、安全保障の取決めの交渉の進展につき一致した。
 
(3)大統領府による声明発出:恩赦法の適用
 6日、当国大統領府は、公式Xを通じて、3日に米州人権裁判所がアルトス地区事件(当館注2:1991年、準国軍兵士(コリーナ部隊)がアルトス地区の建物に押し入り、テロリストと間違えて集まっていた民間人を殺害した事件。)及びラ・カントゥタ事件(当館注3:1992-1993年、準国軍兵士(コリーナ部隊)がラ・カントゥタ教育大学に押し入り、テロリストと見られていた教授・学生を殺害した事件。)に対し恩赦法を適用すべきではない旨ペルー側に勧告したことを受け入れられないとする旨の声明を発出した。
 
(4)デネグリ外務副大臣の欧州訪問(その1:イタリア)
 8日、デネグリ外務副大臣は、ローマにてトリポーディ・イタリア外務・国際協力省次官とともに第5回ペルー・イタリア政治協議メカニズムを主催し、2024年の外交関係樹立150周年を踏まえて、二国間の政治対話を深化、強化し、ハイレベルの往来を増加させるとの共有された決意を再確認した。また、科学技術、文化、開発協力等の分野におけるイタリアとの連携の可能性について強調された。
 
(5)シアレル外相とジャスダセン・シンガポール大使(本国常駐)の会談
 10日、シアレル外相は、ジャスダセン・シンガポール大使(本国常駐)と相互投資の拡大、シンガポール・太平洋同盟間の自由貿易協定(PASFTA)、ペルーがアジア・ラ米間のハブとなる可能性、同分野におけるシンガポールの豊富な経験等につき意見交換を実施した。
 
(6)デネグリ外務副大臣の欧州訪問(その2:スペイン)
 10日、デネグリ外務副大臣は、スサナ・スメルソ・スペイン外務・EU・協力省イベロアメリカ・カリブ・世界におけるスペイン語担当長官とともに第10回ペルー・スペイン政治協議メカニズムを主催した。同メカニズムにおいて、デネグリ外務副大臣は、犯罪との闘いにおける協力に関する協定のフォローアップ委員会の活性化を提案したほか、スペイン当局に対して、5つの在スペイン・ペルー公館で実施される2026年総選挙に対する支援を求めた。
 
(7)外務省による声明の発出:カタールにおけるイスラエルの攻撃
 10日、当国外務省は、イスラエルによるカタール領土への攻撃を強く非難し、深い懸念を表明する旨の声明を発出した。
 
(8)デネグリ外務副大臣の欧州訪問(その3:ルーマニア)
 12日、デネグリ外務副大臣は、アナ・クリスティナ・ティンカ・ルーマニア外務省戦略的分野担当長官とともに、第7回ペルー・ルーマニア政治協議メカニズムを主催し、両国間のロードマップを策定することにつき合意したほか、犯罪人引き渡し、刑事、安全保障、組織犯罪との闘い等において互いに協力していくことへの関心を示した。
 
(9)コロンビアとの第14回国境検査常設合同委員会開催(共同声明)
 12日、当国外務省は、両国外相会合での合意に沿って、9月11日及び12日にコロンビアとの国境検査常設合同委員会の第14回通常会合を開催し、本件合同委員会の枠組みですでに開始されており、また、共通の合意に基づき、共有の責任のアプローチの下、共通の国境に影響を与える課題の解決策を特定し実施することに貢献する技術調査を完了することで合意した。
 
(10)第8回ペルー・ブラジル国境統合副大臣委員会(CVIF)及び第14回政治協議メカニズムの開催
 17日、デネグリ外務副大臣は、マリア・ラウラ・ダ・ローシャ・ブラジル外務次官とともに第8回ペルー・ブラジル国境統合副大臣委員会(CVIF)及び第14回政治協議メカニズムを主催し、越境組織犯罪との闘い、技術協力、気候危機への共同対応等につき議論した。
 
(11)シアレル外相とアブデルナセル当地パレスチナ大使の会談
 18日、シアレル外相は、アブデルナセル当地パレスチナ大使と会談し、中東における平和と安全を保証する二国家解決への進展の重要性等につき議論した。
 
(12)ボルアルテ大統領ほかによる訪米:第80回国連総会出席等
 21~25日、ボルアルテ大統領は、第80回国連総会ハイレベルウィークにおいて各種会合に出席し、一般討論演説では、国連改革、国際紛争、地域情勢、ペルー経済等幅広い分野を網羅した。また、そのマージンにて伯、ベルギー等と首脳会談を実施した。また、同外遊に同行したシアレル外相は、韓国、オーストリア、サウジアラビア等と外相会談を実施した。
 
(13)デネグリ外務副大臣とソサ・ボリビア外相の会談
 30日、デネグリ外務副大臣は、第31回アンデス共同体(CAN)外相会合のマージンにて、ソサ・ボリビア外相と会談し、両国の国境地帯にあるコルパ(ペルー側:タクナ州)・トラ・コロ(ボリビア側:ラパス県)間における国境検問所設置に向けた計画を具体化した。
(了)