ペルーの経済情勢(2026年5月)

令和8年9月3日
1 総論
 5月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率1.80%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率3.91%(5月までの一年間)、対米ドル為替相場3.435ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率5.0%(2026年3月~5月)、財政収支約21億ソルの黒字、貿易収支約35億米ドルの黒字となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 5月の経済成長率(GDP成長率)について、商業、建設等の成長率はプラスであったものの、漁業及び製造の大幅な落ち込みを反映して、全体としてGDP成長率は1.80%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 5月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、-0.16%となり、最近12か月(2025年6月~2026年5月)の上昇率は、3.91%となった。  




ウ 為替相場
 5月の対米ドル為替相場の平均は3.435ソルであった。



 

エ 失業率
 2026年3月~5月のリマ首都圏の完全失業率は5.0%であった。 ​




オ 財政収支
 5月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で20.8%増となり、歳出は同比で3.4%増となった。全体では、プライマリーバランスは約21億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約11億ソルの黒字となった。




カ 貿易収支
 5月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比52.2%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が2.3%減となり、全体では約94億米ドル(対前年同月比38.9%増)となった。主要輸出品目は銅、金、鉛であった。輸入額は、対前年同月比で消費財が21.5%増、中間財は19.9%増、資本財が29.9%増となり、全体で約59億米ドル(対前年同月比23.2%増)となった。主要輸入品目は原油、軽油、携帯電話であった。この結果、貿易収支は約35億米ドルの黒字となった。



 

キ 外貨準備高
 5月末の外貨準備高は約984億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2026年3月末の対外債務累積総額は約1,124億米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.25%を維持
 5月14日、中銀(BCR)理事会は、政策金利を4.25%に維持する旨発表した。この決定については、4月の前月比インフレ率は0.52%、食料とエネルギーコストを除く前月比のコア・インフレ率は0.87%となったこと、直近12ヶ月間累積のインフレ率が3月の3.8%から4月には4.0%に上昇したこと、コア・インフレ率が同期間に3.7%から4.4%に上昇したこと、さらには、今後12か月の累計インフレ率の見通しが3月の2.5%から4月には2.8%へ上昇し、政府目標値(注:1~3%)の範囲内に留まったこと等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
・違法採掘が過去最高を記録、違法金輸出が115億米ドル超、主要政党が掲げる政策の課題をIPE報告が指摘
 5月11日、Peru21紙(電子版)はペルー経済研究所(IPE)報告を引用し、2025年の違法金輸出額が115億米ドルを超えたと公表した。この金額は、10年前比6.5倍、2024年比55%増である。また、違法採掘通報件数が2021~2025年に全国で1,266件から2,601件へと倍増した。本状況は、2025年に1オンスあたり4,500米ドルを超えた金価格の高騰、及び、ペルー国内の同一地域内で違法採掘と麻薬密売が共存する等重複する違法経済を取り締まるための国の能力の限界に拠るところが大きく、国の競争力を損う原因となっている。
 違法採掘対策のための優先7分野(正規化、トレーサビリティ、監視、代替開発、機関間連携、国境を越えた協力、国の関与)に関して、大統領選挙の決選投票に進んだフジモリ氏率いる人民勢力党(FP)(右派政党)とサンチェス氏率いる共にペルーのために党(JP)(左派政党)の政策提案を確認したところ、いずれの政党も、正規化分野に関して、鉱業フォーマル化包括登録(REINFO)の廃止や延長手続きの期限設定を提案していない。REINFOは違法採掘の取り締まりを強化し、同従事者の正規化を目的として、2016年に創設されたプログラムで、正規化プロセスが完了してなくとも、同プログラムに登録していることで正規化プロセス中であるとして違法採掘が事実上許容されている状況より、違法採掘反対派は廃止を求めている。REINFO設立から10年以上経過して、正規化を達成したのは僅か2.4%に過ぎない。
 
・ペルー産マルアナゴ漁が国内初・ウナギ類世界初のMSC認証を取得
 5月29日、ペルー海洋研究所(IMARPE)は、ペルー産マルアナゴ漁がペルー国内初、ウナギ類として世界初のMSC漁業認証を取得した旨報じた。認証対象漁船16隻中7隻は大洋エーアンドエフ社の子会社サカナ・デル・ペルー社の漁船である。
 
(了)