ペルーの経済情勢(2025年8月)

令和7年11月6日
1 総論
 8月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.18%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.11%(8月までの一年間)、対米ドル為替相場3.542ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率6.0%(2025年6月~8月)、財政収支約20億ソルの黒字、貿易収支約26億米ドルの黒字となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 8月の経済成長率(GDP成長率)について、主に農牧、行政、国防等の成長率の伸びが見られた一方、漁業の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.18%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 8月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.29%となり、最近12か月(2024年9月~2025年8月)の上昇率は、1.11%となった。




ウ 為替相場
 8月の対米ドル為替相場の平均は3.542ソルであった。



 

エ 失業率
 2025年6月~8月のリマ首都圏の完全失業率は6.0%であった。




オ 財政収支
 8月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で25.2%増となり、歳出は同比で6.9%増となった。全体では、プライマリーバランスは約20億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約36億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 8月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比11.8%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が11.5%増となり、全体では約77億米ドル(対前年同月比11.8%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ブルーベリーであった。輸入額は、対前年同月比で消費財が17.8%増、中間財は7.1%減、資本財が16.6%増となり、全体で約51億米ドル(対前年同月比7.0%増)となった。主要輸入品目は原油、軽油、自動車であった。この結果、貿易収支は約26億米ドルの黒字となった。



 

キ 外貨準備高
 8月末の外貨準備高は約878億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2025年6月末の対外債務累積総額は約1,142億米ドルとなった。



 
 
 (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.50%を維持
 8月14日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.50%に維持する旨発表した。この決定については、7月の前月比インフレ率が0.23%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.18%であること、直近12か月間累計のインフレ率及び食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が7月も1.7%を維持したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが6月の2.3%から7月は2.2%に低下し、政府目標値(注:1~3%)内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
・ボルアルテ大統領訪日
 8月6日、大阪・関西万博の賓客として訪日中のボルアルテ大統領は、第16回日本ペルー経済協議会を開会し、日本の企業家に173億ドルの投資プロジェクトを提示した。2025年内に82億米ドル超の28プロジェクト、2026年には91億米ドルを超える48プロジェクトの事業者を選定予定であると述べた。また、ペルーと日本は経済連携協定や投資協定、租税条約を通じて安全に貿易投資を促進する法的経済枠組みがあることを強調した。
 同8日には石破総理大臣と首脳会談を行うとともに、天皇陛下と御謁見した。首脳会談では、総理が同大統領の初訪日を歓迎し、大阪・関西万博がペルー文化を発信する機会となることを期待すると述べた。また、150年以上の友好関係と約20万人の日系社会を有するペルーとの関係強化を目指す意向を示した。大統領は温かい歓迎に感謝し、昨年11月に採択したロードマップに基づき、二国間関係を一層緊密化したいと述べた。さらに大阪・関西万博のペルー・ナショナルデーを通じて、ペルーの魅力や価値を発信したいと語った。総理は観光協力覚書や防衛協力の促進を提案し、経済分野でも日本企業の投資促進を後押しする意向を示した。大統領は日本の投資拡大や日本産食品の輸出促進への期待を表明し、日系社会の重要性にも言及した。両首脳はロードマップを踏まえ、人的交流や防衛協力、経済・貿易等の幅広い分野で協力を深化させることで一致した。
 天皇陛下との御謁見では、天皇陛下より2023年の外交関係樹立150周年に、佳子内親王殿下がペルーを御訪問した際の歓迎に対する謝意が述べられた。また、両国が共有する長年の文化的伝統や友好関係を一層強化する機会等ついて懇談された。
 
(了)