ペルーの経済情勢(2025年12月)

令和8年3月19日
1 総論
 12月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率3.83%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率1.51%(12月までの一年間)、対米ドル為替相場3.367ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.0%(2025年10月~12月)、財政収支約118億ソルの赤字、貿易収支約40億米ドルの黒字となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 12月の経済成長率(GDP成長率)について、鉱業・炭化水素、通信・情報等の成長率はマイナスとなったが、建設、商業等の成長率の高い伸びを反映して、全体としてGDP成長率は3.83%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.24%となり、最近12か月(2025年1月~2025年12月)の上昇率は、1.51%となった。




ウ 為替相場
 12月の対米ドル為替相場の平均は3.367ソルであった。


 

エ 失業率
 2025年10月~12月のリマ首都圏の完全失業率は5.0%であった。  ​




オ 財政収支
 12月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で5.6%増となり、歳出は同比で6.1%増となった。全体では、プライマリーバランスは約118億ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると約128億ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 12月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比43.0%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が11.2%増となり、全体では約94億米ドル(対前年同月比33.5%増)となった。主要輸出品目は金、銅、ぶどうであった。輸入額は、対前年同月比で消費財が15.7%増、中間財は9.5%増、資本財が28.8%増となり、全体で約54億米ドル(対前年同月比16.4%増)となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。この結果、貿易収支は約40億米ドルの黒字となった。



 

キ 外貨準備高
 12月末の外貨準備高は約902億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2025年12月末の対外債務累積総額は約1,139億米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
 

(2)主な出来事

・中銀(BCR)は政策金利4.25%を維持
 12月11日、中銀(BCR)理事会は政策金利を4.25%に維持する旨発表した。この決定については、11月の前月比インフレ率が0.11%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率が0.06%であること、直近12か月間累計のインフレ率が1.4%、食料とエネルギーコストを除いた12か月間累計のコア・インフレ率が1.8%と横ばいであること、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが2.2%で、政府目標値(注:1~3%)内に収まっていること等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
・エア・カナダがペルーへのフライト再開
 12月5日、エア・カナダはペルーへの直行便の運行を2年ぶりに再開した。リマ-トロント及びモントリオールを接続する直行便であり、それぞれ週2便を運行する。エア・トランサットと併せてカナダ直行便が複線化したことで、競争が促進されるとともに、ペルーを訪れたいと考える外国人観光客の選択肢が広がった。
 
・アンコン工業団地、中国企業コンソーシアムが総投資約12.6億ドルで落札
 12月12日、投資促進庁(Proinversion)は数年の審議を経て、アンコン工業団地プロジェクトの落札者を決定した。本件は総投資12億6,134万米ドルを要し、1,338ヘクタールに近代的工業団地を整備して多様な工業・物流企業の誘致を図る計画である。落札したのは中国拠点のJunefield Holding LimitedとLoudi Engineering & Constructionによる「Junefield Ancon Industrial Park」で、土地入札価格は1億8,058万米ドル、コンセッション期間は22年である。同団地はチャンカイ港・カヤオ港とホルヘ・チャベス国際空港の中間(両地点から各々約40km)に位置し、政府は当該一帯を民間経済特区に指定する方針だ。Proinversionは、同団地がペルー初のドライポートであり、港湾・空港と直結する商流・物流ハブになると強調した。課題だった基本的サービスは、民間投資による海水淡水化プラントを確保し、顧客負担で飲料水を供給する仕組みで克服した。進出企業は200社超を見込み、12万超の新規雇用創出を掲げている。中央政府、地方自治体、国営機関等が保有する利用機会に乏しい資産を活用して実施する資産活用事業として土地売買を通じ民間に移管され、投資リスクは企業が100%負担する。落札者は設計から資金調達、建設、都市開発、開発促進、管理、運営・維持管理まで担い、投資期間は4つのフェーズで実行される。
 
・新規就航に関し、航空会社6社と協議中
 12月17日、プリエト運輸通信大臣は、ペルーがフライ・レベル(スペインLCC)、トルコ航空、エミレーツ航空、ルフトハンザ航空等の航空会社6社と協議中である旨表明した。フライ・レベルのリマ-バルセロナ就航で欧州直結が強化される見通しだ。コパ航空は2026年1月から週49便へ増便、エールフランスは26年6月以降リマ-パリを週10便へ拡大予定である。今月(12月)はフライボンディ(アルゼンチンLCC)によるリマ-イグアス、デルタ航空によるリマ-ソルトレイク等も就航し、接続性強化が観光・貿易需要を押し上げる見込みである。
 
・研究用原子炉の出力増強
 12月22日、エネルギー鉱山省(MINEM)は、原子力庁(IPEN)の研究用原子炉RP-10を4MWから10MWへ増強したと発表した。RP-10原子炉は、国にとって戦略的な施設であり、医療用放射性同位元素の製造、中性子放射化分析、及び保健医療、産業、鉱業、安全保障などの分野向けの専門的な高付加価値中性子照射サービスの提供を主な目的としている。増強により、がんの診断・治療に使用されるルテチウム177など放射性医薬品の研究促進と生産の多様化が可能となる。MINEMはこれを科学・技術・健康の戦略的前進と位置付け、中南米で原子力分野第2位の地位を確立するとした。
 
(了)