ペルー政治情勢(2025年11月)

令和7年12月23日
【概要】
1 内政
(1)政府及び国会の動き
●7日、国家警察長長官が議長を務める統一作戦調整司令部(CCO)の創設等を含んだ新たな治安対策の方針が発表された。
(2)世論調査
●10日、CPI社によるヘリ大統領の支持率等に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は55.9%、不支持率は27.2%であった。
●13日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、9%を獲得したロペス・アリアガ人民刷新党(RP)党首が1位であった。
●17日、ダトゥム社によるヘリ大統領の支持率等に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は58%、不支持率は30%であった。
●23日、ダトゥム社による次期総選挙に向けた国民の意識に関する世論調査結果が公表され、27%が右派、21%が中道、15%が左派と回答。
●30日、ペルー問題研究所(IEP)によるヘリ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は39%、不支持率は46%であった。
●30日、イプソス社によるヘリ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は47%、不支持率は39%であった。
(3)大統領経験者の動向等
●10日、ボルアルテ前大統領は、自身に対する訴訟手続き等を理由にペルーを離れるつもりはなく、同前大統領子息の外交官としての職務は、国外逃亡の疑いを生じさせるものではないと述べた。
●25日、ボルアルテ前大統領が、10月10日に国会で承認された罷免決議を無効とするよう、21日にリマ高等裁判所に対して人身保護請求(amparo)を申し立てたことが分かった。
●26日、高等裁判所第四法廷は、マルティン・ビスカラ元大統領がモケグア州知事時代に収賄罪に関与したとして、禁固14年を求刑した。
●27日、最高裁判所は、2022年12月7日に自主クーデターの実施を試みたことは、反乱罪にあたるとして、ペドロ・カスティージョ元大統領、ベッツィ・チャベス元首相及びウィリー・ウエルタ元内相に対しては禁固11年5ヶ月を、アニバル・トーレス元首相には、禁固6年8ヶ月の判決を下した。
(4)その他
●6日、マリオ・コントレラス・ペルー空軍新最高司令官が就任した。
 
2 外交・国際関係
(1)声明等
●3日、当国外務省は、墨との外交関係断絶を発表した。
●7日、当国外務省は、1954年の外交的庇護に関するカラカス協定の改正を提案する旨発表した。
●25日、デ・セラ外相は、ペルーの1954年の外交的庇護に関するカラカス協定の改正提案では、庇護を与える国は意思決定の前に、亡命希望者に関する「適切な情報」を要請することが義務づけられると指摘した。
●28日、デ・セラ外務大臣は、ペルーとチリが直ちに二国間移民協力委員会を設置し、12月1日から活動を開始すると発表した。
(2)政府要人の外遊及び各国との会談
●8日から10日にかけて、デ・セラ外相は、コロンビアを訪問し、第4回ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)・欧州連合(EU)サミットに出席する等した。
●8日、アルバレス首相は、パス・ボリビア大統領の就任式に出席し、また、同大統領と会談を実施した。
●8日、デ・セラ外相は、アラマヨ・ボリビア新外相との間で外相会談を実施した。
●10日、デネグリ外務副大臣は、レヴェント・トルコ外務副大臣と会談した。
●11日、第7回ペルー・ニュージーランド政治協議が開催された。
●13日、デネグリ外務副大臣は、ジャンセ・スウェーデン貿易省次官と会談した。
●14日、ヘリ大統領は、当地訪問中のエディンバラ公爵夫人ソフィー妃殿下と会談した。
●17~18日、デネグリ外務副大臣は、訪問先の独にて、先スペイン期の文化財262点の返還式に出席する等した。
●19~20日、デネグリ外務副大臣は、訪問先のオランダにて、マージャン・カムストラオランダ外務省西半球局長とともに第6回ペルー・オランダ政治協議に出席する等した。
●21日、デネグリ外務副大臣は、ホロパイネン・フィンランド外務次官補(外交安全保障担当)との間で第8回ペルー・フィンランド政治協議を開催した。
●28日、ヘリ大統領は、パス・ボリビア大統領と電話会談を実施した。
●28日、デ・セラ外相は、アベジャン当地スペイン大使と会談した。
(3)その他
●6日、国会本会議は、シェインバウム墨大統領にペルソナ・ノン・グラータを宣言する決議を、賛成63票、反対34票、棄権2票で可決した。
●6日、第10回代替開発専門家会合が開催された。
●11日、当地にて、当地クスコ州ウルバンバ郡で第51回世界研究所長会議が開催された。
●17日、閣僚評議会は、ロドルフォ・コロナド氏を新米州機構(OAS)ペルー代表部大使に任命することを承認した。
●26日、第2回ペルー・クウェート二国間協議メカニズムがオンラインで開催された。
 
