ペルーの経済情勢(2026年6月)

令和8年9月11日
1 総論
 6月のペルーの月例主要経済指標は、経済成長率1.75%(前年同月比)、リマ首都圏のインフレ率4.01%(6月までの一年間)、対米ドル為替相場3.406ソル(平均値)、リマ首都圏の完全失業率4.9%(2026年4月~6月)、財政収支約19億ソルの黒字、貿易収支約32億米ドルの黒字となった。
 
2 各論
(1) 主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によると、ペルーの主要経済指標は次のとおり。
 
ア 経済成長率
 6月の経済成長率(GDP成長率)について、建設、商業等の成長率はプラスであったものの、5月に引き続き漁業の大幅な落ち込み、農牧、製造等のマイナスを反映して、全体としてGDP成長率は1.75%(前年同月比)となった。



 


イ インフレ率
 6月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は、0.23%となり、最近12か月(2025年7月~2026年6月)の上昇率は、4.01%となった。  




ウ 為替相場
 6月の対米ドル為替相場の平均は3.406ソルであった。



 

エ 失業率
 2026年4月~6月のリマ首都圏の完全失業率は4.9%であった。​




オ 財政収支
 6月の政府全体の財政収支は、歳入が対前年同月比で24.1%増となり、歳出は同比で1.4%増となった。全体では、プライマリーバランスは約19億ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると約11億ソルの黒字となった。




カ 貿易収支
 6月の輸出額は、伝統産品(鉱物資源、魚粉、コーヒー等)が対前年同月比30.2%増、非伝統産品(アボカド、アスパラガスなどの近代的農業産品、繊維製品、工業製品等)が1.2%増となり、全体では約89億米ドル(対前年同月比23.4%増)となった。主要輸出品目は金、銅、鉛であった。輸入額は、対前年同月比で消費財が23.1%増、中間財は27.1%増、資本財が39.2%増となり、全体で約57億米ドル(対前年同月比29.7%増)となった。主要輸入品目は原油、携帯電話、自動車であった。この結果、貿易収支は約32億米ドルの黒字となった。



 

キ 外貨準備高
 6月末の外貨準備高は約956億米ドルとなった。




ク 対外累積債務
 2026年6月末の対外債務累積総額は約1,351億米ドルとなった。



 

 
注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)主な出来事
・中銀(BCR)は政策金利4.25%を維持
 6月11日、中銀(BCR)理事会は、政策金利を4.25%に維持する旨発表した。この決定については、5月の前月比インフレ率が-0.16%となり、食料とエネルギーを除く前月比のコア・インフレ率が0.09%となったこと、直近12カ月のインフレ率が4月の4.0%から5月には3.9%へ低下した一方、コア・インフレ率は同期間で4.4%と横ばいで政府目標値(1~3%)を上回っていること、さらに、今後12カ月のインフレ率の見通しが4月の2.8%から5月には2.9%へ上昇したものの政府目標値の範囲内に留まったこと等を考慮したと説明されている。なお、BCRは、今後の政策金利の調整はインフレ率とその決定要因に関する新たな情報に基づいて行うこととしている。
 
・中国企業がホルヘ・チャベス空港-チャンカイ港接続に投資、リマのハブ化を推進
 6月8日、運輸通信省は国家港湾局を通じ、ホルヘ・チャベス国際空港とチャンカイ多目的港湾ターミナルを接続し、アジア発電子商取引貨物(EC貨物)の南米配送ハブ化を目指す投資プロジェクトを公表した。報道では、投資主体は中国のCosco ShippingとAnjun Logisticsとされ、投資額は2,000万米ドルで、2026年末の運用開始を予定している。同空港は、国内航空貨物の約90%を扱っており、空港直結の6,885平方メートルの貨物倉庫建設含む本投資による物流統合により、時間・コスト削減とリマの南米における物流拠点化を狙う。
 
・日鉄鉱業が「コスタ・デ・コブレ」権益35%を取得
 6月15日、ヘスティオン紙は、カナダのカミノ・ミネラルズ・コーポレーション(カミノ社)がペルー南部沿岸に位置するコスタ・デ・コブレ地区で行う銅鉱床掘削プロジェクトにおける第2フェーズ掘削の結果、ディーバ鉱化帯で連続的な銅・銀鉱化を確認し、銅と銀が良好な品位で存在すると報じた。なお、本プロジェクトについて、カミノ社は日鉄鉱業株式会社(日鉄鉱業)と合弁事業契約を締結、カミノ社が65%、日鉄鉱業が65%の権益を保有する旨公表、報道によると、日鉄鉱業は本契約締結に1,000万カナダドル(約720万米ドル)を投じたとされている。
 
・チャンカイ港の政府規制をめぐる裁判、司法は国側の権限を認定
 6月17日、リマ高等裁判所の第二憲法法廷は、チャンカイ港に対するペルー公共交通施設投資監督庁(OSITRÁN)の監督・規制権限をめぐる裁判に関し、国側の逆転勝訴とする控訴審判決を下した。チャンカイ港所有者のCosco Shipping Ports Chancay Peru S.A.(CSPCP)側が「国家による規制・監督権の取り消し」を求めていたのに対し、裁判所はこれを退け、民間資本の港であっても国家の規制を受けるべき「公共交通インフラ」であると認定した。
 また、6月19日、チャンカイ民事裁判所は、チャンカイ港における競争条件の欠如(独占的地位・利用料規制)をめぐり、チャンカイ港所有者であるCSPCP側がペルーの国家競争・知的所有権保護庁(INDECOPI)による調査の無効化を求めていた裁判で、憲法上の保護請求の理由がないとし、CSPCP側の請求を棄却した。
 これらの判決により、ペルー国家によるチャンカイ港への価格管理・競争監視権限が合法であると認められたが、CSCPは上訴・控訴を表明した。
 
(了)