ペルーの経済情勢(2025年10月)

令和8年1月6日
1 総論
 10月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.62%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.35%(10月までの一年間)、対米ドル為替相場3.413ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.9%(2025年8月~10月)、財政収支約14億ソルの赤字、貿易収支約42億米ドルの黒字となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 10月の経済成長率(GDP成長率)について、主に漁業、鉱業・炭化水素等の成長率の伸びが見られた一方、通信・情報の成長率がマイナスとなり、全体としてGDP成長率は3.62%(前年同月比)となった。



 


 
イ インフレ率
 10月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.10%となり、最近12か月(2024年11月~2025年10月)の上昇率は、1.35%となった。




ウ 為替相場
 10月の対米ドル為替相場の平均は3.413ソルであった。



 

エ 失業率
 2025年8月~10月のリマ首都圏の完全失業率は5.9%であった。




オ 財政収支
 10月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で12%増となり、歳出は同比で3.5%増となった。全体では、プライマリーバランスは約14億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約17億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 10月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比63.1%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が10.7%増となり、全体では約95億米ドル(対前年同月比46.0%増)となった。主要輸出品目は銅、金、ブルーベリーであった。輸入額は、対前年同月比で消費財が10.8%増、中間財は7.2%増、資本財が14.1%増となり、全体で約53億米ドル(対前年同月比10.1%増)となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、軽油であった。この結果、貿易収支は約42億米ドルの黒字となった。



 

キ 外貨準備高
 10月末の外貨準備高は約900億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2025年9月末の対外債務累積総額は約1,151億米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2) 最近の主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.25%を維持
 10月9日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.25%に維持する旨発表した。この決定については、9月の前月比インフレ率が0.01%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.06%であること、直近12か月間累計のインフレ率が8月の1.1%から9月には1.4%に上昇したこと、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が9月も1.8%と、政府目標値(注:1~3%)の中央値に留まったこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが9月も2.2%で、政府目標値内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
・ボルアルテ大統領の罷免及びヘリ国会議長の大統領就任
 10月10日未明、ペルー国会は憲法及び国会規則に基づきボルアルテ大統領の罷免決議を実施し、圧倒的多数で可決した。この政変の背景には、犯罪の増加と社会不安、そして大統領の支持率低迷があった。ボルアルテ大統領は2022年12月、カスティージョ大統領の弾劾・収監を受けて就任したが、その後も犯罪件数は増加し、2024年には恐喝事件の発生件数が前年同期比25%増と深刻化。治安悪化を背景とした抗議デモや、リマでのコンサート襲撃事件などが国民の不満を増大させていた。また、ボルアルテ大統領は高級時計コレクション疑惑(通称「ロレックスゲート」)などのスキャンダルや、マネーロンダリング・汚職の捜査も受けており、支持率は3%前後と極めて低い水準で推移していた。結局、同大統領は罷免弁論のために国会へ召喚されたが出席せず、不在のまま罷免が決定された。
 副大統領が不在だったため、憲法の規定に基づきヘリ国会議長が大統領に就任。同大統領は宣誓スピーチで、過去の過ちについて国民に謝罪するとともに、犯罪対策を最重要課題として国家警察や軍、司法機関と連携し、治安回復に努める決意を表明した。
 その結果、ペルーは2016年以降7人目の大統領を迎え、政情不安が続く中、社会の安定と信頼回復が急務となっている。国民や経済界にとっても、治安対策と政局の安定が今後の最重要課題と言える。
 
(了)