【本文】
1 内政
(1)ペルー空軍新最高司令官の任命
 6日、カルロス・チャベス・ペルー空軍最高司令官に代わり、マリオ・コントレラス・ペルー空軍新最高司令官が就任した。
 
(2)ペルー政府によるリマ市・カヤオ憲法特別市における新たな治安対策の方針の発表
 7日、国家警察長長官が議長を務める統一作戦調整司令部(CCO)の創設や情報委員会が衛星画像を統合するビデオ監視及び予測情報システムを導入すること等を含んだ新たな治安対策の方針が発表された。
 
(3)ボルアルテ前大統領の動静
 10日、ボルアルテ前大統領は、自身に対する訴訟手続き等を理由にペルーを離れるつもりはなく、同前大統領子息の外交官としての職務は、国外逃亡の疑いを生じさせるものではないと述べた。
 
(4)CPI社によるヘリ大統領の支持率等に関する世論調査
 10日、CPI社によるヘリ大統領の支持率等に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は55.9%、不支持率は27.2%であった。また、次期大統領候補に関する世論調査における1位は、12.7%を獲得したロペス・アリアガ人民刷新党(RP)党首、2位は6.2%を獲得したマリオ・ビスカラ氏(ペルー第一党)、3位は、5.5%を獲得したケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首であった。
 
(5)イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査
 13日、イプソス社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、9%を獲得したロペス・アリアガ人民刷新党(RP)党首が1位であった。2位には、8%を獲得したケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首、3位には7%を獲得したマリオ・ビスカラ氏(ペルー第一党)が続いた。
 
(6)ダトゥム社によるヘリ大統領の支持率等に関する世論調査
 17日、ダトゥム社によるヘリ大統領の支持率等に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は58%、不支持率は30%であった。また、アルバレス首相の支持率は、23%、不支持率は49%であった。
 
(7)ダトゥム社による次期総選挙に向けた国民の意識に関する世論調査
 23日、ダトゥム社による次期総選挙に向けた国民の意識に関する世論調査結果が公表され、27%が右派、21%が中道、15%が左派と回答。一般にペルーは分断されていると感じるかとの質問に対して、24.4%が完全に分断されている、51.6%がかなり分断されていると回答。誰に投票するか考えているかとの質問に対して、24%が既に考えている、73%がまだ考えていないとの回答。
 
(8)ボルアルテ前大統領による国会の罷免決議の取り消しを求める人身保護請求
 25日、ボルアルテ前大統領が、適正な手続きが侵害されたとして、10月10日に国会で承認された「恒久的な倫理的不能」(incapacidad moral permanente)による罷免決議を無効とするよう、21日にリマ高等裁判所に対して人身保護請求(amparo)を申し立てたことが分かった。同前大統領の弁護人は、本件請求の目的は同前大統領を大統領職に復帰させることではなく、同前大統領が「恒久的な倫理的不能」ではないと認定することが重要であると述べた。
 
(9)ビスカラ元大統領に対する判決
 26日、高等裁判所第四法廷は、マルティン・ビスカラ元大統領がモケグア州知事時代に収賄罪に関与したとして、禁固14年(ロマス・デ・イロ・プロジェクト((当館注:ビスカラ・モケグア州知事(当時)が同灌漑プロジェクトの契約と引き換えにオブラインサ社から100万ソルを受け取っていたとされる疑惑)で6年及びモケグア州立病院プロジェクト(当館注:ICCGSA社とインコット社からなるモケグア病院共同事業体が、同病院建設を受注するためにビスカラ・モケグア州知事(当時)に130万ソルを渡したとされる疑惑)で8年)の判決を下した。
 
(10)カスティージョ元大統領等に対する判決
 27日、最高裁判所特別刑事法廷は、2022年12月7日に自主クーデターの実施を試みたことは、反乱陰謀罪にあたるとして、ペドロ・カスティージョ元大統領、ベッツィ・チャベス元首相及びウィリー・ウエルタ元内相に対しては禁固11年5ヶ月を、アニバル・トーレス元首相には、禁固6年8ヶ月の判決を下した。
 
(11)ペルー問題研究所(IEP)によるヘリ大統領等の支持率に関する世論調査
 30日、ペルー問題研究所(IEP)によるヘリ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は39%、不支持率は46%であった。
 
(12)イプソス社によるヘリ大統領等の支持率に関する世論調査
 30日、イプソス社によるヘリ大統領等の支持率に関する世論調査結果が公表され、同大統領の支持率は47%、不支持率は39%であった。また、同日、同社による次期大統領選挙に関する世論調査結果が公表され、9%を獲得したロペス・アリアガ人民刷新党(RP)党首が1位であった。なお、2位には同率で7%を獲得したケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首とマリオ・ビスカラ氏(ペルー第一党)が続いた。
 
2 外交・国際関係
(1)墨との外交関係断絶
 3日、当国外務省は、カスティージョ元大統領が実施した自主クーデター(当館注:2022年12月7日、カスティージョ大統領(当時)が、事前の予告なく国民向けメッセージを発出し、国会による自身に対する罷免決議を回避するため、暫定的な国会解散及び臨時政府の樹立を宣言したもの)に関与したとして反逆罪(Rebelion)で司法手続き中のベッツィ・チャベス元首相の亡命申請を受理したとして、墨との外交関係断絶を発表した。
 
(2)国会によるシェインバウム墨大統領に対するペルソナ・ノン・グラータ宣言
 6日、国会本会議は、ベッツィ・チャベス元首相による亡命申請を受理したとして、シェインバウム墨大統領にペルソナ・ノン・グラータを宣言する決議を、賛成63票、反対34票、棄権2票で可決した。
 
(3)第10回代替開発専門家会合の開催
 6日、「麻薬なき開発及び生活国家委員会(DEVIDA)」がドイツ政府及びタイ政府との共催で、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の支援を受けて第10回代替開発専門家会合を開催した。デネグリ外務副大臣は、同会合の開会式において、成長、社会的公正、人間の尊厳に焦点を当てた薬物政策の基本的な柱として代替開発の推進におけるペルーのリーダーシップを再確認した。
 
(4)1954年の外交的庇護に関するカラカス協定の改正提案
 7日、当国外務省は、ベッツィ・チャベス元首相の亡命申請に関連して、1954年の外交的庇護に関するカラカス協定の改正を提案する旨発表した。
 
(5)デ・セラ外相による第4回EU-CELAC会合出席
 8日から10日にかけて、デ・セラ外相は、コロンビアを訪問し、第4回ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)・欧州連合(EU)サミットに出席し、中南米カリブ地域と欧州との協力に関し、両地域が重要視する共通の問題である越境組織犯罪との闘いが中心的な課題であるべきだと強調した。また、デ・セラ外相は、ヴィエイラ伯外相、ブルンナー欧州委員(内務・移民担当)等と会談を実施した。
 
(6)アルバレス首相によるパス・ボリビア大統領の就任式出席及び同大統領との会談
 8日、アルバレス首相は、パス・ボリビア大統領の就任式に出席し、また、同大統領と会談を実施した。両者は、二国間関係を再活性化し、政治対話を最高レベルに引き上げることで一致した。
 
(7)ペルー・ボリビア外相電話会談
 8日、デ・セラ外相は、アラマヨ・ボリビア新外相との間で外相会談を実施し、両国間で大使派遣を早急に復活されること及び最短期間で両国首脳会談とペルー・ボリビア二国間閣議(gabinete binacional)を開催することで一致した。
 
(8)デネグリ外務副大臣とレヴェント・トルコ外務副大臣の会談
 10日、ペルー・トルコ外交関係樹立65周年に際し、デネグリ外務副大臣は、レヴェント・トルコ外務副大臣と会談し、両国間で拡大する貿易交流と、ペルーがトルコの投資と協力に提供し得る魅力的な分野につき議論した。
 
(9)第7回ペルー・ニュージーランド政治協議
 11日、当地にて、フェルナンド・キロス外務省アジア大洋州局長及びジェームズ・ウェイト・ニュージーランド外務貿易省米州局長主催で、第7回ペルー・ニュージーランド政治協議が開催され、両国の港湾の接続性強化、ズナギドリ目鳥類の保全に関する国際協定に基づく科学調査の強化等につき議論された。
 
(10)ペルー・タイ外交関係60周年記念式典
 12日、デネグリ外務副大臣は、ペルー・タイ外交関係60周年記念式典に出席し、同式典において、両国外交関係に関する文書の展示が行われたほか、記念切手が披露された。
 
(11)第51回世界研究所長会議
 11日、当地にて、当地クスコ州ウルバンバ郡で第51回世界研究所長会議が開催され、世界50カ国を超える外交団関係者やオックスフォード大学、ジョージタウン大学等の大学関係者が出席した。
 
(12)デネグリ外務副大臣とジャンセ・スウェーデン貿易省次官の会談
 13日、デネグリ外務副大臣は、当地訪問中のジャンセ・スウェーデン貿易省次官と会談を実施し、ペルーのOECD加盟手続きにおけるスウェーデンの支持に感謝の意を表したほか、政府間(G2G)契約や官民連携(PPP)方式でペルーのインフラ開発に参加するようスウェーデンを招待した。
 
(13)ヘリ大統領とエディンバラ公爵夫人ソフィー妃殿下の会談
 14日、ヘリ大統領は、当地訪問中のエディンバラ公爵夫人ソフィー妃殿下と会談し、ペルーと英国の外交関係樹立202周年を終えた後も、引き続き協力していくことへの相互の関心を表明した。
 
(14)新米州機構(OAS)ペルー代表部大使の任命
 17日、閣僚評議会は、ロドルフォ・コロナド氏を新米州機構(OAS)ペルー代表部大使に任命することを承認した。
 
(15)デネグリ外務副大臣の独訪問
 17~18日、デネグリ外務副大臣は、訪問先の独にて、先スペイン期の文化財262点の返還式に出席したほか、クリスチャン・ブック独外務省政務総局長との第4回ペルー独政治協議メカニズムを実施し、組織犯罪及び麻薬取引との闘いにおける両国間の協力等につき議論した。
 
(16)デネグリ外務副大臣のオランダ訪問
 19~20日、デネグリ外務副大臣は、訪問先のオランダにて、マージャン・カムストラオランダ外務省西半球局長とともに第6回ペルー・オランダ政治協議に出席し、ペルーに対する投資を促進したほか、国家発展のためにペルーが提供する具体的な機会を強調した。また、マルセル・デ・ヴィンク・オランダ外務省政務局長と会談し、持続可能な経済発展、民主主義、規範に基づく国際システムへの取り組みを基盤とした、二国間関係の安定性と信頼性を強調した。
 
(17)デネグリ外務副大臣のフィンランド訪問
 21日、デネグリ外務副大臣は、訪問先のフィンランドにて、ホロパイネン・フィンランド外務次官補(外交安全保障担当)との間で第8回ペルー・フィンランド政治協議を開催し、法の支配と多国間主義の尊重といった両国間の外交原則と方針の類似性を確認し、越境犯罪、サイバー安全保障、違法麻薬取引対策における協力強化の必要性を強調した。また、政治協議後、デジタル統治・移行分野における協力に関する覚書の署名式が実施された。
 
(18)1954年の外交的庇護に関するカラカス協定の改正提案
 25日、デ・セラ外相は、ペルーの同協定の改正提案では、庇護を与える国は意思決定の前に、亡命希望者に関する「適切な情報」を要請することが義務づけられると指摘した。
 
(19)第2回ペルー・クウェート二国間協議メカニズムの開催
 26日、第2回ペルー・クウェート二国間協議メカニズムがオンラインで開催され、12月1日に両国外交関係が50周年を迎えることを前に、実施される記念事業の進捗状況等につき確認したほか、両国間の政治・経済・国際協力関係等の分野につき様々な議論が交わされた。
 
(20)ペルー・ボリビア首脳電話会談
 28日、ヘリ大統領は、パス・ボリビア大統領と電話会談を実施し、翌2026年第一半期にペルーにおいて首脳会談及び第7回二国間閣議(Gabinete Binacional)(当館注:大統領+閣僚が出席する二国間のハイレベル会合)を開催するよう改めて招待した。
 
(21)デ・セラ外相とアベジャン当地スペイン大使の会談
 28日、デ・セラ外相は、アベジャン当地スペイン大使との会談を実施し、2026年スペイン総選挙及び越境組織犯罪との闘い等につき議論した。
 
(22)チリとの二国間移民協力委員会設置
 28日、デ・セラ外務大臣は、ペルーとチリが直ちに二国間移民協力委員会を設置し、12月1日から同委員会は、タクナ市とアリカ市(当館注:元ペルー領のチリの都市)の国境における移民の状況について緊密な協力を通じて対応することを目的として活動を開始すると発表した。